裏側矯正のデメリット5つ、メリット5つを歯科医師が紹介。表側矯正との違いも
2025年12月27日 インビザライン

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。日本口腔インプラント学会認定JSOI専修医。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師向け専門書の翻訳なども行う。

裏側矯正は装置が外から見えにくいという大きな魅力がある一方で、費用や発音、違和感など気になる点も存在します。デメリットを知らずに治療を始めてしまうと、後悔につながる可能性も否定できません。本記事では、裏側矯正のデメリットを中心に、メリットや表側矯正との違いについても歯科医師の視点からわかりやすく解説します。自分に合った矯正方法を見極めるための判断材料として、ぜひ参考にしてください。

 

裏側矯正のデメリット5つ

他の矯正方法よりも費用が高い

裏側矯正は装置を歯の裏側に装着するため、高度な技術と専門的な設計が求められる治療法です。表側矯正では既成の装置を使用することができますが、裏側矯正では患者様に合わせたオーダーメイドの精密なものを使用する必要があります。

 

またその装置の装着や調整にも高いスキルが必要となります。そのため、表側矯正やマウスピース矯正と比較して治療費が高額になりやすい傾向があります。さらに、調整の難しさから通院回数が増えるケースもあり、結果として総額の負担が想定以上になることもあります。

 

加えて、裏側矯正に対応できる歯科医院が限られているため、専門性の高いクリニックを選ぶことになり、その分技術料として、費用設定も高くなる傾向があります。審美性の高さという大きなメリットがある反面、費用面でのハードルは非常に高く、事前にしっかりと見積もりや支払い計画を確認しておくことが重要です。

 

治療期間が長引きやすい

裏側矯正は装置が舌側にあるため視認性が悪く、ワイヤー調整や細かなコントロールが難しいため、歯の動きが計画通りに進みにくい場合があります。また、裏側矯正は歯を押し出す動作が苦手なので、そのような動きが必要な場合は歯を動かすのに時間がかかります。その結果、表側矯正よりも治療期間が長引く傾向が見られます。

 

また、違和感によって装置の調整ペースが緩やかになることや、舌や食べ物の接触による影響で装置が破損・脱落することもあります。さらに、歯の動きに問題が生じた場合には再調整や治療計画の見直しが必要になり、その分だけ治療完了までの期間が延びてしまいます。

 

途中でモチベーションが低下し、通院間隔が空いてしまうことも期間延長の要因となるため、歯並びの状態によっては長期戦になる覚悟も必要です。

 

滑舌に影響が出やすい

裏側矯正では装置が舌と直接触れる位置にあるため、発音や滑舌に影響が出やすくなります。特に「サ行」「タ行」「ラ行」など舌の動きを必要とする音が発しにくくなり、会話や電話対応、プレゼンなどで違和感を覚える方も少なくありません。治療開始直後は特に影響が大きく、慣れるまで数週間から数か月かかることもあります。

 

ほとんどの方が次第に慣れて滑舌も気にならなくなりますが、発音ミスを気にして話すことに消極的になってしまう方もおり、精神的なストレスにつながるケースも見られます。職業上、会話量が多い方にとっては大きな障壁となるため、生活スタイルとの相性も考慮する必要があります。

 

歯磨きが難しい

裏側矯正は装置が見えにくいため、歯磨きが非常に難しくなります。ブラシが届きにくい部分が増えることで磨き残しが発生しやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。装置周辺には食べかすやプラークが溜まりやすく、通常よりも丁寧なケアが求められます。

 

特に奥歯の裏側は視認性が低く、セルフケアだけでは十分な清掃ができないこともあります。タフトブラシのような専用の歯ブラシや歯間ブラシ、フロス、洗口液を併用して歯磨きをしましょう。口腔ケアへの意識が低いと、トラブルが起こりやすくなり矯正自体の継続が難しくなる可能性もあります。

 

痛みや違和感を感じやすい

裏側に装置があることで、舌や粘膜に常に接触するため、痛みや違和感を感じやすくなります。口内炎ができやすくなるほか、舌が擦れることで食事や会話中の不快感が増すこともあります。特に矯正開始直後やワイヤー調整後は、強い圧迫感や鈍痛を伴うケースもあります。

 

さらに、舌の動きが制限されることで飲み込みづらさを感じる方もいます。これらの症状は時間とともに軽減することが多いものの、慣れるまでの期間は精神的にも負担となりやすく、治療継続へのモチベーションに影響する場合もあります。快適性の面では他の矯正方法より劣る点といえるでしょう。

 

裏側矯正のメリット5つ

矯正器具が目立ちにくい

裏側矯正の最大のメリットは、装置が歯の裏側に装着されるため、外からほとんど見えない点です。会話中や笑ったときでも矯正器具が視界に入りにくく、周囲に治療中であることを気づかれにくいため、見た目を重視する方にとって非常に大きな利点となります。

 

仕事や学校、冠婚葬祭などのフォーマルな場でも、矯正をしていることを意識せずに自然な表情で過ごせる点は、精神的な負担の軽減につながります。また、写真撮影やオンライン会議のように顔がアップになる場面でも口元を気にする必要がなく、自信を持って笑うことができます。

 

特に審美性への意識が高い方や、対人関係を重視する職種の方にとって、審美性が保たれるという点は、裏側矯正の大きな魅力といえるでしょう。

 

舌癖の改善に繋がる

裏側矯正では装置が舌に近い位置にあるため、舌の動きに影響を与えやすく、結果として舌癖の改善につながることがあります。舌癖とは、無意識に舌で歯を押す、前に突き出す、上下の歯の間に舌を置くといった習慣のことで、歯並びの乱れや後戻りの原因となることが少なくありません。

 

裏側矯正では装置が物理的に障害して舌がこれまでの癖通りに動くことを難しくするため、自然と正しい舌の位置を意識しやすくなります。その結果、歯列の安定性が高まり、矯正後の後戻りを防ぐ効果も期待できます。

 

また、舌の位置が正しくなることで発音や飲み込みの癖も改善され、口腔機能全体のバランスが整いやすくなる点も利点です。単なる歯並びの矯正にとどまらず、機能面の向上にもつながる点は、裏側矯正ならではの価値といえるでしょう。

 

唇が閉じやすい

裏側矯正は歯の表側に装置がないため、口元が前に突き出にくく、唇が自然に閉じやすいです。表側矯正ではブラケットの厚みの影響で口元に違和感が生じ、「口が閉じにくい」「常に唇周りの筋肉がが緊張している」と感じる方もいますが、裏側矯正ではこうしたストレスが軽減されます。

 

唇が自然に閉じられることで口呼吸が減り、口腔内の乾燥防止や虫歯・歯周病リスクの低下にもつながります。また、リラックスした口元は顔全体の印象にも影響しますし、今まで通りの表情を保ちやすくなるという美容的なメリットも期待できます。裏側矯正では口元の自然さを保ちながら、機能面と審美面の両方に配慮して矯正を行うことができます。

 

食後の挟まりが気になりにくい

裏側矯正は装置が外側にないため、食事中や食後に食べ物が目立つ場所に挟まりにくいという利点があります。そもそもブラケットを使用するワイヤー矯正ではどうしても食べ物が装置の周辺や隙間に挟まってしまいます。表側矯正では挟まった食べかすが目立ちやすく、会話前や人前に出る前に鏡で確認しなければならない場面も少なくありません。

 

しかし裏側矯正であれば、装置が裏側なので外見からその様子が分かりにくいため、周囲の視線を気にせず食事を楽しむことができます。外食や会食、デートなどの場面でも精神的な負担が軽く、自然な振る舞いがしやすい点は大きなメリットです。

 

また、見た目だけでなく心理的な安心感が得られることで、治療中のストレスが軽減され、長期間にわたる矯正生活のモチベーションを保ちやすくなります。

 

装置跡がつかない

裏側矯正では歯の表面に装置を接着しないため、治療後、審美部位にブラケット跡が残りにくいという特徴があります。ワイヤー矯正では装置を外した後、歯の表面に接着剤の跡やわずかな凹凸が生じることがあり、表側矯正ではその跡が見える可能性がありますが、裏側矯正ではそれらの跡は歯の裏側に生じるため目立ちません。

 

そのため、矯正終了後も歯の表側は自然で美しい状態を保ちやすく、ホワイトニングや審美治療を行う際にも有利となります。

 

特に前歯の見た目を重視する方にとって、矯正後の仕上がりまで考慮した治療ができる点は安心材料となります。将来的により美しい口元を目指したい方にとって、価値の高いメリットといえるでしょう。

 

裏側矯正と表側矯正の違い

 裏側矯正と表側矯正は、装置の装着位置や見た目、治療の特徴に大きな違いがあります。主なポイントを以下の表にまとめました。

裏側矯正 表側矯正
装置の位置 歯の裏側 歯の表側
見た目 ほとんど目立たない 金属が見えやすい
費用 高額になりやすい 比較的抑えやすい
滑舌 影響が出やすい 影響は少なめ
歯磨き 難しい 比較的しやすい
治療期間 長引く傾向 標準的

審美性を重視するなら裏側矯正、費用や扱いやすさを重視するなら表側矯正が選ばれる傾向にあります。ご自身のライフスタイルや優先順位に合わせて選択することが大切です。

 

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