歯列矯正を検討する際に多くの方が気になるのが、「治療には何年かかるのか」という点です。実際の矯正期間は、歯並びの状態や矯正方法、年齢などによって大きく異なります。一般的には1年半〜3年ほどが目安とされていますが、装置の種類や日々の装着時間を守るかどうかでも結果が変わります。
本記事では、矯正方法別の治療期間の目安と、できるだけ短期間で効果を出すためのポイントを詳しく解説します。
一口に歯列矯正といっても、大きく3つの期間に分けて考えられます。それぞれの時期に何を行うのか、何が目的なのかを把握しておくことで治療 への理解が深まり、スムーズに進めることができます。
歯列矯正は、装置を装着する前に「準備期間」が設けられます。準備期間では、口腔内の検査・レントゲン・型取り・写真撮影などを行い、お口の中の状態を詳しく分析します。虫歯や歯周病がある場合は、まずそれらの治療を完了させてから矯正を開始します。
また、歯のクリーニングや親知らずの抜歯、便宜抜歯が必要な場合もあり、これらの処置を済ませておくことでスムーズな治療が行えます。この段階では、採った資料を元にコンピュータ上でシミュレーションを行い、どのような装置を使うのか、どのような動きをするのか、治療にどれくらいの期間がかかるかといった詳細な計画を立てます。
一般的に準備期間は1〜3ヶ月程度が目安ですが、口腔内の状態によって前後する場合もあります。スムーズな治療経過と矯正治療の成功には、この準備段階での丁寧な診断と治療計画、処置が欠かせません。
矯正装置を装着し、実際に歯を動かしていくのが「矯正期間」です。この期間が最も長く、治療全体の中心となります。歯を動かすスピードは、個々の歯や骨の状態によって異なりますが、一般的には1年半〜3年ほどが目安です。
歯を安全に動かすためには、1ヶ月あたり約0.25mmという非常にゆるやかなペースで進める必要があります。マウスピース矯正は、矯正装置の取り外しがご自身で可能ですが、装着時間が短いと歯が計画通りに動かないため、1日22時間以上の着用管理が求められます。
一方、ワイヤー矯正は固定式のため装着時間の管理は不要ですが、月に一度は必ず来院して歯科医師による調整を行う必要があり、調整のたびに強い痛みが出やすい傾向があります。また、どちらの方法においても、定期的な通院と装着ルールの徹底、口腔内衛生の管理が、大切であり、治療期間を延ばさないための重要なポイントです。
歯が理想的な位置に動いたあと、その位置を安定させるための期間が「保定期間」です。矯正装置を外したばかりの歯は、まだ骨と歯ぐきにしっかり固定されていないため、そのまま放置すると元の位置に戻ってしまう「後戻り」が起こりやすい状態です。これを防ぐために、保定装置(リテーナー)を一定期間装着します。
保定期間は歯科医師によっても考え方が様々ですが、最低でも矯正期間と同じか、1.5倍の年数、保定を行うことを推奨いたします。特に矯正終了後1年は非常に後戻りしやすい期間ですので毎日の装着が重要で、できる限り日中も装置をつけておく方が良いでしょう。
また、推奨された時期を過ぎても就寝中は保定装置をつけて過ごす方が安心です。マウスピース型の保定装置は矯正治療中と同様で透明で目立ちにくく、食事や歯磨きの際に取り外しができるため、日常生活への支障はほとんどありません。
この保定期間を怠ると、せっかく整えた歯並びが早々に崩れる原因となるため、歯科医師の指示に従って装着を続けることが大切です。矯正は「装置を外したら終わり」ではなく、保定期間をしっかり過ごしてこそ本当の完了といえます。
大人の歯列矯正は、一般的に1年半〜3年ほどかかるケースが多いです。すでに歯と顎の骨が成長を終えているため、歯の動きをゆるやかに、慎重に力をかけながら少しずつ動かす必要があります。
また、見た目のバランスだけでなく噛み合わせや機能性の改善も重視されるため、微調整に時間を要することがあります。すでに歯が歯列不正による噛み合わせで不自然に削れていたり、補綴物(被せ物や詰め物)が入っていたりすることも多く、それらを考慮して治療を行う場合は微調整に時間がかかる傾向にあります。
子どもの矯正は、永久歯が生えそろう前の「Ⅰ期治療」と、生えそろった後の「Ⅱ期治療」に分かれます。
Ⅰ期治療は主に顎の成長を利用して歯列の土台を整える目的で、期間は約1〜2年が目安です。その後のⅡ期治療では、大人の矯正と同じように、歯を細かく正しい位置に並べていき、1〜2年ほどかかります。
Ⅰ期のみで終えられるか、Ⅱ期も必要になるかは個々のお口の状態や成長過程にもよるため、Ⅰ期を終えて、その後の経過を見ながら決めていくことが多いです。成長期の子どもは骨が柔らかく歯が動きやすいため、適切な時期に始めれば短期間で効果を得やすいという利点があります。
歯の生え変わりや成長スピードには個人差があるため、期間を重視しすぎるのではなく、成長に合わせて適宜判断していくスタンスが重要となります。
歯列矯正には様々な方法があります。方法別に、かかるおおよその期間を以下でご説明いたします。
表側矯正(ワイヤー矯正)は、歯の表面にブラケットとワイヤーを装着して歯を少しずつ動かしていく最も一般的な矯正方法です。ワイヤーの強い力で歯を三次元的にコントロールできるため、幅広い症例に対応できるのが特徴です。治療期間の目安はおよそ2年程度で、抜歯を伴ったり、歯列から大きく逸脱した歯があるような重度の歯列不正にでも、安定した結果を得やすいのがメリットです。
一方で、装置が目立ちやすく、粘膜に痛みや違和感を感じたり口内炎ができやすい、装置周辺に汚れが溜まり不衛生になりやすい、などのデメリットもあります。最近では、目立ちにくいセラミックブラケットやホワイトワイヤーも普及しており、見た目の抵抗感を軽減できるようになりました。矯正力が強制的に持続して働くため、治療期間が比較的安定しており、確実な仕上がりを求める方に適しています。
裏側矯正(舌側矯正)は、歯の裏側にブラケットを装着して歯を動かす方法です。外からはほとんど見えないため、見た目を気にせず矯正したい方に人気があります。治療期間はおおよそ2〜3年が目安で、表側矯正より少し長くなりやすいです
ただし、裏側は構造上歯の表面よりも複雑で、装置の取り付けや調整に時間がかかります。装置が舌に触れるため、最初の数週間は発音がしづらかったり、違和感を覚えたりすることがあります。
また、技術的に難易度が高いため、経験豊富な歯科医師による治療が求められ、対応している医院も限られます。細かい調整を丁寧に行う分、通院頻度がやや増える傾向があります。
マウスピース矯正(インビザラインなど)は、透明なアライナーを装着して歯を段階的に動かしていく方法です。見た目が自然で、装置の取り外しができるため、食事や歯磨きがしやすいのが大きなメリットです。治療期間は一般的に1年半〜2年程度で、症例が軽度であれば1年ほどで完了することもあります。
ただし、マウスピースは患者様ご自身の装着時間に大きく左右され、1日22時間程度装着しないと計画通りに進みません。装着時間が不足すると、歯が思うように動かず、結果的に治療期間が延びてしまうことがあります。また、抜歯が必要な重度の症例や噛み合わせの大きなズレには不向きな場合もあります。自己管理をしっかり行えば、比較的短期間で快適に矯正を終えることができる方法です。
歯列矯正の治療期間は出来るだけ短くしたいものです。安心安全に進めながら、治療の期間を長引かせないようにするコツについて、以下でご説明いたします。
矯正治療を予定通りに進めるためには、歯科医師の指示通りに矯正装置を装着することが最も重要です。特にマウスピース矯正では、1日22時間以上の装着を守らないと歯が計画通りに動かず、次の段階のマウスピースが合わなくなることがあります(アンフィット)。アンフィットを起こすと、再スキャンや追加アライナーが必要になることもあり、結果として治療期間の延長に繋がります。
一方、ワイヤー矯正の場合も、装置が外れたまま放置すると歯の動きが止まり、調整のやり直しが必要になることがあります。またどちらの治療方法でも「ゴムかけ」と呼ばれる微調整を行うことがあり、これは歯科医師の指示通りに患者様ご自身で行っていただく必要があります。
いずれにしても治療中の約束事を遵守し、破損や違和感を感じた場合はすぐに歯科医院へ相談することが大切です。「少しの油断」が数ヶ月の遅れにつながることを意識し、日々のルールを守る姿勢が矯正成功の近道です。
歯列矯正は、装置をつけて終わりではなく、定期的な調整と確認が不可欠です。通院間隔は一般的に4〜8週間ごとで、歯の動きを細かく確認し、ワイヤーの交換・調整、口腔内の状態確認、装置のフィットの確認などを行います。通院を怠ると、歯の動きが止まったり、計画と実際の歯列にズレが生じることがあり、結果的に治療期間が延びてしまいます。
ワイヤー矯正では調整を行わなければ歯の動きは止まってしまいますし、マウスピース矯正では、歯の動きに合わせて次のステップに進む必要があるため、通院のスキップによって気付かぬうちにアンフィットが起きて治療計画からズレていくリスクがあります。予定通りのペースで進めるためには、通院スケジュールをしっかり守り、やむを得ず遅れる場合も早めに連絡を入れることが重要です。定期的な診察が、治療期間を短縮し、仕上がりの精度を高めます。
矯正中は装置の周りに食べかすや汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。口内トラブルが発生すると、治療を一時中断せざるを得ないこともあり、結果的に矯正期間が長引く原因になります。そのため、毎日の歯磨きはもちろん、デンタルフロスや歯間ブラシを併用して細かい汚れを取り除くことが大切です。
マウスピース矯正の場合は、食事のたびに装置を外して歯磨きを行い、清潔な状態で再装着することが基本です。また、定期的なクリーニングを受けることで、歯石やプラークを除去し、矯正中も健康な口腔環境を維持できます。
きれいな歯ぐきと健康な歯を保つことが、矯正のスムーズな進行につながります。清潔な口腔環境こそ、治療を短期間で成功させるための最も確実な方法といえます。
歯並びや噛み合わせが気になっていても、「自分に合った矯正方法が分からない」「どのくらい期間がかかるのか不安」という方は少なくありません。MeLoSでは、専門のスタッフが患者様のお口の状態やお悩みを丁寧にお伺いし、一人ひとりに合わせた最適な矯正プランをご提案いたします。
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