インビザラインのリンガルボタンとは?種類や使い方を解説
2023年12月27日 インビザライン

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。

インビザラインは少しずつかたちの異なる透明のマウスピース(これをアライナーと呼びます)を交換していくことで歯並びを整えていく近年人気の矯正方法です。メインの矯正装置はアライナーですが、このアライナーの効果を最大限に発揮させるために様々な補助装置が併用される事があります。この記事では補助装置の一つであるリンガルボタンの働きについて詳しくご説明していきます。

 

インビザラインのリンガルボタンとは?

矯正治療では歯の動きを補助したり顎の位置を誘導するために「顎間ゴム」をかける事があります。ワイヤー矯正ではワイヤーのフックにゴムをかけますが、インビザラインのようなマウスピース矯正ではリンガルボタンを歯の表面に貼り付けて、そこに顎間ゴムをかけます。アライナーに設置されたプレシジョンカットにゴムをかけることもありますが、歯に直接設置したリンガルボタンのほうが効果的に力を伝えることができます。リンガル(=舌側)ボタンという名前ではありますが、歯の表側につけて使用することも多いです。

 

インビザラインのリンガルボタンを使用する目的

インビザラインにおいてリンガルボタンは便利で欠かせない装置の一つで、工夫次第で様々な動きの補助に使用することができます。ここではリンガルボタンを使う、代表的な目的についてご紹介していきます。

 

歯の高さを合わせるため

矯正治療では歯のガタガタを治したり、前後の位置を動かしたりするだけではなく、垂直的な高さを動かすことも行います。代表的なのは八重歯で、他の歯よりもかなり低位(歯茎側)に生えていることも多いです。このような歯を他の歯と同じ高さまで動かすため、歯にリンガルボタンをつけて顎間ゴムで垂直的に引っ張ることがあります

歯を後方に動かすため

矯正治療では歯をお口の後方に動かす動きをすることがよくあります。アライナーだけでもこの動きは可能とされていますが、お口の中の状況によってはアライナーだけだと動きが悪く時間がかかってしまうことがあります。そのような場合、特に動かしたい歯にリンガルボタンをつけて顎間ゴムを使用することで歯を後方に効率的に動かすことができます。

歯をまっすぐ動かすため

矯正治療では歯を並べるスペースが足りない場合、抜歯を行うことがあります。このようなケースで歯を前後に移動させていくと、まれに抜歯のスペースに歯が倒れ込んで斜めになって移動してくることがあります。歯が斜めに倒れ込みながら動いてしまうと、治療計画通りに歯が動かず、正しい歯並びや噛み合わせを獲得することができません。また、この状況をリカバリーするのには時間と手間がかかることも多いです。このような状況を引き起こすのを防ぐため、倒れ込む前にリンガルボタンと顎間ゴムを使用して、歯がまっすぐの状態で移動が行われるように工夫することがあります。

 

インビザラインのリンガルボタンには種類がある

ひとくちにリンガルボタンといっても用途によって様々な形や素材のものがあります。歯科医師は達成したい歯の動きやつける歯の種類などを考慮してどのボタンを使用するか決定していきます。実際に使われるリンガルボタンにはどのようなものがあるのか、以下でご紹介いたします。

 

金属製のリンガルボタン

金属製のリンガルボタンは、他のプラスチック製のものに比べて強い接着力を持っています。そのためある程度強い力をかけても外れにくく、治療がスムーズにすすみやすいです。しかし金属色をしていて目立ちやすいというデメリットがあるため、インビザラインでは奥歯に使用されることが多いです。奥歯がすでに被せ物によって補綴修復されている場合、被せ物の素材によってはボタンがつけられない、または接着力が発揮しにくい場合があります。担当歯科医師はそれらも考慮して治療計画を立てていきます。

プラスチック製のリンガルボタン(クリアボタン)

使用する目的としては金属製のものと同じですが、リンガルボタンにはプラスチック製のクリアな見た目のものもあります。こちらは金属製のボタンより接着力が弱いため、ゴムの力にまけてボタンが外れてしまうリスクが高くなります。しかし金属製のものと違い色がクリアなので前歯部に使用しても目立ちにくいというメリットがあります。インビザライン矯正をご希望される方は審美面を気にされる方も多いのでプラスチック製のボタンが使用される機会も多くなります。

フック付きのリンガルボタン(キャプリンフック)

シザースバイト(上下の歯が噛み合わずにすれ違ってしまっているかみあわせのこと)のような不正咬合をなおすために、歯の裏側にボタンをつけて顎間ゴムを使用することもあります。歯の裏側は通常のボタンだとゴムがかけにくいので、フックのついたデザインのリンガルボタンを使用することがあります。フックがついていることでゴムがかけやすいのがメリットですが、フックの部分が舌に当たってしまうので違和感が強いという点がデメリットです。慣れると気にならなくなることがほとんどですがそれまでは我慢が必要です。

 

インビザラインのリンガルボタンはどう使う?

インビザラインのリンガルボタンはボタンに医療用ゴムをかけて矯正力の補助を行う、「ゴムかけ」を行うことで効果を発揮します。ゴムかけはアライナーのみでは難しい歯の動きを達成させるために非常に大切な処置です。ゴムをかける位置や装着時間は患者様それぞれによって異なります。必ず歯科医師から装着についての指示がありますのでその通り行うよう心がけましょう。食事のたびにアライナーとゴムを外したりつけたりしなければならないため、初めは少し面倒に感じますが、このゴムかけをしっかり行えるかどうかで最後の満足度も異なります。理想の歯並びを手に入れるために頑張りましょう。

 

ゴムかけを始める時期は症例によって異なる

ゴムかけが必要と指示された期間では、アライナーを装着するたびにリンガルボタンやアライナー自体に設置されているフックに医療用のゴムを患者様ご自身でかけてお過ごしいただきます。ゴムかけが始まる時期は治療計画ごとに異なり、ゴムの強さやゴムかけの位置もさまざまです。またゴムかけの位置が途中で変更になることもあります。初めのうちはゴムかけに時間がかかったり違和感が強かったりすることもありますが、慣れると鏡を使わずともスムーズにかけられるようになり違和感も減少します。適切な時期がきたら必ず歯科医師から・ゴムかけ開始の時期・ゴムかけの位置・ゴムの種類に関して指示がありますので必ずその指示通りに行うようにしましょう。

顎関ゴムは毎日変える

顎間ゴムの装着推奨時間は20時間ほどです。つまりインビザラインのアライナーをつけている間は顎間ゴムを装着しているのが望ましいです。お話しする時のようにお口を開けるときも、顎間ゴムは装着しているので、1日中つけているとだんだん伸びてきて劣化します。劣化してしまうとゴムをつけている効果が得られなくなるので、顎間ゴムは毎日新しいものに交換するようにしましょう。また、ゴムをかける際やあくびなどで大きくお口を開けた時にゴムが切れてしまうこともあります。ゴムをかけていない時間が長くならないように予備のゴムを持ち歩くことも大切です。

リンガルボタンが痛い場合はワックスを使う

リンガルボタンは尖った装置ではありませんが歯の表面に貼り付けて使用するものなので粘膜に当たって痛いと感じる方も稀にいらっしゃいます。そのような場合には矯正用のワックスをしましょう。矯正用ワックスでボタンの表面を覆うことで滑りをよくすることができ、粘膜への刺激を軽減することができます。次第に慣れてくるとワックスなしでも気にならなくなることも多いですので様子をみてみるのも一つの手です。リンガルボタンは強力な接着剤でつけられているためご自身で取り外すことはできません。どうしても痛みが強くて我慢できない場合は、はやめに担当歯科医師に相談するようにしましょう。

 

インビザラインでリンガルボタンが必要か知りたい方は、MeLoSにご相談ください

この記事ではリンガルボタンについて詳しくご説明してきました。患者様によってはインビザライン矯正には興味があるけどお仕事などの関係でリンガルボタンを使用した矯正に抵抗のある……という方もいらっしゃるかもしれません。ご自身の歯並びを治す際にリンガルボタンが必要となるかを患者様ご自身で判断されるのは非常に難しいことです。矯正を始める前にリンガルボタンについて詳しく知っておきたい、という方はぜひ一度MeLoSのご相談ください。専門のスタッフがあなたの歯並びの状況をお伺いした上で、リンガルボタンについてのご質問にも丁寧にお答えいたします。

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