開咬(オープンバイト)はインビザラインでの治療が最適!症例や方法をご紹介
2025年9月30日 インビザライン

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。

インビザライン矯正とは少しずつ形の異なる透明のマウスピース(これをアライナーと呼びます)を交換することで歯を動かしていく近年人気の歯列矯正治療です。インビザラインで治療する歯並びにも様々な種類があり、そのうちの一つに「開咬」と呼ばれるものがあります。この記事ではその「開咬」について詳しくご説明していきます。

開咬(オープンバイト)とは

開咬とはオープンバイトとも呼ばれ、上下の歯を噛み合わせた時に奥歯のみが噛んで、前歯が噛まない状態で隙間ができてしまう不正咬合の1つです。歯にはそれぞれ役割があり、奥歯は食べ物をすりつぶして細かくする役割、前歯は食べ物を噛み切る役割があります。

 

開咬の方は特に麺類が前歯で噛み切ることが出来ず、食べづらいと感じる方が多いです。前歯で噛み切ることが出来ないだけでなく、奥歯のみに負担がかかるようになったり、口呼吸が多くなったりと二次的な弊害も多い不正咬合です。

 

開咬(オープンバイト)の原因

開咬になってしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか。開口になる原因は先天的な要因(骨格など生まれつき決まっているもの)と後天的要因(生まれてからの環境や習慣によるもの)の二つに大きく分けられます。

 

原因として代表的なものは遺伝・口呼吸・幼児期の指しゃぶりが挙げられ、遺伝は先天的な要因、口呼吸と指しゃぶりは後天的な要因に分類されます。以下でそれぞれについて詳しくご説明していきます。

遺伝

開咬には遺伝的な骨格が原因の方もいらっしゃいます。ご家族やご親族に開咬の方がいらっしゃる場合は、遺伝して開咬になる可能性があります。遺伝の場合は成長して骨格が出来上がってくるにつれてだんだん開咬が目立つようになことがありますので、定期的な歯科検診を行って噛み合わせの状態を確認してもらうようにしましょう。

口呼吸

口呼吸をしていると開咬になりやすくなります。アレルギー性鼻炎で長期にわたって鼻が詰まっていたり、お口周りの筋肉が弱い方は、いつもポカンとお口が開いて口呼吸になってしまいます。本来であればお口を閉じている時、歯は外側(唇側)から適切な力でおさえられますが、口呼吸をしていると外側からの力がかからないために歯がだんだん外側に開いたような歯並びになります。その結果開咬となってしまうのです。また、口呼吸をしていると舌も正常な位置にかれないことが多く、舌で前歯を押す癖がついてしまったりします。このような舌癖も開咬を助長します。

 

幼少期の指しゃぶり

こどもの頃の習癖は骨格や歯並びに大きく影響を与えることがあります。指しゃぶりをしていると指が前歯に押し付けられるため、だんだん前歯が外側に押し出されていきます。指しゃぶりの頻度や期間が長ければ長いほど開咬が進んでいきます。指しゃぶりをして過ごしていた方の歯並びは開咬のリスクとともに出っ歯になるリスクも高まります。

 

骨格がまだ未発達の時期に指しゃぶりをしていると、上顎骨の成長にも影響を与えるため注意が必要です。3歳ごろまでの指しゃぶりは発達による自然なものであることが多いため気にする必要はありません。しかし4歳を過ぎても高頻度で指しゃぶりをしている場合は少しずつ卒業を促すような工夫が必要となるでしょう。

 

開咬(オープンバイト)を放置するリスク

開咬は前歯で食べ物が噛みにくい以外にも様々なリスクがあります。開咬の方の中には、一見歯並びがきれいにみえるけれど実は開咬だったというパターンもあり、歯科医院で指摘されて初めて自分が開咬という状態であることに気付く方もいらっしゃいます。見た目が気にならなければ矯正しなくてもいいのでは、とお考えになる方もいらっしゃいますが、それはお勧めできません。開咬にはどのようなリスクがあるのか、代表的なものについてそれぞれ解説していきます。

虫歯や歯周病になりやすい

開咬になるとお口が開いた状態で過ごすことが多くなります。お口が開いた状態で過ごしていると、お口の中の乾燥が進み唾液の量が少なくなります。唾液はお口の中を潤すだけでなく、自浄作用や抗菌作用もあります。唾液が減ることで虫歯や歯周病にかかりやすい環境となりリスクが高まります。

 

滑舌や発音に影響が出る

滑舌や発音は歯並びが大きく関係します。特にサ行、タ行、ラ行は前歯の歯並びの影響を大きく受け、開咬だと前歯の隙間から空気が漏れてうまく発音することができません。インビザライン矯正で開咬を改善することで滑舌や発音も改善することができます。

ドライマウスになる

開校はお口が開いた状態になりやすいのでお口の中が乾燥しやすくなってしまい、いわゆる「ドライマウス」という症状を引き起こします。虫歯や歯周病になりやすい、と先ほどお伝えしましたが、ドライマウスで唾液の量が減ることで虫歯菌や歯周病細菌以外の菌やウイルスも繁殖しやすくなります。その結果、風邪やインフルエンザのような感染症にかかりやすくなったり口臭がひどくなったりします。歯の健康を守るためでなく全身の健康を守るためにも開咬は治療することをおすすめします。

 

歯の寿命が縮まる

開咬(オープンバイト)は、歯の一部しか噛み合っていない状態のため、噛む力が限られた歯に集中してしまいます。その結果、本来なら全体で分散されるはずの力を奥歯の一部の歯だけが受け止めることになり、過度な負担がかかります。

 

長期間この状態が続くと、負担を受けている歯が割れたり欠けたりを繰り返し、場合によっては歯を失ってしまう原因にもつながります。歯は一度失うと元に戻すことはできませんので、開咬を放置することは歯の寿命を縮めるリスクがあります。早めの治療によって、歯を長持ちさせることが期待できます。

 

胃腸へ負担がかかる

開咬があると、前歯で食べ物を噛み切ることが難しくなり、どうしても奥歯だけに頼ってしまいます。その結果、食べ物が十分にすり潰されないまま胃や腸へ送られてしまい、消化に負担がかかります。噛み切れないことで大きな塊を飲み込む癖がついてしまうと、消化吸収に時間がかかり、胃腸が長く働き続けなければならなくなります。

 

これが続くと、胃もたれや消化不良、さらには慢性的な胃腸のトラブルにつながる可能性もあります。食事をしっかり楽しみ、体への負担を減らすためにも、開咬は放置せず、矯正治療で改善を図ることが望ましいです。

 

インビザラインは開咬(オープンバイト)の治療に向いている?

ワイヤー矯正との比較

開咬の治療には、インビザラインとワイヤー矯正のどちらも用いられますが、それぞれに特徴があります。インビザラインは、透明で取り外しができるマウスピース型の矯正装置で、目立ちにくく清潔に保ちやすい点が大きなメリットです。

 

特に軽度から中等度の開咬では、奥歯を少し下げたり前歯を動かしたりといった調整がしやすく、噛み合わせの改善に効果的です。日常生活への影響が少なく、矯正をしていることを周囲に気づかれにくいのも魅力といえるでしょう。

 

一方、ワイヤー矯正は歯の表面にブラケットをつけてワイヤーで力をかける方法で、強い力で複雑な歯の動きをコントロールできるため、重度の開咬や骨格の問題が大きいケースに適しています。治療中は装置が目立ちやすく、清掃がしづらいといったデメリットはありますが、幅広い症例に対応できる確実性の高さが特徴です。

 

このようにインビザラインは「見た目を気にせず快適に治療を進めたい方」に、ワイヤー矯正は「症状が重く確実な改善を必要とする方」に向いています。どちらが適しているかは、歯や顎の状態によって異なるため、歯科医師による診断を受けて最適な方法を選ぶことが大切です

また、重度の開咬で骨格性の問題が強い症例では外科的矯正が必要になる場合があります。その場合は特別な診断と治療が必要となります。

開咬(オープンバイト)をインビザラインで治療した症例

開咬の治療といっても治療にかかる期間や費用、治療方法などはさまざまです。MeLoSで開咬を実際にインビザライン矯正で治療した症例を写真とともにご紹介いたします。実際の症例をご覧になることでご自身の治療についても想像がつきやすくなります。

 

症例1 30代女性の歯列矯正

30代女性、前歯の突出感を減らしたい、ガタガタを綺麗にしたい、前歯で噛めるようにしたい、が主訴の方です。インビザライン矯正をご提案し、患者様と治療方針をご相談した結果、非抜歯の治療計画で進めることとなりました。

便宜抜歯なし、IPRあり、インプラントアンカーなし、交換日数7日、光加速装置の使用なし、で治療期間は8ヶ月で終了となりました。費用は約88万円です。矯正前はお口を閉じた際に奥歯みが当たっていて前歯は噛んでいなかったのに対し、矯正後は全ての歯が均等に噛めるようになっています、またガタガタだった歯並びも綺麗になり、突出感も改善されています。

症例2 20大女性の歯列矯正

20代、前歯のがたつきを治したい、突出感を減らしたい、前歯で噛めるようにしたい、が主訴の方ですインビザラインをご提案し、抜歯計画を進めることとなりました。前歯をげるスペースを確保するため、永久歯の抜歯が必要と判断しました。抜歯は両側ではなく、右上の小臼歯1本のみを抜歯することとしました。便宜抜歯あり、IPRあり、インプラントアンカーなし、交換日数7日、光加速装置の使用なし、で治療期間は27ヶ月で終了となりました。

抜歯部分のスペースは約8ヶ月で閉じることに成功しました。矯正前は前歯のガタつきが強く、奥歯のみ噛んでいる状態でしたが、矯正後はガタつきが解消され、噛み合わせも均等になっています。抜歯したスペースに前歯を移動させたことで突出感を解消することができ、Eラインもかなり改善されました。費用はインビザライン矯正とセラミック矯正1本(右下奥歯)で約96万円です。

 

開咬(オープンバイト)をインビザラインで治療する方法

インビザラインでの開咬治療は、マウスピースを段階的に交換しながら歯を計画的に移動させることで進めます。前歯が咬み合わない場合は、噛み合わせを補助するアタッチメントや顎間ゴムを併用しながら歯を動かしていきます。具体的な動きとしては以下の通りです。

 

①前歯を内側に傾ける
開咬の方は、前歯が唇側に大きく倒れてしまっているケースが多く見られます。そこで、前歯の傾きを少し内側に傾けることで、これまで噛み合っていなかった前歯が自然に噛み合うようになってきます。

 

②奥歯を少し沈める(圧下)
前歯が噛み合っていない場合、奥歯が高すぎることが原因になっていることもあります。そのため、奥歯を少し歯ぐきの方向に沈めることで、反対に少し前歯を引っ張り出す(挺出)させる動きをマウスピースで行います。ただし、奥歯を圧下させすぎると顎の関節に負担がかかり、顎関節症のリスクが高まることもありますので注意深く進めていきます。

 

開咬(オープンバイト)をインビザラインで治療する際の注意点

インビザラインで開咬を治療する場合、治療効果を最大化し、後戻りを防ぐためにいくつか注意点があります。治療中に注意が必要な点を以下でご説明いたします。

 

インビザラインの装着方法・時間を遵守する

インビザライン矯正を成功させるために、透明なマウスピース型の装置を1日22時間以上装着することが最も大切になります。これは、歯を少しずつ計画通りに動かすために必要であると推奨されている時間です。装着時間が不足すると、歯が思った位置まで動かず、次のアライナーが合わなくなる、治療期間が延びるといった問題が起こる可能性があります。

 

また、1枚1枚のアライナーには歯を動かす順序や力のかけ方が細かく設計されているため、指示通りに使用しないと予定した治療効果が得られにくくなります。また、装着方法が間違っていると歯に正しい力がかからず、治療計画とのズレに繋がります。そのため、装着方法や装着時間を守ることは、治療をスムーズに進め、望んだ結果につなげるために欠かせないポイントとなります。

 

舌癖が治らないと後戻りする可能性が高い

開咬は舌の位置や舌癖が原因となっていることがあります。矯正治療で歯並びを治しても、舌癖が改善されていないと、治療後に歯が元の位置に戻る「後戻り」の可能性が高くなります。そのため、舌癖の有無を治療前に確認し、矯正治療中に舌の習癖を取り除く、または舌の正しい位置を覚える、などが重要です。

 

MFT(口腔筋機能療法)について

舌癖や口腔周囲の筋肉バランスを整える方法として、MFT(口腔筋機能療法)が有効です。MFTでは、正しい舌の位置や嚥下、呼吸の習慣を身につけることで、インビザラインで移動した歯の位置を安定させ、治療効果を長持ちさせます。特に開咬は舌の力やお口周りの筋肉が歯列に影響するため、MFTを併用することで後戻りを防ぎ、咬み合わせや見た目の改善を維持しやすくなります。

 

歯科医師の技術に左右される

インビザラインの効果は歯科医師の技術や経験にも大きく依存します。正確な診断に基づいた治療計画や、適切な補助装置の使用、定期的な調整が行われなければ、計画通りの治療結果は得られません。また、歯の動きの予測やクリンチェックの読み取り方、微調整の判断力も治療成否に直結します。特に開咬は治療の難易度が高く、歯科医師の技術力が結果に大きく影響するため、信頼できる歯科医院で治療を受けることが重要です。

 

開咬(オープンバイト)のインビザライン治療にかかる費用・期間

開咬(オープンバイト)をインビザラインで治療する際の費用と期間は、症例の難易度や歯の動き方、咬合状態によって大きく異なります。治療前には歯科でカウンセリングや精密検査を受け、歯並びの状態や咬み合わせを確認したうえで治療計画が立てられます。これにより、必要な装置や調整回数、治療期間の目安が明確になります。

 

費用

一般的には80~120万円前後が目安です。治療費には検査費、インビザライン装置費、診察・調整費などが含まれます。さらに、舌癖改善のためのMFTや補助装置を併用する場合は追加費用がかかることがあります。

 

症例が複雑で抜歯や外科的処置を伴う場合は、都度費用が追加される可能性があります。医院によって料金システムは全く異なりますので、カウンセリングで充分確認することが大切です。

 

期間

治療期間は症例によって異なります。軽度の開咬では1年〜1年半程度、中度~重度の場合は1年半〜3年程度かかることがあります。治療期間中は指示された装着時間を守ることが重要で、舌癖や噛み癖が残っていると期間が延びることもあります。定期的なチェックと装置の適切な使用が、治療の成功と治療期間の短縮に直結します。

 

開咬(オープンバイト)をインビザライン治療したい方は、MeLoSにご相談ください

この記事では開咬について詳しくご説明してきました。開咬にこんなリスクがあるなんて知らなかった……と思われた方も多いのではないでしょうか。開咬はインビザライン矯正で治療することができます。ご自身が開咬なのか、治療するのにどのくらいの費用や期間がかかるのかなど、インビザラインに関するご不安やご質問がある方はぜひ1度MeLoSにご相談ください。

専門のスタッフが患者様のお口の中の状況をお伺いした上でご相談に応じます。また、お近くのインビザライン矯正を受けられる提携クリニックのご紹介も可能です。初回相談は無料ですので、お気軽にLINEよりご連絡ください。

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