インビザラインとは少しずつ形の異なる専用のマウスピース(これをアライナーと呼びます)を交換していきながら歯並びを変えていく矯正治療で、装置が透明で目立ちにくいため近年人気がある治療方法です。
しかし、従来のワイヤー矯正と比べて新しい治療方法のため、「聞いたことはあるけどどんな歯並びに有効なのかわからない」と感じている方もいらっしゃるかと思います。
この記事では患者様の中でもお悩みの多い「すきっ歯」とインビザラインの関係について詳しくご説明していきます。
すきっ歯とは歯と歯の間が開いてしまっている状態のことです。
どの部位でも起こる可能性はありますが、特に、歯列全体に隙間がある状態のことを「空隙歯列」、前歯ですきっ歯になっている状態のことを「正中離開」とよびます。
歯列に隙間があることで食べ物が挟まりやすくなったり息が漏れて発音が難しくなることがあることに加えて、見た目がコンプレックスとなることも少なくありません。
すきっ歯になる原因には様々なものがあります。
代表的なものをいくつかご紹介いたします。
先天的に歯のサイズが小さい場合、顎のサイズとバランスが取れず、すきっ歯になってしまうことがあります。
また、矮小歯と呼ばれるような一本だけ極端に形の違う小さな歯の場合も、すきっ歯になる可能性が高くなります。
この矮小歯は上の前から2番目の前歯であることがほとんどです。
ちなみに、乳歯列には隙間がありますが、これは永久歯が生えてくるスペースを確保するためのものなので問題ありません。
永久歯列では通常28本、親知らずを全て含めると32本の歯が生えてきますが、生まれつき永久歯の数が何本か欠損している方もいます。
その場合は歯の隙間が埋まらず、すきっ歯になってしまいます。
上唇小帯とは上の前歯の真ん中から上唇の裏側へと伸びているひだ状の筋です。
上唇小帯が発達して通常よりも長いと前歯どうしの隙間が閉じるのを邪魔してしまい正中離開を起こすことがあります。
歯ぎしりの癖があったり、舌で歯を押す癖があったりすると、歯が外側に押し出されるような力が加わり、すきっ歯の原因となります。
また、習癖が原因ですきっ歯になっている方は、矯正治療で歯の隙間を閉じても、習癖が残ったままだと矯正終了後に再びすきっ歯に戻ってしまう可能性が高いです。
矯正治療の一環として習癖の改善にも取り組む必要があるでしょう。
頬杖を習慣的につく癖があると、顎に大きな力がかかって奥歯の噛み合わせが悪くなる場合があります。
その結果、歯並びが悪化してすきっ歯になることがあります。
特に、こどもの骨や歯並びは変わりやすいので、小さいお子様で頬杖をつく癖がある場合は注意が必要です。
見た目が気にならないのであればすきっ歯でも問題はないのでは?と考える方もすくなくありません。
しかしすきっ歯を放置していると様々なリスクが高まるのです。
すきっ歯を放置するリスクについて代表的なものをご説明いたします。
すきっ歯は歯と歯の間から空気が漏れてしまうため、発音に影響が出やすいです。
特にサ・タ・ナ・ラ行の滑舌が悪くなりやすいとされています。滑舌の悪さはコンプレックスにも繋がります。
幼少期にそれらの傾向が見えたら積極的にすきっ歯の改善を行った方が良いでしょう。
すきっ歯だと歯と歯の間にものが挟まりやすいことに加えてブラッシングが難しいため、汚れが残りやすいです。
その汚れが蓄積されていくと虫歯や歯周病の原因となります。
口腔衛生状態を綺麗に保つためにも、すきっ歯は改善した方が良いでしょう。
すきっ歯を放置していると全体の歯並びも悪化してしまうことがあります。
歯並びの悪化で顎に過剰な負担がかかり、やがて顔周りの筋肉のバランスも崩れてきます。
顔周りの筋肉が常に緊張していたりアンバランスになったりすることで頭痛や肩こりが起こるようになります。
すきっ歯を治すための代表的な治療方法として矯正があります。
矯正治療にはワイヤー矯正とインビザラインのようなマウスピース矯正があります。
ここではインビザラインで治療する際のメリットをご紹介いたします。
インビザラインで使用するマウスピース(これをアライナーと呼びます)は透明でなめらかな装置です。
患者様の歯列の形にぴったり沿うような形なので、装着するとほとんど目立ちません。
従来のワイヤー矯正では歯の表面に凸凹の装置とワイヤーをつけなければならず、目立つため、インビザラインですきっ歯を治療すると矯正装置の見た目を気にすることなく過ごしていただけます。
インビザラインの装置は患者様ご自身で取りはずしていただくことができます。
1日の装着時間は22時間程度と長時間の装着を推奨されていますが、食事と歯磨きの時間は取りはずしてお過ごしいただけます。
装置と歯の周りに食べかすが引っかかったり歯磨きが不十分になってしまう心配も少ないためお口の中のメインテナンスが行いやすく、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。
インビザラインでは1枚のアライナーで約0.25mmを動かしていくことを繰り返していきます。
1枚あたりで動かす量が少ないので痛みや違和感がワイヤー矯正に比べて少ないと言われています。
また、アライナーは歯にピッタリとフィットするように作られていて表面も非常に滑らかです。
そのため装置がお口の中の粘膜を傷つける心配もありません。
先ほどの項目ではすきっ歯をインビザラインで治療するメリットをお伝えしましたが、もちろんデメリットもあります。
代表的なものを以下でご説明いたします。
インビザラインは1日あたり22時間の装着が推奨されています。
インビザラインを成功に導くために何より大切なのがこの装着時間を守ることです。
なぜなら、インビザラインではアライナーを装着していない時間は歯に力が全くかからず歯は動きません。
そのため、外している時間が長くなってしまうと歯が動いていかずインビザライン失敗の原因となってしまうのです。
仕事などで会食が多いような方や装着時間を管理することが苦手な方には不向きな治療と考えられます。
インビザラインのアライナーは患者様自身で取り外すことが可能です。
食事の際に外してそのまま無くしてしまった、間違えて捨ててしまった、適当な場所にしまって破損してしまった、といったトラブルはよく起こります。
そのようなトラブルを避けるため、専用のケースや置き場をつくるなどアライナーを管理する工夫が必要です。
また、患者様は歯科医師の指示を受けて、ご自身でアライナーを交換していかなければなりません。
適切なタイミングでアライナー交換を進めていくことができなければインビザラインでの矯正が失敗に終わってしまう可能性があります。
インビザラインは新しい矯正治療方法です。
そのため、全国どこの歯科医院でも治療が可能というわけではありません。
インビザライン治療を受ける場合はご自身の希望する医院がインビザラインを取り扱っているか、どの程度の治療実績があるのかなどをしっかり調べてから治療を開始することが大切です。
インビザラインですきっ歯の治療を行う場合、気になる部分のみの歯を動かす部分矯正と奥歯の噛み合わせも含めて歯を動かす全体矯正があります。
部分矯正で治療する場合は約30万円〜60万円、全体矯正で治療する場合は約80万円〜100万円ほどと考えられます。
しかし、矯正治療は自由診療となりますので医院によって価格やシステムに大きく差があります。
ご自身の希望する医院ではどのような価格設定なのか、カウンセリングの際によく確認しておきましょう。
部分矯正で治す場合は約3ヶ月〜1年、全体矯正で直す場合は約2年ほどかかることが多いです。
インビザラインでは開始前にコンピュータ上で歯を動かすシミュレーションを作り、治療計画を決定していきますので、歯を動かし終わるのに大体どのくらいの期間がかかるのか確認してから始めることができます。
しかし、装着時間が十分に取れなかったり、抜歯を行うような複雑な治療計画の場合などは、計画通りに歯が動かず追加のアライナーが必要となり、治療期間が伸びることがあります。
この記事ではインビザラインとすきっ歯について詳しく説明してきました。
しかし、すきっ歯の原因や、適切な治療方法などに関してご自身で判断することはできません。
ご自身のすきっ歯の歯並びに対してインビザライン治療を検討していらっしゃる方はぜひ一度MeLoSにご相談ください。
MeLoSでは専門のスタッフが患者様の不安や心配のご相談に乗ります。