矯正治療とは、ワイヤーやマウスピース型の装置を使用して歯並びを整えていく歯科治療です。
矯正は成人が行うもの、と考えている方も多いですが実は小児も適応となることも多く、最近では矯正治療に関心が高まっているため、
ご希望される患者様も多くなっています。
この記事では小児矯正の治療費が医療費控除の対象となるのかについて詳しく解説していきます。
小児矯正はいわゆる「病気の治療」ではなさそうだし、医療費控除の対象にはならないのでは……とお考えの方も多いのではないでしょうか。
実は、小児矯正はほとんどの場合で医療費控除の対象となります。
歯科の治療では、治療が「医療目的」か「審美目的」かによって医療費控除の対象になるかが決まります。
小児矯正治療ではもちろん見た目の改善も行いますが、多くの場合矯正治療によって、噛み合わせ改善や虫歯や歯周病のリスク低減などを行うことができるので「医療目的」の治療となります。
そのため、歯科医師が「不正咬合により、こどもの口腔発達や健康に悪影響を及ぼすため、治療が必要である」と診断した場合は医療費控除を受けることができます。
しかし、機能改善が必要ないものの見た目の美しさだけを追求するための矯正治療を行う場合はその対象となりません。
小児矯正を検討していて医療費控除の対象になるのか気になる方はカウンセリング時に歯科医師に確認しておくと安心でしょう。
医療費控除とは1年間に支払った医療費が基準額を超える時、税務署で確定申告することでその超過支払い分の医療費が課税対象の所得から控除され、税金の一部が還付される制度です。
適用条件は以下の通りです。
・医療費が10万円、もしくは総所得の5%を超えた場合
・1月1日~12月31日の間に支払った医療費であること
・申請者本人と生計を共にする配偶者や親族のために支払った医療費
また、歯科矯正治療で対象となる費用は以下の通りです。
・咀嚼改善などの機能回復が主な目的である矯正治療の費用
・年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用
・通院にかかった交通費(電車・バス・タクシー)
※外見を整えるための治療費用は対象外
※診断書作成料は対象外
これらに当てはまれば保険適用であるか保険適用外であるかは関係ありません。
控除金額は申請者の課税される所得に応じて変化します。
また、医療費控除は世帯で医療費をまとめて申請を行うことが可能です。
申請には領収書が必要となりますので大切に保管しておきましょう。
小児矯正治療を行った時に医療費控除の対象となる費用は以下の通りです
・診断料
・レントゲンや型取りなど精密検査代
・矯正の装置代や装置の調整料
・矯正治療で必要な医薬品代(痛み止めや口内炎のパッチなども含む)
・公共交通機関を利用した通院のための交通費
1人で通院するのが難しい場合、交通費は付き添いの方の分も含めることができます。
また、基本的にタクシーでの通院費は認められませんが公共交通機関の利用が難しい場合のタクシーでの交通費も含めることが認められます。
これらは同じ年の1月1日〜12月31日の間に支払ったものが対象です。
クレジットカードやデンタルローンでの支払いも対象となりますが、
金利手数料は含むことができませんので注意が必要です。
小児矯正を行ったとき医療費控除の対象とならないものは以下の通りです。
・診断書代
・自家用車で通院した時のガソリン代や駐車場代
・タクシー代(公共交通機関が使えない場合は除く)
・歯ブラシや歯磨き粉のような予防のための口腔衛生用品
・クレジットカードやデンタルローン支払いの金利手数料
お子様と一緒に通院する場合、自家用車で通院される方も多いかと思いますが、
交通費として認められるのは公共交通機関を利用した場合のみです。
医療費控除の対象となるのかわからない場合は管轄の税務署に問い合わせてみましょう。
医療費控除による還付金額の算定方法を説明します。
還付金を算出するためには、「医療費控除額」と「所得に応じた税率」を知る必要がありますので、それらをそれぞれご説明いたします。
・医療費控除額
医療費控除額=1年間の医療費の総額ー保険金などの受給額ー10万円
ここで出てくる「保険金などの受給額」とは、出産一時金、家族療養費、高額医療費、傷害費用保険金、医療保険金、入院給付金などのことでこれらの需給によって補填された額は医療費の総額から引かなければなりません。
また、1年間の総所得が200万円未満の場合は、医療費の総額が10万円以下の場合でも、医療費が総所得の5%以上であれば医療費控除が適用されます。
・所得税率
所得税率を知るためにはまず課税所得額を知ることが必要です。
課税所得金額は、給与所得控除後の金額から所得控除の合計額を差し引いた額で、この金額は源泉徴収票に記載があります。
課税所得額=給与所得控除後の金額-所得控除の合計
所得税率と控除額については次の通りです。
課税所得額 | 税率 | 控除額 |
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
・還付金
還付金額=医療費控除額×所得に応じた税率
となります。
以下の例で還付金顎を算定してみましょう
例)課税所得額:400万円
医療費:80万円
→医療費控除額=80万円-10万円=70万円
還付金額=70万円×20%=14万円
いかがでしたでしょうか。
あまり聞き慣れない言葉が多くてよくわからなかった、という方もいらっしゃったかもしれません。
これらはあくまで簡単なシミュレーションです。
詳しく知りたいという方は国税庁のWebサイトやお近くの税務署へのお問い合わせをお願いいたします。
医療費控除の申請期間は、毎年2月16日~3月15日の1か月間です。
年末調整を会社が行っていても、医療費控除の申請は別途ご自身で申請する必要がありますので注意が必要です。
実際に小児矯正の医療費控除を受けるときには・税務署に行って直接申請する・書類の郵送で申請する・e-Taxで電子申請する の3つの申請方法があります。
それぞれについて詳しくご説明いたします。
ご自身のお住まいの管轄税務署に直接行って必要な書類への記載を行います。
税務署には専門のスタッフが常駐しているため、記載方法でわからないことがあっても質問することができ、安心です。
医療費控除を受けるのが初めてで不安な方にお勧めです。
しかし、医療費控除の申請期間は税務署が非常に混み合います。
時間や期限に余裕を持っていくようにしましょう。
税務署が開いている時間内にいくことができない場合は、郵送での申請も可能です。
医療費控除の明細書と確定申告書を郵送で取り寄せる、または国税庁HPにてダウンロード・プリントし、所定の箇所を記入、お住まいの管轄の税務署へ郵送します。
郵送にかかる時間を考慮して余裕を持った申請を行いましょう。
国税庁のHPには医療費控除を受けるための手引きがありますのでそちらをよく確認して申請書類を揃えましょう。
最も手軽に行えるのがe-Taxでの電子申請です。
国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」から確定申告書を作成します。
医療費控除の明細書の計算や確定申告書への反映は自動で行われます。
e-Taxでの申請には直接申請や郵送申請で必要な書類に加えて、マイナンバーカード作成時に設定したパスワードなどが必要です。
必要なものを事前に確認して揃えておくようにしましょう。
電子申請はハードルが高く感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
慣れれば郵送や税務署での提出よりも楽なので、おすすめです。
小児矯正の医療費控除に必要な書類は以下の通りです。
・診断書
・印鑑
・銀行の通帳(還付金の振込先口座)
・マイナンバーカード(e-Taxで申告する場合)
・源泉徴収票
・医療費通知(必須ではない)
・医療費の領収書やレシート
・交通費の領収書
医療費控除を利用した場合、領収書の提出は必要ありませんが5年間の保存が義務付けられています。
申請時の記載事項に間違いがないかを確認するため、提出を求められることがあるため、紛失しないように大切に保管しましょう。
この記事では小児矯正にかかる費用と医療費控除の関係について詳しく解説しました。
矯正治療はほとんどの場合、保険適用外の治療となるため、費用が高額になります。
制度を正しく利用して、治療にかかる負担をできるだけ減らすことが大切です。
ご自身の検討されている治療が医療費控除の対象になるのか、まずは歯科医師に相談してみましょう。
MeLoSではインビザライン矯正に関する不安や心配のご相談に乗っています。
矯正治療(成人・小児)のご不明点はもちろん、お住まいの地域の小児矯正対応のクリニックについて知りたい方もぜひお気軽にご相談ください。