ガミースマイルとは、ガミーフェイスとも言い、笑った時や話している時に上顎の歯茎が広範囲に露出する口元のことをいいます。
1〜2mmの歯茎の露出は正常の範囲内とされ、ガミースマイルには該当しません。
原因には歯並びや骨格など様々なものがありますが、中には歯並び自体には問題がないのにガミースマイルになってしまう方もいます。
その場合は必ずしも治療が必要というわけではありません。チャームポイントの一つとして捉えることもできます。
しかし、ガミースマイルがコンプレックスに感じる方も多く、思いきり笑うことができなかったり口元を手で隠すようになってしまう方も少なくありません。
特に若い方は機能面ではなく審美面でガミースマイルを気にされて矯正治療の相談に来られる方も多いです。
ガミースマイルになる原因にはいくつか種類があります。原因となることが多いのは
・歯並び
・骨格
・口周りの筋肉
・上唇の形
が挙げられます。これらの原因はいくつか複合してガミースマイルを引き起こすこともあります。
上下の歯を噛み合わせた時に上の歯が下の歯に大きく覆い被さってしまう「過蓋咬合(ディープバイト)」と呼ばれる噛み合わせの場合はガミースマイルも合わせて引き起こすことが多いです。
歯が前方に大きく倒れこんでいたり、歯の生える位置が著しく低い位置にあったりすると、過蓋咬合になりやすく歯茎も目立ちやすいです。
この場合は矯正治療で歯並びを整えることで改善が見込めます。また、そもそもの歯のサイズが小さい場合も歯茎の面積が大きくなり歯茎が目立ってしまいます。
この場合は特に歯並びに問題がなくてもガミースマイルになります。
歯のサイズが原因となる場合は「歯冠長延長術」と呼ばれる歯茎の整形術を行い、歯ぐきを切って歯の見える面積を増やすことで改善させます。
上顎骨のサイズが縦に長かったり、下顎骨に対して著しく前方に出ていたりする場合は、上唇で覆える範囲をこえて歯茎の見える範囲が大きくなってしまいます。
骨格に関しては先天的なものがほとんどなので、血縁者に骨格が原因のガミースマイルの方がいると遺伝する確率は上がります。
骨格が原因でガミースマイルになっている場合は歯列矯正のみで治療することはできず、顎の骨を切って骨のサイズを整える外科手術の併用が必要になることが多いです。
骨のサイズや位置に異常がある場合は保険適用となる場合もあります。その場合はインビザラインでの矯正治療は認められておらず、従来のワイヤー矯正での矯正治療となります。
口周りの筋肉が原因となることもあります。
口周りの筋肉、とくに上唇を引き上げる「上唇挙上筋」の力が強いと、話したり笑ったりした時に上唇が上に引き上げられてしまい、歯茎が見えるようになり、歯並びに問題がなくともガミースマイルとなってしまいます。
この場合は矯正治療ではなく、ボトックス注射を打って上唇挙上筋をはじめとするお口周りの筋肉の収縮を緩和することで改善を見込めますが、ボトックス注射の効き目は数ヶ月なので定期的に施術を受ける必要があります。
上唇の形態もガミースマイルの原因となります。
もともと上唇が薄い方は笑った時に歯茎が見えやすくなります。この場合も歯並びに問題がなくともガミースマイルを引き起こします。
上唇の形態が問題の場合はヒアルロン酸注入などで上唇厚さをコントロールすることで改善が見込めます。
しかしこの治療方法も定期的に施術を行う必要があります。
歯並びが原因でガミースマイルになっている場合は矯正治療で改善することができます。
歯並びが原因のガミースマイルでは「過蓋咬合」や「上顎前突(出っ歯)」の歯並びであることが多いです。
まず、過蓋咬合には前歯の圧下を行うのが有効です。圧下とは歯を顎の骨の中に押し込むことで、圧下を行うことで前歯の被蓋関係を正常にすることができます。
さらに上顎前突に対しては歯の遠心移動を行います。遠心とは歯の奥側のことを指し、奥歯から順に奥の方へと歯を動かしていくことで歯の前突感を解消することができます。
遠心移動には動かせる量に限界があるため、約2.5mmを超える遠心移動が必要となる場合は小臼歯の抜歯やIPRを行って前歯を引っ込めるためのスペースを作ります。
インビザラインのみで治療が難しい、もしくは時間がかかると歯科医師が判断した場合は、ワイヤー矯正やインプラントアンカースクリューの併用をご提案することもあります。
インビザラインでは様々な症例に対応しているため特殊な場合を除いて、治療ができないということは少ないです。
しかしどの装置にも得意不得意がありますのでインビザラインのみで歯並びを整えようとすると、治療計画が非常に複雑になったり、治療期間が長くかかったりすることがあります。
そのように歯科医師が判断した場合は治療計画の一部にワイヤー矯正を用いて、それぞれの装置の得意を活かした治療計画を立てることがあります。
矯正治療では歯を動かすための柱のような役割を担う固定源と呼ばれる部位が必要になります。
ガミースマイルの改善では前歯を後ろに動かすため、多くの場合は奥歯を固定源とします。
しかし、奥歯を固定源にすると前歯を引っ張る力に負けて奥歯もおもわぬ動きをしてしまうことがあります。
そのためその現象を避けるために、奥歯の代わりに顎の骨に小さなネジをうめこんで、そのネジを固定源にすることがあります。
ネジは引っ張られても動くことはないので固定源として有効に利用することができます。この処置を行う場合は追加の費用が数万円かかることがあります。
上顎骨のサイズが縦に大きい場合は矯正治療で歯並びを整えても、ガミースマイルを直すことはできません。
その場合は口腔外科での骨を切ってサイズを整える外科手術が必要となります。
顎のサイズの不調和によって不正咬合が起こっていると歯科医師が診断した場合は外科手術を含む一連の矯正治療が保険適用になります。
しかし、使用する装置はワイヤーとなり、インビザラインは行えませんので注意が必要です。
歯に歯茎が大きく被さってしまっていることが原因でガミースマイルになっている場合もインビザラインで歯並びを整えてもガミースマイルは改善されません。
被さっている歯茎を切除して見える歯茎の量を少なくするための処置が必要ですので歯肉整形の処置を行います。
こちらも外科手術になりますが、骨を切ったりするような大掛かりなものではないので、普段の歯科治療で用いる局所麻酔で行います。
通常よりの口周りの筋肉の緊張がつよいと上唇が大きく引き上げられてしまい、話したり笑ったりした時に歯茎が広範囲に見えるようになってしまいます。
その場合は緊張の強い筋肉にボトックス注射をうち、筋肉の緊張を緩めることでガミースマイルが緩和されます。
ボトックス注射は取り扱っている医院に限りがありますので、希望する場合は担当歯科医師に相談してみましょう。
ガミースマイルの原因や程度には様々な種類があり、それぞれ治療方法が異なります。それらをご自身で判断するのは非常に困難です。
MeLoSでは専門のスタッフが患者様のお口の状況をお聞きした上で適切な治療方法をご案内いたします。
インビザラインが有効だと判断した場合はインビザラインに関する不安や心配のご相談にも乗ることが可能です。
ガミースマイルを改善したい!と考えてらっしゃる方はぜひ一度MeLoSにご相談ください。