インビザラインとは専用のマウスピース(これをアライナーと呼びます)を交換していきながら歯並びを変えていく矯正治療で、装置が透明で目立ちにくいため近年人気がある治療方法です。
しかし、インターネットでインビザラインについて検索すると、「インビザラインをすると噛み合わせが悪くなる」といったような誤った情報に出会うことがあります。
インビザラインを正しく使用していれば噛み合わせが悪くなることはありません。
この記事ではインビザラインと噛み合わせについて詳しくご説明していきます。
インビザライン矯正をすると噛み合わせが悪くなる、という誤った情報に出会ったことのある方も多いのではないでしょうか。
インビザラインは歯列矯正の一つです。
歯列矯正の目的は、従来のワイヤー矯正でもインビザライン矯正でも同じで「歯並びを整えることで審美的・機能的改善を行う」ということです。
インビザラインでは事前に作成する治療計画で最終的な噛み合わせを歯科医師が確認してから矯正治療を開始します。
そのため、インビザラインの装着で噛み合わせが悪くなることは基本的にありません。
しかし、インビザラインによる治療が進んで歯が動いてくると一時的に噛み合わせが悪くなることがあります。
人によってはその状態を治療を進めているはずなのに噛み合わせが悪化した!と感じてしまうかもしれません。
その場合も最終位置まで歯が動けば良好な噛み合わせが得られるので心配はいりません。
インビザライン治療を進めると噛み合わせが悪くなった!と感じた方は何が原因なのでしょうか。
噛み合わせが悪くなったと感じる場合の多くは治療計画通りに歯が動いていないことが多いです。
治療計画通りに歯が動かない原因として考えられるものを以下でご説明いたします。
アライナーを装着する時に少し浮いた状態で装着していたり、ズレていたりするとアライナーの矯正力がうまく歯につたわらず、治療計画からズレた動きをしていってしまいます。
ズレたままアライナーを進めていくとだんだん治療計画とのズレが大きくなり、再度追加のアライナーを作り直す必要が出てきます。
計画された歯並びに到達するまでに時間がかかってしまうので噛み合わせが悪いと感じる期間も長くなり、インビザラインを始めたのに噛み合わせが悪くなったと感じやすくなります。
インビザライン矯正を成功させる上で最も大切なのはアライナーの装着時間を守ることです。
アライナーの装着時間は1日22時間以上が推奨されています。
この装着時間を大きく下回る日が多くなると治療計画通り歯が動かないだけではなく、後戻りなどを起こして治療計画とは異なる方向に動いてしまうこともあります。
間食などはなるべく控えて食事と歯磨き以外の時間はアライナーを装着することを徹底しましょう。
アライナーは患者様の歯並びごとにオーダーメイドで作成していて非常に精密に計算されてできています。
そのためアライナーが変形を起こしていると治療計画通り動かすための矯正力がかからず想定外の動きをしてしまいます。
アライナーはプラスチックでできているため、熱や過度な力によって変形や破損を起こしてしまいます。
洗浄する際は水かぬるま湯で行うようにし、外している間は専用のケースに入れて保管するように注意しましょう。
アライナーをした状態で強く歯を噛み締めてしまうことが続くと、その力で歯が顎の骨の中に押し下げられてしまい、想定していたところより低い場所に位置してしまうことがあります。
その場合はアライナーの厚みの分、歯が噛み合わなくなってしまいます。
また、噛み締めによってアライナーの破損のリスクも高まります。
従来のワイヤー矯正とインビザライン矯正、それぞれに得意不得意があります。
インビザライン矯正はアライナーで歯を覆って力をかけていくため、覆う面積が小さいと動きが悪くなります。
歯の高さが著しく低かったり、歯の幅が著しく細い場合などはアライナーで動かしづらくなります。
また、歯を回転させたり引っ張り出したりすることも苦手です。インビザラインの不得意が多い歯並びだと、治療を進めてもなかなか歯並びが改善されずに噛み合わせが悪くなったと感じるかもしれません。
インビザラインが苦手とする動きが多い場合は一部ワイヤー矯正を使用すると治療がスムーズに進むことがありますので担当歯科医師と相談してみると良いでしょう。
インビザラインではさまざまな噛み合わせの治療に対応しています。
インビザラインで対応可能な歯並びを以下でご説明いたします。これらの歯並びは複合した状態になっていることも多く、診断には歯科医院での検査や診察が必要です。
上顎前突(出っ歯)とは上の前歯が下の前歯に対して飛び出しているような状態の歯並びです。前歯で物が噛みきれなかったり、奥歯に過度な負担がかかりやすい噛み合わせをしていることが多いです。
歯を並べるためのスペースが不足して前歯が前に飛び出している場合は、抜歯やIPR、遠心移動などを行ってスペースを確保し、インビザラインで前歯を後方に移動させることで噛み合わせを整えることができます。
骨格による上顎前突が激しい場合はインビザライン矯正のみでなく外科矯正が必要になる場合もあります。
下顎前突(受け口)とは上顎前突(出っ歯)とは逆に下の前歯が上の前歯に対して飛び出している状態の歯並びです。
この場合も前歯でうまく物がかみきれない、奥歯に過度な負担がかかりやすい噛み合わせになることが多いです。また、発音しにくい音があることがあります。
矯正治療では上顎前突と同じように下顎にスペースを作り、飛び出している前歯をインビザラインで移動させて歯並びを整えます。しかし受け口も骨格によるものはインビザラインのみで治すことは難しく、その場合は外科矯正を併用する必要があります。
叢生とは歯が重なり合ってガタガタに並んでいる歯並びのことです。八重歯と呼ばれる歯並びも叢生の一種です。
上下の噛み合わせが反対になってしまったり、前後左右に歯を動かすと一部引っかかるような噛み合わせになることが多いです。
この歯並びは顎のサイズに対して歯のサイズが大きいために歯が並ぶためのスペースが足りず、歯が重なり合ったり歯列から逸脱して生えたりしてしまうためにおきます。
スペースを作るために必要に応じて、歯列拡大・遠心移動・IPR・抜歯などの処置を加えながらインビザラインで噛み合わせを整えていきます。
歯と歯の間に隙間が生じている歯並びです。見た目だけでなく、上下の歯がうまく噛み合わないためうまく発音できない音があったり、歯の隙間に食べ物が詰まりやすくなったりします。
奥歯の噛み合わせが問題なく、前歯だけに隙間が生じてるような場合はインビザラインを使用した部分矯正で短期間に治療できる場合もあります。
インビザラインでの矯正治療中に噛み合わせが悪くなってきたかも……と感じると不安になってしまう方も多いと思います。
そんな時は以下の対処法を試すようにしましょう。
噛み合わせが悪くなっているかも、と不安に感じたら、まずは担当の歯科医師に相談しましょう。
噛み合わせは患者様だけで判断することは困難で、歯科医師の診察と専門的な知識が必要です。
万が一治療計画とのズレが生じている場合にも、早めにトラブルを発見することができればリカバリーも簡単で済みます。
自己判断で進めたり、やり方を変えることは避け、必ず歯科医師の指示を仰ぐようにしましょう。
インビザライン矯正治療中は数週間〜数ヶ月に一度の通院が指示されます。
その時に相談するか、歯科医院に問い合わせて通院日を早めるのもいいでしょう。
アライナーを正しい方法で推奨される時間、しっかり装着できていないと歯を治療計画通りに動かすことはできません。
ご自身の装着方法が正しいか、装着時間が確保できているか今一度見直してみましょう。
また、装着する際にはぜひチューイーを使用しましょう。
チューイーを使用して歯にアライナーを密着させることで、よりズレの起こりにくい矯正を進めることができます。特にアライナー交換直後は浮いてきやすいため普段より長めにチューイーを噛むと効果的です。
そもそも使用しているアライナーが変形していたら、矯正治療は正しい方向に進めることができません。
変形している場合は新しいアライナーを再製作する必要があります。使用を中止して、なるべく早く受診するようにしましょう。
この記事ではインビザライン矯正で歯並びが悪くなってしまう可能性について詳しくご説明してきました。
インビザライン矯正が気になっているけれど、噛み合わせがどうなるのか気になる、という方はぜひ一度MeLoSにご相談ください。
専門のスタッフが患者様のお口の中の状態をお聞きした上で不安や心配のご相談に乗ります。