MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。
最近ではお子様の歯並びに関心を寄せ、小児矯正治療をご希望される方も増えています。
しかし、小児矯正ではどのような装置を使用してどのくらいの費用がかかるのか、詳しいことはあまり知らない、わからないという方が多いのではないでしょうか。
この記事では小児矯正にかかる費用、またその費用の負担をできるだけ少なくする方法はないのか、など治療時期や使用する装置別にご説明していきます。
小児矯正にかかる費用の相場を、治療前・治療中・治療後に分けてご説明いたします。
矯正治療を始める前にはまずカウンセリングを行い、歯並びやお口の中の状態、治療に対するお子様・保護者の希望やお悩みを歯科医師が詳しく伺い、ざっくりとした治療方針や費用のご相談を行います。
カウンセリングは無料で行っているところも多く、かかる費用としては0円〜5000円くらいです。
その後、実際に矯正治療を希望する場合は、
・顔貌や口腔内の写真
・CTやセファロを含むレントゲン撮影
・歯列の型取り
・虫歯や歯周病のチェック
などの精密検査を行い、治療に必要な資料を採得します。
この精密検査料として数万円かかることがあります。
医院の料金システムによっては精密検査や診断料をその都度はらうものの、矯正治療の総額に含まれていて実質無料となる場合もあります。
精密検査や診断をおこなったものの矯正治療へと進まなかった場合、この検査料は返金されません。
治療前にかかる費用
初診、カウンセリング：0円〜5,000円
精密検査、診断：0円〜5万円
小児矯正歯科治療は、歯並びや骨格の状態や使用する装置によって費用に大きな幅があります。
また、乳歯と永久歯の混合歯列期に行う一期治療と永久歯が生え揃ってから行う二期治療の2つがあり、どちらか片方のみを行うのか両方行うのかによっても費用は異なります。
1期治療
床矯正装置：10万円〜50万円
マウスピース型矯正装置（インビザライン含む）：10万円〜70万円
2期治療
ワイヤー矯正：10万円〜120万円
マウスピース矯正（インビザライン）：30〜100万円
矯正治療中は装置の調整をおこなうため定期的に通院が必要になります。
調整料が装置代に含まれている医院もあれば、都度5000円ほどかかるところもありますので、治療開始前に確認しておくことが必要です。
また、治療に抜歯などの処置が必要な場合も5000円〜1万円かかることが多いです。
矯正治療では歯が理想の位置に動いたら終わりというわけではありません。
矯正治療で動かした歯は必ず後戻りする方向に動いていきますので、保定装置を使用することが必須になります。保定装置（リテーナー）を正しく使用することで歯並びの後戻りを防ぐことができます。
取り外しができるワイヤータイプやマウスピースタイプ、針金を歯の裏に固定するタイプなどがあり、5万円前後で作製している医院が多いです。
歯科医院によっては保定装置も矯正治療の費用に含まれている場合もあります。
治療後にかかる費用
保定装置（リテーナー）：0〜6万円
小児矯正は歯が生え変わる時期に行うので、矯正を行う患者様の年齢によって適用となる治療が異なります。
一期治療と二期治療の二つに分かれるのでそれぞれの治療にかかる費用相場についてご説明いたします。
一期治療は乳歯が残っている3〜12歳くらいの患者様を対象に行います。
歯並びを綺麗に整えることがメインではなく、上下顎の骨のバランスを整えたり、歯並びが悪くなる悪習癖を取り除いたり、後に永久歯がしっかり生えてくるためのスペースを作ったり、と骨格を整える治療がメインとなります。
そのため、一期治療では主に「床矯正」と呼ばれる取り外し式の装置を使うことが多いです。
1装置あたり2万円～10万円程度で、お子様の顎の成長に合わせて調整したり交換したりして治療を進めていきます。
そのため床矯正の全体費用は10万円〜50万円になります。
インビザラインではインビザラインファーストというシステムを使用します。
その場合の費用は一期治療のみで40〜70万円程度です。
インビザラインの場合は基本的に作り直す費用もこの中に含まれています。
二期治療は一般的な大人の矯正治療とほとんど同じでワイヤーもしくはマウスピースの装置を使用して歯並びや噛み合わせを綺麗にします。
二期治療の費用は20万円～100万円程度です。
多くの医院では一期治療を行った後に二期治療へ移行する場合、料金の調整をしています。
二期治療から治療を行う場合と一期治療から移行する場合とでは治療費が異なりますのでカウンセリングの際に詳細な料金を問い合わせておくことが大切です。
小児矯正ではお子様のお口の状態によって使用する装置がさまざまです。
それぞれの装置の種類別にかかる費用をご紹介します。
ただし小児矯正は自費診療ですので費用の設定は医院ごとに異なります。
詳しくは通院を考えている医院様に直接お問い合わせください。
可撤式矯正装置とは患者様ご自身で取り外しが可能な矯正装置です。
それぞれの費用は以下の通りです。
・床矯正装置：10万円〜40万円
・マウスピース型矯正装置（インビザライン、ムーシールド、プレオルソマイオブレイスなど）10万円〜90万円
・その他矯正装置：1つあたり2万円〜10万円
小児は治療中に顎を含めた骨格が成長していくため、骨格の成長を促進・抑制させる目的の装置も多く使用されます。
それらの装置は成長に合わせて新しいものに交換する場合があり、その都度費用がかかります。
また、矯正治療の段階に合わせて複数個の矯正装置を使用する場合もあります。
固定式矯正装置とは歯に直接装置を装着するため、患者様ご自身では取り外しの出来ない装置になります。それぞれの費用は以下の通りです。
・ワイヤー矯正装置：20万円〜80万円
・リンガルアーチ：10万円前後
・その他矯正装置：2〜10万円
ワイヤーとブラケットを使用した矯正装置は基本的には第二期治療で行われます。
可撤式矯正装置と同じで固定式矯正装置も骨格の成長に合わせて装置の調整が必要となったり追加の矯正装置を使用したりする場合があります。
顎外固定装置とは、頭や顎に固定限をおいて顎の成長促進・抑制を行う矯正装置です。
ヘッドギア・チンキャップ・上顎牽引装置があります。
それぞれ10万円前後の費用になることが多いです。
こちらも調整が必要な場合があり、その際は追加費用が必要となることがあります。
小児矯正にかかる費用で多い質問が「保険適用になるのか」「医療費控除の対象となるのか」という二つです。
それぞれについて以下で詳しくご説明いたします。
小児矯正はほとんどの場合で保険適用外の自費診療になります。
しかし定められた条件に当てはまる、一部の症例に限ってのみ保険が適用されます。
矯正治療で保険が適用になる症例は、以下の条件に当てはまる場合です。
・厚生労働省で定められた先天性疾患に伴う矯正治療
・永久歯の前歯と小臼歯のうち3歯以上に萌出不全がある
・重度の顎変形症に伴う矯正治療
しかし、これらの条件に当てはまって保険を使用して矯正治療を受ける場合には、矯正装置や治療を受けることのできる医療機関に決まりがあります。
まずはお近くの歯科医院でご相談ください。
小児矯正治療は高額な治療費になることが多いので医療費控除を利用して少しでも負担を減らしたい、とお考えになる方も多いと思います。
では、小児矯正は医療費控除になるのでしょうか。
結論から申し上げますと「小児矯正治療は医療費控除の対象になることがほとんど」だといえます。
歯科の治療では、治療が「医療目的」か「審美目的」かによって医療費控除の対象になるかが決まります。
小児矯正治療では多くの場合、矯正治療によって噛み合わせ改善や虫歯や歯周病のリスク低減などを行うことができるので「医療目的」の治療となります。
そのため、歯科医師が「不正咬合によりこどもの口腔発達や健康に悪影響を及ぼすため治療が必要である」と診断した場合は医療費控除を受けることができます。
以下の記事では小児矯正の医療費控除について詳しく説明していますので、併せてご参考ください。
小児矯正には様々な方法や装置の種類があります。
その中でもインビザラインでの小児矯正治療も近年人気が高まっています。
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