妊娠中のインビザライン治療は可能?確認しておきたい注意点
2023年12月27日 インビザライン

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。

インビザラインは少しずつ形の異なる透明のマウスピース(これをアライナーと呼びます)を交換していきながら歯並びを整えていく、近年人気のある矯正方法です。インビザラインは矯正装置が目立ちにくいため見た目に響きにくく若い女性にも人気があります。しかしインビザラインは治療に数ヶ月〜数年かかります。その治療期間の間に妊娠したり、もしくは妊娠中にインビザラインを始めたいと思った場合はどうなるのでしょうか。この記事では妊娠中にインビザラインが可能なのか、気をつけるべきことはあるのかなどについて詳しくご説明していきます。

インビザライン治療は妊娠中でも始められる

妊娠中にインビザライン矯正はできるの?と疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、結論からお伝えすると「妊娠中にインビザライン矯正は可能」です。インビザラインに限らずワイヤー矯正も妊娠中に治療を進めることは可能ですが、妊娠中はお口の中が敏感になっていたりつわりがあったりと体調が普段と異なります。インビザラインの矯正装置はご自身で取り外すことができるため、つわりなどがひどくて治療を中断したい時も簡単に装置をはずしてお過ごしいただくことができますし、装置による違和感や痛みもワイヤー矯正に比べて少なく抑えることができます。

妊娠中は口内トラブルが起きやすい

妊娠中はホルモンバランスに変化が起こるためお口の中のトラブルも起こりやすくなります。特に初期はつわりがある方も多く、お口のケアが十分にできないこともあるため虫歯や歯周病などに注意が必要です。

 

虫歯

妊娠中のつわりがひどいと、歯磨きによるケアが十分にできず虫歯のリスクが高まります。また妊娠中に食の好みが変わることもよくあります。妊娠してから甘いものや酸っぱいものをよく口にするようになった、といった場合も虫歯にならないよう注意が必要です。できるだけだらだらと頻回に食べることはやめ、口にした後はしっかり歯磨きをしてからアライナーをつけるようにしましょう。妊娠中は週数によっては虫歯治療が難しくなることがあります。妊娠中にインビザライン矯正を行う場合には定期的にクリーニングや検診を受けるようにしましょう。

歯周病

妊娠中は唾液の分泌が少なくなってしまう方もいらっしゃいます。それに加えてインビザラインではアライナーで歯列全体を覆うため、お口の中に十分な量の唾液がいき渡りにくくなります。唾液の分泌が減るとお口の中の自浄作用が働きづらく、プラークが溜まりやすくなり、歯周病にかかりやすくなります。歯周病は細菌が炎症を起こして歯肉が腫れたり出血を起こしたりするだけでなく、最終的には歯を支える土台をも溶かして歯を失う原因となる病気です。また歯周病は早産や低体重児のリスクにもなることがわかっています。生まれてくる赤ちゃんのためにも十分予防するようにしましょう。

妊娠性歯肉炎

妊娠中はホルモンバランスが大きく変わる関係で歯肉が炎症を起こしやすい状態になります。つわりなどでうまく歯磨きが行えていないと出血や腫れを引き起こし、重度の場合は骨をも溶かす歯周病へと移行してしまうので注意が必要です。軽度の場合は炎症を起こしても丁寧にブラッシングすることで治せますので定期検診をきちんと受け、診断された場合は歯科医師や歯科衛生士の指示にしたがったブラッシングを行うよう心がけましょう。

 

妊娠中のインビザライン治療が辛くなったときは

妊娠中はお体にさまざまな変化が起こります。体調だけでなく精神的にも不安定になりやすいので、インビザライン矯正を続けるのが辛いと感じる場合には中断することも大切です。インビザラインのアライナーはご自身で簡単に取り外すことのできる装置ですので治療を簡単に中断することができます。しかし中断する時は必ず担当歯科医師に相談してから行うようにしましょう。自分だけの判断でアライナーの使用時間を減らしたり、中断・再開を行ったりすると歯並びが計画通りにならないばかりでなく歯に予期せぬダメージを起こすこともあります。また、中断すると治療再開時にもう一度治療計画を見直してアライナーを作り直すことになります。妊娠のようなやむを得ない事情の場合は保証の範囲内であることも多いですが、条件は医院ごとに異なります。妊娠中の治療中断・再開に伴う料金なども事前に確認しておくと安心でしょう。

 

 

出産前後のインビザライン治療について

妊娠中のインビザライン治療は可能なことがわかりましたが、出産前後はどのように過ごすのが良いのでしょうか。出産は予定外のことが起きやすいライフイベントです。臨月に入る少し前〜出産後1ヶ月の間はインビザラインのための通院をしなくていいよう、前もって計画しておくのをお勧めいたします。以下で出産直前・出産時・出産後に分けて気をつけるべき点についてご説明いたします。

 

出産直前

インビザラインは数ヶ月に一回来院していただき、経過を見ながら矯正治療を進めていきます。しかし出産直前の通院は避けた方が良いでしょう。出産直前はお腹も大きくなってきて出歩くのも大変ですし、治療時に仰向けに横になることで気分不良を起こすこともあります。担当歯科医師と事前に出産予定日を共有しておき、出産直前に通院しなくて済むようにスケジュールを組んでおきましょう。

出産時

分娩は予期せぬことが多々起こります。分娩時になにか問題が起きて全身麻酔下での処置が必要となる場合も考えられます。麻酔を行う際にアライナーをつけたままだと誤飲につながることもあります。また、普通分娩の場合も体に力が入って噛み締めてしまうことが多いため、アライナーをつけたまま分娩に臨むと噛み締めにより破損してしまう可能性があります。産気づいたと感じたら早めにアライナーを外しておくように気をつけましょう。

出産直後

出産後に最も重要なことは母体の回復につとめることと赤ちゃんのお世話です。生まれてすぐの赤ちゃんを連れての通院は母体のためにも赤ちゃんのためにも行うべきではありません。インビザラインのアライナーは数ヶ月分を一気に渡されることがほとんどです。出産前に担当歯科医師と相談して、通院が可能になりそうな時期になるまでのアライナーをあらかじめ受け取っておくようにしましょう。もちろん出産を経て、お口の中に予期せぬトラブルが起こることもあります。その場合もまずは歯科医院に連絡をして来院する必要があるかを確認するとよいでしょう。

 

妊娠中のインビザラインでよくある質問

妊娠中は普段と同じように歯科治療を受けて大丈夫なのか心配な方も多いと思います。よく患者様からご質問いただく点についてご説明いたします。

妊娠中に麻酔やレントゲンはできる?

歯科治療には麻酔やレントゲンは不可欠ですが、妊娠中に行っても大丈夫なのでしょうか。まず麻酔について、妊娠中期であれば体調に問題ない場合通常通り麻酔を使用して治療を行うことができます。またレントゲンについても、歯科でのレントゲン撮影はお腹から離れた部位に行われること、被曝量が少ないこと、防護エプロンを使用すること、から妊娠初期の不安定な時期を避ければ通常通り行うことができます。麻酔やレントゲン、どちらの場合にしても妊娠初期は避けるべきとされていますので、妊娠されている方やその可能性のある方は治療開始前にご自身で申告するようにしましょう。

妊娠中に鎮痛薬などは飲んで良い?

歯科治療では鎮痛薬や抗生物質が処方されることもよくあります。妊娠中でも時期や薬の種類を工夫すれば飲んでいただくことができます。こちらも妊娠中またはその可能性のある方は、治療開始前に担当歯科医師に相談されておくことをお勧めします。また、妊娠中の体調や体質は人それぞれ違います。歯科でも妊娠中に安全に飲んでいただけるお薬を選んで処方していますが、患者様の妊娠状況までは把握することができません。より安心して歯科治療を受けたい、という方は産婦人科の医師にも歯科治療について事前に相談しておくと医科と歯科で連携が取りやすくスムーズで安全な歯科治療を行うことができます。

 

妊娠中のインビザライン治療が不安な方は、MeLoSにご相談ください

この記事では妊娠中のインビザラインについて詳しくご説明してきました。妊娠中は母体と胎児が健康であるために様々なことに気をつけて過ごさねばならず、ご不安なことも多いと思います。MeLoSでは専門のスタッフが妊娠中のインビザライン矯正についてなんでもお答えいたします。インビザライン矯正に興味があるけど妊娠中である、または妊娠を考えていていて躊躇している、という方はぜひ一度MeLoSにご相談ください。

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