MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。
マウスピース矯正とは形の少しずつ異なるマウスピース装置を交換していくことで理想の歯並びへと動かしていく新しい矯正治療方法です。
日本での矯正治療は保険適用外のため高額です。
歯科矯正をしたいけれど費用が高いから、市販のマウスピースを使用してなんとか治せないか？と考える方もいらっしゃると思います。
しかし、市販のマウスピースは矯正には使用できません。
一体何が異なるのか？この記事では矯正用のマウスピースと市販のマウスピースについて詳しくご説明いたします。
まず大前提として市販のマウスピースの目的は「歯の保護」です。
スポーツで受ける衝撃から歯を守る、歯軋りによる歯のすり減りや食いしばりを軽減させるために販売されています。
マウスピースを入れることによって物理的に歯を守る事に加えて、歯列全体で噛む力を分散させ負担を軽減できます。
市販のマウスピースの売り文句には「軽度の矯正にも使用可能」とういう内容が書かれていることがありますが、鵜呑みにするのはお勧めできません。
矯正治療で使用するマウスピースは、患者様の歯並びに関するデータを元に歯科医師が治療計画を立て、その計画に基づいてピッタリとフィットしたものがオーダーメイドで作製されます。
市販のマウスピースは平均的な歯列で作られていて、フィットが悪く、何より歯科医師の診察なしに歯を動かすことは歯の健康のためにもおすすめできません。
市販のマウスピースを使用するメリットについてご紹介いたします。
市販のマウスピースを使用した矯正は数千円〜数万円ほどの治療費で済みます。
歯科医院での矯正治療は部分矯正でも２０〜６０万円程度、全体矯正では８０〜１００万円程度が相場となっていますので非常に高額です。
矯正治療に興味あるけれど、費用がネックで始められない、とお考えになる方も多いため、市販のマウスピースによる矯正は費用面で魅力的に見えます。
歯科医院での矯正治療はカウンセリング、術前検査、治療計画立案、精密な型取りなどいくつものプロセスがあります。
術前検査で口腔内に歯並び以外の問題が起きた場合はそちらの治療も必要となります。
そのため、矯正治療を始めようとしてもすぐに始められるわけではなく、実際にマウスピースを装着して歯を動かすのは最低でも初診から１〜２ヶ月ほどかかります。
それに比べて市販のマウスピースはドラッグストアやネットなどで簡単に購入することができ、届き次第すぐ使用することができます。
市販のマウスピースを使用するデメリットをご紹介いたします。
そもそも、市販のマウスピースに矯正効果は期待できません。
矯正用のマウスピースは歯にピッタリとフィットさせることで力をかけて動かしていきます。
しかし市販のマウスピースでは、多くの人に使用してもらえるように設計されているため、ピッタリとフィットしません。
このようなフィットの悪いマウスピースを使用して歯を動かすことは基本的に「できない」と考えておいた方が良いでしょう。
また、歯科医院での矯正治療ではマウスピースだけでなく、歯の動かし方を考慮してアタッチメントや顎間ゴムのような補助装置の使用も行われます。
これらを適切なタイミングで使用しながらマウスピースを使用することで狙い通りに歯を動かすことができます。
市販のマウスピースでの矯正ではこれらの補助装置を使用することはできません。
歯科医院での矯正治療では、ただ歯の見た目を整えるだけでなく、上下の歯の噛み合わせや歯並びを憎悪させる習癖に対する指導も合わせて行います。
また、矯正治療は場合によって歯と歯の間を少し削ったり、抜歯を行う場合があります。
これらの処置を適切に行うために、術前の検査結果を元に歯科医師が綿密な計画を立てて決められています。
市販のマウスピースで矯正する場合は、仮に歯の見た目が整ったとしても噛み合わせまでは整えることはできませんし、当然このような処置は行われません。
市販のマウスピースでは必要な処置が行われず、噛み合わせが整わないだけでなく、
・歯が痛む
・顎関節症になる
・動かす必要のない歯が動く
・肩こりがひどくなる
などお口の中やお体のお困りごとを増やす原因となります。
歯科医院での矯正治療では幾つのも術前検査を行い、様々な角度からお口の状態を診断して歯科医師が綿密な計画を立てます。
そのため、歯の健康を保ちながら予測実現性の高い矯正治療を行うことができます。
また、定期的な診察を行うことで、矯正治療中におこるトラブルを早期発見、早期解決することができます。
しかし市販のマウスピースは歯科医師の診断が一切ない状態で矯正が進められます。
もちろん歯を正確に並べられるという保証もなく、お口のトラブルが起こっていたとしても気づかないままです。
歯科医師の指示や管理なしに市販のマウスピースを使用して矯正を行ったことで思わぬトラブルが起き、かえって費用や手間がかかることも珍しくありません。
市販のマウスピースを使用して起きる問題については全て自己責任となります。
上記のことを踏まえると、やはり歯並びの改善には市販のマウスピースではなく歯科医院での矯正治療が適していると考えられます。
歯科医院でのマウスピース矯正におけるメリットや効果についてご説明いたします。
市販のマウスピースは誰でもはめることができるようにゆるい作りになっているため、はめても歯列とマウスピースとの間に隙間ができてしまいます。
しかし、歯科医院で行うマウスピース矯正では患者さまの歯並びを型取りして、しっかりフィットするマウスピースを作製して行います。
また、矯正終了までに何十個といったマウスピースを使用しますが、それらは患者さまの歯並びを安全かつ確実に治すための綿密な治療計画に沿ってオーダーメイドで作製されます。
そのため矯正治療の予測実現性も高いものとなります。
歯科医院での矯正治療では通院での歯科医師によるチェックが必須となります。
歯科医師が一人一人にあわせて細かい調整を行うことで効果的に治療を進めることができます。
アタッチメントと呼ばれる突起を歯の表面に設置して、マウスピースの力がより効果的に歯に伝わるよう工夫したり、ゴム掛けを行って歯の動きを補助したりします。
また、マウスピースの動きと歯の動きにズレが生じてきた時は、再度治療計画を練り直すこともあります。
歯科医師によるチェックとフォローをきちんと行うことで無駄な動きを最小限にすることができます。
市販のマウスピースを使用して矯正する場合、歯の状態を確認してくれる人はいません。
そのため途中でトラブルが起きても自己責任となってしまいます。
虫歯や歯周病に気づかないままマウスピースをはめていたり、過度な力を歯に欠けていたりすると、最悪の場合、歯を失ってしまうこともあります。
しかし、歯科医院でのマウスピース矯正では治療期間中、歯科医師の指定したタイミングで通院していただき、常にお口の中の状況を確認しながら矯正を進めていきます。
万が一トラブルが起きても早期発見・対応が可能となり、歯の安全を守りながら動かすことができます。
歯科医院で矯正する場合にももちろん注意点があります。最も大切な３つをご説明いたします。
マウスピース矯正では新しいマウスピースへの交換は患者様ご自身で管理していただくため、数ヶ月分のマウスピースを一気に渡される場合も珍しくありません。
しかしその場合も歯科医師の指示通り定期的な通院は必須となります。
定期的に通院し歯科医師のチェックを受けることで、効果的かつ安全な治療を進めることができます。
歯科医師がどれだけ良い治療計画を作ったとしても、患者様がマウスピースをつけていないと歯は動きません。
マウスピース矯正を成功させるために最も大切なことは、マウスピースの装着時間を守ること、です。
マウスピース矯正では１日あたり２２時間の装着が推奨されています。
マウスピースを正しく、出来るだけ長い時間装着することが、成功率をグッと引き上げます。
近年、マウスピース矯正を取り扱っている歯科医院も増えてきました。
しかし、どの歯科医院でも同じような治療結果が得られる訳ではありません。
治療計画の立て方、治療の進め方にも経験や知識によるコツがあります。
また、トラブルが起こった場合のリカバリーにも知識と経験がモノをいいます。
矯正治療は費用も時間もかかる大掛かりな治療です。
治療実績がきちんとあり、また納得のいく説明をしてくれる歯科医院を選んでマウスピース矯正を始めましょう。
この記事では市販のマウスピース矯正の効果やメリットデメリットなどについて詳しくご説明してきました。
マウスピース矯正に興味がある、という方は安易に市販のマウスピースに手を出さず、まずは歯科医院でご相談することを強くおすすめいたします。
また、MeLoSにはマウスピース矯正の経験豊富なスタッフが多数在籍しています。
どこの歯科医院に相談すればいいか分からない、という方はぜひ一度MeLoSにご相談ください。
専任のスタッフがマウスピース矯正に関する不安や心配を伺って相談に乗ります。
また、お近くのインビザライン矯正を受けられる提携クリニックのご紹介も可能です。
初回相談は無料ですので、お気軽にLINEよりご連絡ください。
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