歯列矯正で歯茎が下がる?歯茎が下がらないための予防法と対処法を解説
2025年10月31日 インビザライン

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。

歯列矯正を検討している方の中には、「矯正で歯茎が下がるのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。実際、矯正中や治療後に歯茎が下がるケースはあり、その原因には歯の移動や歯周病、強すぎるブラッシングなどが関係しています。

 

しかし、正しいケアや矯正方法を選ぶことで、歯茎の退縮を予防することも可能です。この記事では、歯列矯正による歯茎下がりの原因と、予防・対処法について詳しく解説します。

 

歯列矯正で歯茎が下がるって本当?

歯列矯正によって歯茎が下がることは、実際に起こりうる現象です。これは「歯肉退縮」と呼ばれ、歯を動かす過程で歯槽骨(歯を支える骨)が薄くなったり、歯肉に負担がかかったりすることで起こります。

 

特に、歯を大きく動かすケースや歯周組織がもともと弱い方は、歯茎下がりのリスクが高まります。ただし、矯正治療そのものが直接の原因というより、歯の移動スピードや治療計画、日々のケア方法が大きく影響することが多いです。ご自身のお口の中の状態と、治療によって歯茎が下がるリスクを理解し、予防策をとることが大切です。

 

歯列矯正で歯茎が下がる原因

歯列矯正で歯茎が下がる主な原因はいくつかあります。矯正治療では、歯を骨の中で少しずつ動かすため、歯や歯茎、骨に一定の負担がかかります。特に、もともとの骨の厚みや歯の位置、ケアの方法などによって、歯茎が下がるリスクには個人差があります。以下では、歯茎下がりが起こる主な要因を詳しく見ていきましょう。

 

歯槽骨が薄い

歯を支える歯槽骨が薄いと、矯正によって歯を動かす際に骨の外側へ押し出されるような力がかかりやすくなります。その結果、骨の吸収が起こりやすく、歯茎が下がって歯根が露出してしまうことがあります。

 

特に前歯の外側や下の前歯の裏側は骨が薄く、歯の角度が突出していたり歯周病が進んでいたりすると通常よりもさらに薄くなっていることが予想されますので注意が必要です。矯正を始める前に歯科用CTで骨の厚みを確認することで、リスクを把握し、無理のない移動量を設定することが大切です。 

 

歯並びの乱れが大きい

歯列の重なりが強い「叢生(そうせい)」などの場合、抜歯を伴い歯を大きく動かして整える必要があります。歯の移動距離が長くなるほど、歯槽骨や歯茎にかかる負担が増え、歯茎下がりのリスクも高まります。

 

また、歯がねじれて生えていたり重なりが大きかったりすると歯の外側に歯槽骨や歯茎が元々ほとんど無いことも多く、重なりを解消すると大きく歯肉退縮することがあります。治療前に精密検査を行い、慎重に治療計画を立てることが重要です。 

 

歯に強い矯正力がかかっている

歯を動かす力が強すぎると、歯を支える組織に過剰な圧力がかかり、歯槽骨が吸収されやすくなります。本来、矯正は少しずつ弱い力で歯を動かしていくことが理想的ですが、過度な力がかかると組織がダメージを受け、歯茎が下がる原因になります。

 

特に短期間で治療を終えようとする「スピード矯正」などでは、骨や歯肉への影響が大きくなる場合があります。経験豊富な矯正歯科医による適切な力のコントロールが重要です。

 

歯周病の影響を受けている

歯周病が進行している状態で矯正を行うと、すでに歯槽骨や歯肉が弱っているため、歯茎下がりが進みやすくなります。歯周病は、歯を支える骨を溶かす病気であり、矯正の力が加わることでさらに骨吸収が加速する可能性があります。

 

そもそも矯正治療を行う方は、歯並びの乱れがある方ですので、乱れによるブラッシングの不足などで歯周病傾向の方が多いです。そのため、矯正治療の前に歯周病をきちんと治療し、安定した状態にしておくことが欠かせません。治療中も定期的に歯周病のチェックを受けることが大切です。

 

正しくブラッシングができていない

矯正中は装置がついているため、磨き残しが増えやすくなります。特に歯ぐきの境目に汚れが溜まると、歯肉炎を起こし、歯茎が腫れたり退縮したりすることがあります。さらに、しっかりケアしよう!と思うあまり、力を入れすぎたブラッシングも歯茎を傷つける原因となります。

 

適切な力で優しく磨き、補助的にフロスや歯間ブラシを使うことで、健康な歯茎を保てます。ブラッシング圧が正しいのか不安な方は歯科衛生士の指導を受けるのも有効です。矯正中は歯磨き指導を受けながら、正しいブラッシングを心がけましょう。 

 

口腔内の衛生状況が悪い

食べかすやプラーク(歯垢)が残っている状態が続くと、歯周組織に炎症が起きやすくなります。炎症が慢性化すると、歯周病が進行し歯を支える骨が溶け、歯茎下がりにつながります。矯正装置の種類によっては清掃しにくい部分が増えるため、より丁寧なケアが求められます。

 

マウスピース矯正の場合は取り外して磨けるため比較的清掃しやすいですが、それでも装着時間を守らなかったり清掃を怠ったりすると、口腔内環境が悪化します。定期的なクリーニングやプロによるメンテナンスを受けることで、歯茎下がりを予防できます。

 

歯列矯正で歯茎が下がるリスク

歯列矯正は美しい歯並びを手に入れるための治療ですが、歯茎が下がることによるリスクもあります。ここでは、歯茎の退縮がもたらす主な影響についてご説明します。

 

見た目が気になる

歯茎が下がると、歯の根元部分が露出してしまい、歯が長く見えるようになります。このため、笑ったときや会話中に口元の印象が変わってしまい、見た目の美しさに影響を与えることがあります。特に前歯や笑ったときに見える範囲の歯が下がると、その影響は顕著です。

 

歯茎のラインが不揃いになると、歯並び全体が不自然に見える場合もあります。また、歯茎が下がると歯と歯茎の間に黒い隙間(ブラックトライアングル)ができることもあります。前歯部分でできやすく、これも見た目が気になる原因となりやすいです。

 

ブラックトライアングルについてはこちらもご覧ください

 

知覚過敏になりやすくなる

歯茎の退縮によって歯の根元が露出すると、象牙質という部分がむき出しになるため、冷たいものや熱いもの、甘いものに過敏に反応しやすくなります。この知覚過敏は痛みや不快感として日常生活に影響を与えることがあり、食事や飲み物を楽しむ際にストレスになることもあります。特に歯列矯正中は装置による刺激も加わるため、知覚過敏の症状が出やすくなります。

 

虫歯のリスクが高まる

歯茎が下がると歯の根元部分が露出するため、通常の歯ブラシでは磨きにくい箇所が増え、食べかすやプラークがたまりやすくなります。これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、露出した象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、虫歯の進行も早くなったりブラッシングで削れたりする可能性があります。矯正治療中は装置による清掃の難しさも加わるため、より注意が必要です。

 

歯列矯正で歯茎が下がらないための予防法

自身でできる予防

歯列矯正中でも、自宅でできる予防策は多くあります。まず、何より正しいブラッシングが重要です。歯茎を傷つけないように、毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当てて優しく磨くことがポイントです。

 

また、デンタルフロスや歯間ブラシを併用し、歯ブラシで落としきれない汚れを除去することで、歯茎の炎症や退縮を防ぐことができます。加えて、食生活も影響します。糖分の多い食事や酸性の強い飲食物は、歯茎や歯の健康に影響を与えるため、完全に避ける必要はありませんが、摂取量や摂取タイミングを意識してコントロールしましょう。

 

歯科医院でできる予防

矯正治療を受ける歯科医院では、歯茎の下がりを予防するための専門的なケアが可能です。定期的な歯石除去やプロフェッショナルクリーニングにより、歯周病の進行や汚れの蓄積を防ぎます。

 

また、矯正装置による歯茎への負担を最小限に抑えるため、歯科医師によって定期的なチェックを行い、矯正力の調整や適切な装置の選定も行われます。さらに、歯茎の状態や歯槽骨の厚さを定期的に確認し、必要に応じて治療計画を変更したり補助的な処置を行うことで、退縮リスクを低減できます。

 

歯列矯正で歯茎が下がってしまった場合の対処法

歯茎が下がってしまった場合、まずは歯科医院で原因を特定することが大切です。軽度の場合は、正しいブラッシングや歯周ポケットのケアで進行を抑えることが可能です。知覚過敏がある場合は、フッ素塗布や知覚過敏用の歯磨き粉を使用することも効果的です。

 

重度の場合や歯槽骨が薄く歯茎の退縮が進んでいる場合には、矯正治療の計画を再度練り直し、更なる改善が必要であれば歯周外科治療として歯肉移植などの処置が検討されます。いずれの場合も、早期に専門医に相談することで、症状の悪化を防ぎ、口腔環境の改善につなげることができます。

 

歯列矯正で歯茎が下がるのではないか不安な方は、MeLoSにご相談ください

歯列矯正による歯茎の変化が心配な方も、まずは専門のスタッフにご相談ください。患者様のお口の中の状況や歯並びを丁寧に確認したうえで、適切な予防策や治療方法をご提案いたします。また、お近くでインビザライン矯正が受けられる提携クリニックのご紹介も可能です。初回相談は無料ですので、LINEからお気軽にご連絡いただけます。安心して矯正治療を始める第一歩として、ぜひご活用ください。

 

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