歯列矯正が保険適用になる条件とは?保険適用外でも費用を抑える方法
2025年6月24日 インビザライン

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。

歯列矯正は基本的に保険適用外の自由診療とされていますが、一定の条件を満たす場合に限り、保険が適用されるケースもあります。本記事では、保険適用となる歯列矯正の具体的な条件や対象となる症例を解説します。さらに、保険が適用されない場合でも、医療費控除などで費用を抑える方法についてもご紹介します。治療費が気になる方は、ぜひ参考にしてください。

 

歯列矯正は保険適用の対象になる?

歯列矯正は「見た目を整える」ことを主目的とするケースが多いため、一般的には保険適用外の自由診療となります。そのため、治療費は全額自己負担となり、医院ごとに費用が異なるのが特徴です。ただし、特定の疾患や症状に該当する場合には、歯列矯正でも健康保険が適用されます。

 

例えば「先天性の疾患」「永久歯萌出不全による噛み合わせの問題がある場合」や「顎変形症で外科手術を伴う治療が必要な場合」などが対象です。これらに該当すると、国が指定する医療機関での治療に限り、保険が適用されるようになります。

 

保険が適用されるかどうかは、矯正歯科の専門医による精密な診断の上で判断されます。また、保険適用となるかどうかは医療機関の指定状況によっても異なるため、事前に確認することが重要です。

 

指定医療機関を探す手順としては

・「地方厚生(支)局|厚生労働省」にアクセスする

・「施設基準届出受理医療機関名簿」を検索

・探している県の歯科のPDFを探す

・PDFから「矯診」「顎診」の指定医療機関を探す

となります。

 

「矯診」「顎診」のどちらをさがすべきかは保険適用となる症状によるため、自分がどれに当てはまるのかわからない場合はかかりつけの歯科で一度相談、もしくは紹介状を書いてもらうのが安心でしょう。

 

歯列矯正が保険適用の対象になる条件

先天性異常

先天性異常とは、生まれつきの疾患や体の構造上の問題を指します。歯列矯正においては、厚生労働省が定めた「別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常」に該当する場合、保険適用となる可能性があります。現在「別に厚生労働大臣が定める疾患」とされているのは以下の通りです。

 

  • ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
  • 鎖骨頭蓋骨異形成
  • トリーチャ・コリンズ症候群
  • ピエール・ロバン症候群
  • ダウン症候群
  • ラッセル・シルバー症候群
  • ターナー症候群
  • ベックウィズ・ウイーデマン症候群
  • 顔面半側萎縮症
  • 先天性ミオパチー
  • 筋ジストロフィー
  • 脊髄性筋委縮症
  • 顔面半側肥大症
  • エリス・ヴァンクレベルド症候群
  • 軟骨形成不全症
  • 外胚葉異形成症
  • 神経線維腫症
  • 基底細胞母斑症候群
  • ヌーナン症候群
  • マルファン症候群
  • プラダー・ウィリー症候群
  • 顔面裂(横顔裂、斜顔裂及び正中顔裂を含む。)
  • 大理石骨病
  • 色素失調症
  • 口腔・顔面・指趾症候群
  • メビウス症候群
  • 歌舞伎症候群
  • クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
  • ウイリアムズ症候群
  • ビンダー症候群
  • スティックラー症候群
  • 小舌症
  • 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群及び尖頭合指症を含む。)
  • 骨形成不全症
  • フリーマン・シェルドン症候群
  • ルビンスタイン・ティビ症候群
  • 染色体欠失症候群
  • ラーセン症候群
  • 濃化異骨症
  • 6歯以上の先天性部分無歯症
  • CHARGE症候群
  • マーシャル症候群
  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症
  • ポリエックス症候群(XXX症候群、XXXX症候群及びXXXXX症候群を含む。)
  • リング18症候群
  • リンパ管腫
  • 全前脳胞症
  • クラインフェルター症候群
  • 偽性低アルドステロン症
  • ソトス症候群
  • グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
  • 線維性骨異形成症
  • スタージ・ウェーバ症候群
  • ケルビズム
  • 偽性副甲状腺機能低下症
  • Ekman-Westborg-Julin症候群
  • 常染色体重複症候群
  • 巨大静脈奇形(頸部口腔咽頭びまん性病変)
  • 毛髪・鼻・指節症候群(Tricho Rhino Phalangeal症候群)
  • クリッペル・ファイル症候群(先天性頸椎癒合症)
  • アラジール症候群
  • 高IgE症候群
  • エーラス・ダンロス症候群
  • ガードナー症候群(家族性大腸ポリポージス)
  • その他顎・口腔の先天異常

 

これらに該当する患者様には、医師の診断書や病名の確認が必要であり、治療の一部または全体が健康保険の対象となります。

 

顎変形症

顎変形症とは、上顎または下顎、または両方の骨格に異常があり、咬み合わせや顔貌に大きな影響を及ぼす状態を指します。これには、出っ歯や受け口、顔の左右非対称などが含まれます。単なる歯並びの問題ではなく、骨格的な異常が原因の場合、保険適用の対象になります。

 

ただし、保険適用とされるには、顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療であることが条件です。診断と治療は、「顎診(顎口腔機能診断料算定)」の指定医療機関に限られます。

 

永久歯萌出不全

永久歯萌出不全とは、年齢相応に生えてくるべき永久歯が、何らかの理由で正しく生えてこない状態を指します。例えば、歯が骨の中に埋まったままになっていたり、位置異常で隣の歯を押していたりするケースが該当します。

 

原因には先天的な歯の欠如や、過剰歯、顎の成長障害などがあり、放置すると噛み合わせや歯並びに重大な影響を及ぼすことがあります。

 

永久歯萌出不全のうち、厚生労働省では「前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療」が保険適用を認められています。診断にはレントゲンや口腔内検査を通じた歯科医師の判断が必要です。

 

歯列矯正で保険適用を受ける際の注意点

厚生労働省が指定した医療機関で治療を受ける必要がある

歯列矯正を保険適用で受けるためには、どの歯科医院でもよいわけではなく、厚生労働省が認可した「自立支援医療機関」や「矯診(歯科矯正診断料算定の指定医療機関)」「顎診(顎口腔機能診断料算定の指定医療機関)のような指定の医療機関で治療を受ける必要があります。これらの医療機関は、一定の設備や専門性を備えており、保険診療に対応する体制が整っています。

 

例えば、顎変形症の矯正治療は、手術を前提とした治療計画が求められるため、口腔外科との連携が可能な施設でなければなりません。つまり、患者様が自由に通いやすいクリニックでは対応できないことが多いため、事前に該当の医療機関を調べておくことも大切です。自身で調べるのが困難な場合は、かかりつけの歯科医師に相談し、紹介状を書いてもらうのも一つの手でしょう。

 

費用負担がゼロになるわけではない

保険が適用される場合でも、自己負担が全くのゼロになるわけではありません。日本の健康保険制度では、原則として治療費の3割(小児や疾患によっては2割や1割の場合もあり)を自己負担する仕組みになっています。また、矯正治療ではレントゲン撮影や精密検査、装置の作成・調整など複数の工程があり、通院の回数も多くなるため、保険診療であってもトータルで見ると一定の費用が発生します。

 

さらに、装置の一部に自由診療の要素が含まれるケースや、通院に伴う交通費・時間的負担なども無視できません。保険適用によって費用を抑えられるのは大きなメリットですが、「全額無料」と誤解せず、費用の内訳や見積もりは事前にしっかり確認しておきましょう。

 

歯列矯正が保険適用外の場合にかかる総費用

歯列矯正が保険適用外となる場合、全額自己負担となるため、治療費は高額になり安いです。一般的には、全体矯正で約70〜120万円、部分矯正で30〜60万円程度が相場です。これには、初診・精密検査料、装置代、通院ごとの調整費、保定装置の費用などが含まれます。

 

インビザラインなどのマウスピース矯正は、装置の特性や管理の手間、原材料費・輸送費の点から全体の費用が高くなる傾向があります。また、医院によって料金体系や支払い方法に違いがあるため、事前に見積もりを取り、比較検討することが大切です。

 

歯列矯正の費用を抑える方法

歯列矯正の費用を抑える方法にはいくつか方法があります。以下で方法別にご紹介いたします。

 

医療費控除を申請する

歯列矯正は基本的に自由診療となるため高額になりがちですが、「治療を目的とした矯正」であれば医療費控除の対象になります。年間の医療費(世帯合算)が基準額(10万円もしくは年収の5%の低い方)を超えた場合、確定申告で医療費控除を申請することで、所得税や住民税の一部が還付されます。

 

これは「基準額」と「治療を目的とした矯正」という条件さえ満たしていれば、保険適用外の矯正治療でも保険適用の矯正治療でも同様に申請することができます。ただし、見た目の改善だけを目的とした矯正は対象外となるため、医師の診断書などが必要になることもあります。治療前に医療費控除の対象となるか確認しておくと安心です。

 

デンタルローンを利用する

高額な歯列矯正費用の一括支払いが難しい場合、デンタルローンの利用も一つの手段です。デンタルローンは、歯科治療専用のローンで、銀行や提携信販会社が提供しており、一般的なローンと比べて金利が低めに設定されている場合があります。分割回数や月々の返済額をご自身で柔軟に設定できるため、無理のない支払いが可能になります。

 

例えば、総額100万円の矯正費用を60回(5年)で分割した場合、月々2万円前後での返済が可能です。しかし、金利や手数料が治療費に上乗せされるので総支払額は多くなります。デンタルローンを活用する前に総支払額をきちんと把握しておくことが大切です。

 

分割払いで支払う

医院によっては、独自の分割払いプランを提供している場合があります。これはローン会社を通さず、医院と患者との間で直接分割支払いを契約する仕組みです。利息がかからないこともあり、ローンよりも費用を抑えられるケースがあります。たとえば、装置代を数回に分けて支払う、通院ごとの調整費だけをその都度支払うなど、柔軟なプランが用意されていることもあります。

 

ただし、支払いスケジュールや途中キャンセル時の対応などを契約前に十分確認する必要があります。院内分割は審査が不要なことも多く、学生や主婦の方にも利用しやすい方法です。そのようなプランを用意していない場合はご自身でクレジットカードの分割払いを利用することも可能ですが、デンタルローンや院内分割払いより金利が高くなる傾向にあるため無理のない返済プランを立てておくことが必要です。

 

費用を抑えてインビザライン矯正をしたいと検討されている方は、MeLoSにご相談ください

インビザライン矯正に興味があるけれど、費用面で不安を感じている方は、ぜひMeLoSにご相談ください。専門のスタッフが、患者様のお口の状態やご希望を丁寧にヒアリングした上で、適切な治療法や費用の抑え方をご提案いたします。また、インビザライン矯正に対応しているお近くの提携クリニックのご紹介も可能です。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にLINEからご連絡ください。無理のない費用で、理想の歯並びを一緒に目指しましょう。

 

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