インビザラインとは専用のマウスピース(これをアライナーと呼びます)を交換していきながら歯並びを変えていく矯正治療で、装置が透明で目立ちにくいため近年人気がある治療方法です。ではインビザラインで使用するアライナーはどのようにお手入れするのが正解なのでしょうか。この記事ではインビザラインのアライナーの洗い方について詳しく解説していきます。
インビザラインの洗い方の手順をご説明ください。
インビザラインではアライナーと呼ばれる透明のマウスピース型装置を使用します。アライナーは1日22時間以上使用が推奨されるため衛生的に使いたいところです。アライナーの洗い方や手順について詳しくご説明いたします。
インビザラインのアライナーは1日22時間以上、歯磨きと食事の時間以外は常に装着しておくことが推奨されます。しかし、だからといってアライナーを装着したままお手入れすることはやめましょう。外した上で内側も綺麗にすることが必要です。食事後の歯磨きなど、外したタイミングでお手入れを行うのがいいでしょう。
アライナーはプラスチック製のため、熱湯で洗うのは避け、ぬるま湯か水で優しく汚れを洗い流しましょう。その際、指でこすり洗いすると良いでしょう。歯ブラシなどのブラシを使用して磨くのは避けてください。表面に細かな傷がつき、細菌が繁殖する原因となってしまいます。
基本的には流水で洗うだけで十分ですが、流水で流すだけでは汚れや匂いが気になる方は専用の洗浄剤を使用しても良いでしょう。マウスピース用の洗浄剤がありますのでそちらを歯科医院などで購入して、週に1〜2回10分程度漬けおきするのが効果的です。入れ歯用のものなどは成分が異なりますので、必ず専用のものを使用しましょう。
洗浄剤の使用後は、よく洗い流しましょう。洗浄剤を使用したあとは洗浄剤の成分が残らないようにしっかり洗い流してください。すすぎが不十分だと洗浄剤の成分がアライナーを劣化させてしまう可能性があります。また、洗浄剤の成分は多少であれば口に入っても問題のないもので構成されていますが、成分が残留したアライナーの装着が続くと体に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。
お手入れのあと、すぐに装着しない場合は必ず十分に乾燥させるようにしましょう。水分が残った状態で保管しているとカビや細菌が繁殖する原因となり不衛生です。ティッシュなどで水分を拭き取り、風通しの良い場所に置いて保管するようにしましょう。
洗浄剤にも種類があります。最も一般的なのは漬けおきタイプで、タブレットまたは粉末状の薬剤をぬるま湯などに溶かし、その中にアライナーを数分漬けます。その後ブラシで磨き流水ですすぎます。すすいだ後は通常通り使用することができます。ほとんどの場合タブレットや粉末は個包装になっているので旅行や出張など泊まりがけで出かける場合のお手入れにも持っていきやすいです。また、泡やスプレータイプもあります。こちらのタイプはシュッとアライナーに吹きかけ数分待ったのちブラシで磨いて流水ですすぎます。溶かす手間もなく待つ時間も少ないので外出先でさっと洗浄したい時に便利です。ご自身のライフスタイルにあったものを探して使用するようにしましょう。
<参考商品>
・漬け置きタイプ
グラクソ・スミスクライン
ポリデント リテーナー・マウスピース用洗浄剤
タブレット上の薬剤をぬるま湯に溶かし、5分つけおきます。その後やわらかいブラシで磨いて流水で洗い流してください。
・泡タイプ
グラクソ・スミスクライン
デンタルラボ 泡ウォッシュ 部分入れ歯洗浄剤
(矯正用リテーナー・マウスガードにも使用することができます)
アライナーに直接泡を吹きかけ、90秒を目安に柔らかいブラシで磨きます。その後流水で洗い流してください。
インビザラインを洗う際の注意点を解説してください。
アライナーを洗う際にいくつか注意すべき点があります。注意点を守らないとアライナーの変形や不衛生に繋がり、矯正治療中の思わぬトラブルに繋がります。
インビザラインのアライナーは特殊なプラスチックでできています。そのため熱湯で煮沸消毒を行うと容易に変形を起こしてしまいます。アライナーは歯列にフィットするように作られていますので変形したアライナーは使用することができなくなります。再度アライナーの発注が必要となり、時間も費用も余計にかかってしまいます。
アライナーを装着していない間は必ず乾燥させるようにしましょう。水分がアライナーに残っているとカビや細菌が繁殖してしまい不衛生です。ただ、乾燥させる際に気をつけなければならないのが自然乾燥させるということです。ドライヤーの熱風などを当ててしまうと熱でアライナーが変形してしまいます。ティッシュなどで水分を取った後、風通しの良いところに保管しましょう。
アライナーの汚れが気になっても歯磨き粉をつけて磨くのは避けましょう。多くの歯磨き粉には研磨剤という成分が入っています。この研磨剤がついた状態でアライナーを磨くとアライナーの表面に無数の細かい傷がつき、そこに細菌が繁殖するので不衛生です。汚れが気になっても、こすり洗いと洗浄剤で対応するようにしましょう。
アライナーは特殊な加工が施されてはいますがあくまでもプラスチック製です。アライナーを洗う時に硬いブラシなどを使用すると傷がついて不衛生になる原因となります。また強い力で取り扱わないようにも注意しましょう。強い力を加えてしまうと破損や変形の原因になります。インビザラインのアライナーは歯の形にフィットすることで歯に適切な力をかけるようにできているので破損や変形を起こしたアライナーは使用を継続することができません。作り直しになると矯正治療が遅れるだけでなく追加費用が必要になる場合もあります。
お口の中には細菌がたくさんいます。特にアライナーをつけていると唾液の作用が働きづらくなってさらに細菌が増えやすくなります。ですのでお口の中からアライナーを外したらすぐに洗うようにしましょう。お口の中の細菌がついたまま放置しておくとアライナーが不衛生です。もし外出先などで手洗い場がなく、すぐに洗えない場合はウェットティッシュなどでぬぐうようにしましょう。万が一に備えて普段から持ち歩いていると安心です。
基本的にインビザラインはつけ外しをするたびに流水で洗い流すようにしましょう。こすり洗いを行うのは歯磨きのタイミングがいいでしょう。少なくとも就寝前には必ずこすり洗いを行いましょう。洗浄剤の使用は必須ではありませんので気になる場合のみ1週間に1〜2回程度行いましょう。
ここまでインビザラインの洗い方についてご説明してきましたが、もしアライナーを洗わなければどのようなことが起こるのでしょうか。アライナーを洗わない悪影響についてご説明いたします。
インビザラインもアライナーを汚れたまま放置したり、濡れたまま風通しの悪い場所に置いておいたりするとカビ菌が繁殖してカビが生えてしまいます。またアライナーはプラスチック製ですので、周りのものから色素を吸着してしまいます。清潔な状態に保ってしていれば過度な変色を起こすことはまずありませんが、汚れが付着したまま放置してしまうとその付着物の色素がうつってアライナーが変色してしまう原因になります。変色したアライナーを綺麗にすることは困難なので、外したらすぐ洗い、つける時も綺麗なお口の状態でつけるように徹底しましょう。
インビザライン治療中は唾液が十分に行き渡りにくく、口臭が発生しやすい状況です。インビザラインを清潔に保つことができていないと、残った汚れによって細菌が繁殖してさらなる口臭を引き起こすことになります。インビザライン治療中はアライナーを1日22時間以上装着することが推奨されます。食事と歯磨きの時間以外常につけていることになるので、アライナーによる口臭が進むと治療を続けるモチベーションが保ちづらくなる可能性もあります。治療中を少しでも快適に過ごすために、アライナーは清潔を保ちましょう。
インビザライン中はアライナーで唾液が十分に行き渡らないため、通常よりも虫歯や歯周病になりやすい状態です。アライナーの表面、特に内面に汚れが付着したまま長時間装着していると汚れと歯や歯茎がずっと付着していることになります。この状況は虫歯や歯周病になるリスクを高めてしまいます。また、汚れたアライナーに細菌が繁殖することでも虫歯や歯周病のリスクは高まります。矯正治療途中に虫歯や歯周病が進行すると矯正を一度ストップさせてそちらの治療を優先させねばなりません。また、治療によって歯の形が変わった場合は今までのアライナーが使えず作り直しになってしまいます。お口の中の健康を保ち、矯正治療をスムーズに進めるためにもアライナーは清潔にしておくことが大切です。
この記事ではアライナーのお手入れ方法について詳しくご説明してきました。インビザラインでは少なくても数ヶ月、長いと数年にわたってアライナーを使用することになります。長い期間使用するアライナーだからこそ正しく清潔にするための方法はきちんと知っておくことが大切です。適切な取り扱いはアライナーの寿命を伸ばし、使用感も快適に保ってくれます。MeLoSではインビザラインに関するご不安やご相談に乗ることができます。インビザラインについて気になるけどどこで相談したらいいかわからない、とお悩みの方はぜひ1度ご相談ください。専門のスタッフが丁寧にお答えいたします。