矯正治療にご興味のある患者様が近年増えてきました。
矯正治療といえばワイヤー矯正のイメージが強い方もいらっしゃると思いますが、最近ではマウスピース矯正という選択肢も出てきました。
この記事では、矯正治療検討中の方向けに、ワイヤー矯正のメリットとデメリット、マウスピース矯正との違い、について詳しく説明していきます。
ワイヤー矯正は、歯に直接つける「ブラケット」とそのブラケットに通す「ワイヤー」の力を用いて行われる矯正治療です。
ワイヤー矯正は矯正治療の最も基本的な方法ですが、装置の材質やつける場所によって様々な種類があります。
ワイヤー矯正には装置をつける場所によって表側矯正・裏側矯正・ハーフリンガル矯正の3つの手法に分けられます。
それぞれメリットデメリットが異なりますので、よく理解した上でご自身に合った方法を選択するようにしましょう。
表側矯正はブラケットとワイヤーを歯の表側(唇側)に装着する矯正方法です。
矯正治療の中でもっともスタンダードな手法で適用できるケースも幅広く、費用も抑えられる傾向にある点がメリットです。
その反面、装置が表側にあるので目立ちやすいという点がデメリットとして挙げられます。
裏側矯正はブラケットとワイヤーを歯の裏側(舌側)に装着する矯正方法です。
装置を目立たせることなく矯正を進められるメリットがあります。
しかし、表側矯正よりも高度な手技が必要であるため、適用できるケースの幅が狭く、費用も高くなりやすいというデメリットがあります。
また、装置が舌側についているので舌が傷ついたり、話しにくくなったりするリスクもあります。
ハーフリンガル矯正とは、上の歯は裏側矯正、下の歯は表側矯正で治療を行う矯正方法です。
よく見える上顎の歯のみ裏側矯正で行うので矯正器具が目立ちづらいのに加えて上下とも裏側矯正を行うよりも費用が安いことがメリットです。
しかし、表側矯正よりも費用が高いことや、適応症例が狭まるといったデメリットもあります。
ワイヤー矯正で歯に直接はりつける装置をブラケットと呼びます。
基本的には動かす全ての歯につける必要があるため、見た目や治療に大きく関わってきます。
このブラケットにもさまざまな素材があるため、以下で詳しくご説明していきます。
金属でできている最もベーシックなブラケットです。
安価で耐久性がありますが、装置が目立ちます。また、金属アレルギーの方にもおすすめはできません。
プラスチックでできたブラケットです。
歯に似た色で目立ちにくいですが、プラスチック製のため強度が低く、長い期間使用していると着色してしまいます。
ハイブリッドブラケットは、プラスチックとセラミックでできたブラケットです。
プラスチックより強度が高く、色も歯に近い色味なので目立ちにくいメリットがあります。
人工ダイヤモンドとも呼ばれる強度のある素材で、白色で表面も滑らかです。汚れがつきにくく、着色もしづらいので矯正装置を清潔に保ちやすいというメリットがあります。
また、ワイヤーとの摩擦も少ないため痛みもやや軽減できる傾向にあります。しかし費用が高額になりやすいのがデメリットです。
セラミックでできたブラケットです。
天然の歯に非常に近い色味で装置が目立ちにくく、汚れや変色にも強いメリットがあります。
しかしメタルに比べると強度が落ちるのと費用が高額になりやすい点がデメリットと言えます。
ブラケット自体がワイヤーを固定するためのクリップ構造になっている特殊なブラケットです。
通常ブラケットとワイヤーは細い針金やゴムで固定しますが、このブラケットの場合は針金やゴムを使用しません。
そのためワイヤーとブラケットの摩擦が小さくなり、効率よく歯に力を加えることができます。
ワイヤー矯正には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
代表的なものをご説明いたします。
ワイヤー矯正は幅広い症例に対応することができます。
軽度な部分矯正はもちろん、抜歯を行って大きく歯を動かす必要がある場合も十分に対応することができます。
マウスピース矯正では不向きな症例でも、ワイヤー矯正で対応できないことはほとんどありません。
ワイヤー矯正の中でも特に表側矯正の適応症例はほぼ全ての歯並びに対応可能です。
ワイヤー矯正では歯に直接装置を貼り付けているため、治療中に患者様自身で装置を取り外すことはできません。
そのため、1度装置をつけてしまえば、患者様の管理なしに装置が継続的に歯に矯正力をかけ続けてくれます。
マウスピース矯正では患者様ご自身で装着に関して管理していただく必要があるので、そちらが面倒に感じたり、自信のない方には非常にメリットがあるといえます。
ワイヤー治療では、マウスピース矯正に比べて一度の調整で歯を動かす距離が大きいため痛みが出やすい反面、効率的に歯を動かすことができます。
そのため治療期間もやや短くなる傾向にあります。
また、細かな調整が術者によってその場で行えるのも、治療を早く終わらせられる理由の一つです。
もちろんワイヤー矯正にはメリットだけでなくデメリットもあります。
代表的なものを以下でご説明いたします。
ワイヤー矯正の最大のデメリットとも言えるのが見た目の問題です。
特にメタルのブラケットとワイヤーを使用して治療を行った場合は見た目に大きな影響を及ぼします。
対応策としては上でご紹介したプラスチック・ハイブリット・セラミック・ジルコニアのブラケットとホワイトワイヤーを使用して矯正治療を行うことです。
これらを使用することで歯に装置の色が馴染み、目立ちにくくすることができます。
また、発音や症例の適応に問題なければ裏側矯正も装置を目立たせずに矯正治療を進めることができます。
ワイヤー矯正中に一度の調整でかかる力は大きくなりやすく、マウスピース矯正に比べて痛みが出やすいとされています。
調整後、歯には継続的な力がかかり続けますが、特に最初の数日間は強い痛みが出やすいです。2〜3日をピークに痛みが出て、1週間を目安に痛みが落ち着いてくることがほとんどです。
矯正が進むにつれて歯も動きやすくなり痛みの程度は減ってきます。
歯に装置が直接ついているため、ブラケットやワイヤーの周りに食べかすが残りやすく、十分なお手入れが難しいこともデメリットの一つです。
汚れが蓄積されたままになると口臭や虫歯・歯周病の原因となるため、普段以上に慎重で丁寧なブラッシングと清掃補助器具の使用が必要となります。
歯ブラシでブラッシングした後、ワンタフトブラシや歯間ブラシを使用して細かな隙間についた汚れもおとすようにしましょう。
また、歯科医院での調整時にクリーニングを受けるのも良いでしょう。
矯正中は装置の破損や脱離を防ぐため、硬いお煎餅などは避けた方が無難です。
歯に痛みを感じている場合も硬い食べ物や弾力のある食べ物は避けた方が良いでしょう。
また、装置にはこまかな突起がありますのでキャラメルやガムのような粘着性のある食べ物はひっつきやすく取れにくいです。
装置の周りに汚れがついたままだと虫歯や歯周病の原因となりますので、それらも矯正中は食べないようにすることをお勧めします。
このように矯正中はなにかと食べ物の制限があり、ストレスに感じる方も多いようです。
歯の表面につけたブラケットが口の中の粘膜などにあたり口内炎ができやすいのもワイヤー矯正のデメリットです。
裏側矯正は舌に矯正装置があたりやすく、そちらも口内炎になりやすいです。
痛みを感じる場合には、ブラケットに専用のワックスをつけて物理的に保護するのも有効な策です。
治療が進むにつれて装置が擦れる痛みや口内炎ができる頻度は減っていくとされていますが、口腔内の痛みや違和感は大きなデメリットと言えるでしょう。
ワイヤー矯正、マウスピース矯正、どちらもメリットもデメリットもたくさんあります。
治療を始めてから「想像と違った」なんてことにならないように、治療開始前にそれぞれのメリットデメリットをよく把握した上で、ご自身の歯並びとライフスタイルやこだわりにあった治療方法を選ぶことが大切です。
ここまでご紹介してきた点をもとに、それぞれの矯正方法におすすめの方を以下にまとめます。
ワイヤー矯正がおすすめの方
・見た目が気にならない方
・不正咬合が重度の方
・マウスピースの装着管理に不安のある方
・費用をできるだけ抑えたい方
マウスピース矯正がおすすめの方
・見た目を重視したい方
・矯正中も食事の制限なく過ごしたい方
・痛みや違和感をできるだけ減らしたい方
・矯正中の歯磨きに不安のある方
・金属アレルギーをお持ちの方
・マウスピースの装着管理に問題のない方
また、マウスピース矯正を選択した場合も、歯並びによっては一部ワイヤーを併用することもあります。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正にはそれぞれメリットとデメリットがあり、さらに適応症例も異なります。
ご自身の歯並びにとってどちらの治療方法の方が適しているかは歯科医師の診断なしでは決定することはできません。
矯正治療を検討していて、ワイヤー矯正かマウスピース矯正かでお悩みの方はぜひ一度MeLoSにご相談ください。
専門のスタッフが歯並びや治療に関するご不安やご心配事をお聞きした上で適切な治療方法をご案内いたします。
MeLoSではインビザラインの小児矯正にも対応しています。不安や心配事のご相談に専門のスタッフがお答えしますので、小児矯正をご検討中の方はぜひ1度ご相談ください。