インビザライン矯正で頭痛が起こる?原因と対処法を解説
2023年11月30日 インビザライン

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。

インビザラインとは、少しずつ形の違う透明のマウスピースを周期的に交換していくことで理想の歯並びに近づけていく矯正方法です。目立ちにくく、違和感も少ないため近年人気を集めている歯列矯正治療の方法です。しかし、矯正治療と聞くと「歯の痛みだけでなく頭痛を伴うのでは?インビザライン治療でも頭痛は起こるの?」と不安に思ってらっしゃる方も多いのではないでしょうか。この記事ではインビザラインと頭痛の関係やその対処法について詳しくご説明していきます。

 

インビザライン矯正によって頭痛が起こるって本当?

結論からお伝えすると、インビザライン矯正によって頭痛が起こることはあります。しかしこれはインビザライン矯正に限ったことではなく、ワイヤー矯正のような他の矯正方法を選択した場合も同様に起こる可能性があります。矯正治療中の頭痛は、矯正を行うことによって変化した顎周りの筋肉の緊張や精神的ストレスによるものがほとんどです。原因となる顎周りの筋肉の変化や精神的ストレスはどのような矯正治療方法でも発生しうるため、頭痛はインビザラインだけで起こるものではなく矯正治療全般で起こる可能性があるとお考えください。

インビザライン矯正で頭痛が起こる理由

インビザライン矯正で頭痛が起こる原因として代表的なものを以下でご紹介いたします。

筋緊張性頭痛

筋緊張性頭痛とは首元や背中の筋肉がこることで、痛みを感じる神経が刺激されて引き起こされる頭痛です。この頭痛は一時的にズキズキとした圧迫感のある痛みを伴いますが、日常生活に支障をきたすような痛みではないことがほとんどです。

矯正中の歯が動く痛みや矯正装置の違和感によるストレスが原因で、無意識に食いしばってしまうことで肩・背中・顎周りの筋肉が過度に緊張して血流が悪くなり、肩こり・頭痛へとつながります。アライナーを使用していると噛み込みやすく、特に就寝中に食いしばりを起こしやすいためこの頭痛を起こしやすい方は起床直後に顎周りの筋肉のだるさを感じていることが多いです。

 

咬合関連症

噛み合わせの悪さが原因で起こる不調を「咬合関連症」といいます。頭痛、肩こり、腰痛、耳鳴り、めまい、吐き気など咬合関連症の症状には全身のさまざまな不調が含まれます。歯並びが悪く左右どちらか片方でのみ噛む癖がある方は、噛む力が全体に分散されず顔周りの筋肉のバランスが崩れ、首や肩の筋肉が緊張しやすくなって頭痛を起こします。この症状は歯並びが悪いことで引き起こされるので矯正前から不調を感じていらっしゃる方が多いです。

また、矯正前はさほど不調を感じていなくても、矯正中は歯が動いて一時的に噛み合わせが悪くなることがあるため、矯正中に症状が出てくることもあります。どちらも矯正が進んでいくにつれ噛み合わせが整うので症状は解消されていきます。

 

その他の理由

矯正治療で歯が動くときの痛みが頭痛として現れることもあります。矯正中は歯の根っこの周りにある歯根膜という膜が炎症反応を起こすことで歯が動いていきます。顔周りは神経や筋肉が複雑に走行しているため、お口の中の痛みが頭痛にまでなってしまうことはよくあります。これは虫歯で歯が痛む時にもみられる症状です。矯正中の歯の痛みはある程度は仕方がありませんが、痛みを増やさない工夫はたくさんありますので担当歯科医師に相談して取り入れてみましょう。

インビザライン矯正で頭痛が起こりやすいタイミング

 

マウスピースを初めて付けたとき、交換したとき

インビザラインでは今の歯並びと少し形の違うアライナーをつけることで歯に力をかけて動かします。1週間同じものをつけた後、また次の形のアライナーへと交換します。新しいアライナーをつけ始めてすぐは歯に大きな力がかかりやすいため痛みを感じやすく、その痛みで食いしばりが起き頭痛が引き起こされます。また、アライナーをはじめてつけたときは歯の動く痛みに加え違和感も感じやすく、より頭痛を引き起こしやすくなります。アライナーの違和感は開始から数週間、痛みは2、3日で気にならなくなることがほとんどです。

 

ゴムかけをしたとき

インビザライン矯正中、顎や歯の位置を理想通りの位置に誘導するために医療用ゴムを使用することがあります。このゴムは上の顎と下の顎にまたがるようにかける場合があり、アライナーのみ使用の場合より歯に強い力がかかります。また、マウスピースの着脱時に自分でゴムをつけ外しする必要があり手間が増えることでストレスに感じる方もいらっしゃいます。このようにゴムかけは無意識の食いしばりによる頭痛が起きやすいタイミングです。

 

朝起きてすぐ

ストレスや歯の痛みによって起こる食いしばりですが、日中はご自身で意識していただくことである程度防ぐことができます。しかし就寝中の食いしばりは無意識下のため防ぐことができません。寝ている間に食いしばって顎周りや首・肩の筋肉を緊張させるため、起床時に頭痛を感じることがあります。

硬いものを噛んだとき

インビザライン矯正によって歯を動かしている間はお口の中が痛みを感じやすい敏感な状態になっています。硬いものを食べて歯に負荷がかかると痛みを誘発しやすく、それが頭痛へと繋がることがあります。また硬いものを噛む時は顎まわりの筋肉を使うため、筋肉に通常より負荷がかかり頭痛を引き起こしやすくなります。

精神的なストレスを抱えているとき

ストレスをたくさん抱えると自律神経のバランスが崩れやすくなります。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は活動していると優位に、副交感神経はリラックスしている時に優位になることでバランスをとっています。このバランスが崩れて交感神経が優位になる時間が増えると筋肉の緊張を高めて食いしばりや頭痛を引き起こします。

 

インビザライン矯正で頭痛が起きたときの対処法

頭痛はできることなら起こさずにインビザライン矯正を進めたいものですが起きてしまっては仕方ありません。万が一頭痛が起きた時の対処法を以下でご紹介いたします。

 

筋肉をほぐして緊張を解く

これまでの項目でご説明してきたように、インビザライン矯正で起こる頭痛のほとんどが筋肉の緊張によるものです。筋肉が緊張すると血流が悪くなるとともに痛みの神経が刺激され頭痛へと繋がります。筋肉の緊張が原因で頭痛が起きた時はまずマッサージやストレッチを行って筋肉をほぐしましょう。首から肩にかけての僧帽筋と耳の上から後頭部にかけての側頭筋は頭痛と関わりが深い筋肉です。これらの筋肉を重点的にマッサージしてほぐしましょう。食いしばりが強い場合はエラのあたりにある咬筋をほぐすのも有効です。

また、入浴時にゆっくり湯船につかって血行を改善することでも筋肉の緊張を取りのぞくこともできます。

一時的に痛み止めを使用する

アライナーによって歯が動く痛みが耐えられないという方は痛み止めを服用するのも一つの手です。インビザライン矯正の歯の痛みは新しいアライナーに交換してから36時間くらいでピークを過ぎます。上でもご説明した通り、歯の痛みが頭痛を引き起こすことがありますので痛みのピークがすぎるまでの我慢できない時間帯は無理せず痛み止めを使用しましょう。痛み止めは歯の痛みと頭痛のどちらにも効果を発揮することができます。しかし、痛み止めの用法用量を守らなかったり長期間常用するようになると、胃痛などの副作用が起きる可能性があります。歯科医師や薬剤師の指示に従って必要最低限の使用にとどめるようにしましょう。

 

担当医師に相談する

基本的にインビザライン矯正は従来の矯正治療に比べて痛みが少ない矯正方法です。アライナーをつけた時に我慢できないような痛みがいつまでも続くようであれば歯に過度な力がかかっている可能性があります。そのような場合は担当歯科医師に相談しましょう。アライナーの変形がないか、治療計画に無理はないか、などお口の中の状態も含めて再度チェックしてもらいましょう。痛みを我慢して大きなトラブルになる前に相談することが大切です。また、ご自身の判断でアライナーの交換頻度などを変更したりするのは絶対に避けましょう。

インビザライン矯正による頭痛が不安な方は、MeLoSにご相談ください

この記事ではインビザライン矯正と頭痛について詳しくご説明してきました。上でもご説明してきたように頭痛の原因にも種類があり、インビザライン矯正を始めたからといって必ずしも頭痛が起こるわけでもありません。また対処法も一つではありません。患者様ごとに原因や対処法も異なります。インビザラインと頭痛の関係性についてご不安を感じていらっしゃる方はぜひ一度MeLoSにご相談ください。専門のスタッフがあなたのお口の中の状況を踏まえてご相談に乗らせていただきます。

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