インビザライン矯正で歯が動く仕組みとは?歯科医が解説
2023年10月31日 インビザライン

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。

インビザラインは従来のワイヤーを使った矯正方法とは全く異なり、透明のマウスピース(これをアライナーといいます)を使って歯を動かす矯正方法です。近年人気が高まっているこの治療方法ですが「インビザラインって最近よく聞くけど実際のところどんな仕組みなのかわからない」と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。この記事ではインビザラインで歯を動かす仕組みや、インビザラインとその他の矯正の仕組みの違いについて詳しくご説明していきます。

歯列矯正で歯が動く仕組み

そもそも歯科矯正とはどのような仕組みで歯が動いていくのでしょうか。

歯の根っこは歯根膜という繊維でできた膜に覆われており、その膜を介して骨とくっついています。矯正治療で装置によって歯冠に力が加わると歯根にも伝わり、加えられた力によって引っ張られる側の歯根膜は伸びて厚みが増し、逆に押された側の歯根膜は縮んで厚みが減ります。

歯根膜は厚みを一定に保とうとするため、引っ張られて厚みを増した歯根膜はもとの厚さに戻ろうと働き、そのすき間を埋めるように新しい骨を形成します。反対に厚みが減った側の歯根膜はもとの厚さに戻ろうと働き、厚みを増すスペースを作るために骨を溶かす細胞を活性化させます。

このように歯根膜が一定の厚みを保つ働きによって行われる骨の再形成と吸収を利用して少しずつ歯を理想の位置へと移動させていくのが矯正治療です。決して闇雲に力をかけて歯を動かしているのではなく、矯正装置によって圧力をかけることで人間の元々持っている自然な働きを人工的に起こしているというわけです。この仕組みはインビザラインでもワイヤー矯正でも同じです。

 

インビザラインで歯が動く仕組み

インビザラインは、歯列全体を覆うマウスピース型のアライナーと呼ばれる矯正装置を用いて歯を動かす方法です。従来のワイヤー矯正とは異なり、透明のアライナーを使用するため目立たずに矯正治療を行うことができる方法です。

 

インビザラインではまず口腔内スキャナーでお口の中をスキャンし、そのデータをもとに治療計画を立てます。理想の歯並びが決定したら、カスタムメイドのアライナーを製作します。このアライナーは枚数が進むごとに現在の歯並びから理想の歯並びに少しずつ近づいていくように数十枚に渡り作られています。装着するアライナーはご自身の歯と少しズレるように設計されており、アライナーを長時間装着することで、このズレが歯へと圧力をかけて歯が動いていきます。

1枚のアライナーを約1週間連続して使用することで歯がそのアライナーの形へと動くので、1週間装着したら次の形のアライナーへと交換します。そうするとまた新たなズレが歯に力をかけて歯を動かしていきます。1枚で約0.25mm歯が動き、アライナーの装着と交換を繰り返すことで理想の歯並びへと近づけていきます。

 

 

インビザラインで歯の動きを助ける補助装置

インビザラインはアライナーをつけることで歯に力を加えて動かしていきますが、力を効率的に作用させて矯正がスムーズに進むようにいくつか補助装置があります。以下でそれぞれの補助装置についてご説明していきます。

アタッチメント

アタッチメントとは歯の表面に貼り付ける突起です。アタッチメントには様々な形・大きさがありますが、歯の色と同じ色のプラスチックを使用するのでほとんど目立ちません。治療後には綺麗に除去するので跡が残ることもありません。このアタッチメントをつけることでアライナーと歯のフィットがよくなったり、歯の複雑な動きをコントロールしやすくなったりします。適切な場所に適切な形のアタッチメントをつけることで矯正治療をより効率的に進めることができます。このアタッチメントは症例によって数は様々で、場合によってはつけずに進めることもあります。

チューイー

チューイーとはアライナーを完全に歯とフィットさせるための器具です。シリコンでできたロール状のチューブで、アライナーをはめたあとにこの器具を噛むことで歯を確実に密着させることができます。奥歯、真ん中、前歯と5、6箇所に分けて2〜30回ほどかみます。ロール状の小さなチューブが一番多い形ですが、奥歯に使いやすい棒キャンディーのようなタイプもあります。歯のガタガタが激しかったり、アタッチメントがたくさんついているとアライナーをはめた時に浮きが生じやすくなります。チューイーをかんでしっかりフィットさせることでより治療計画通りに歯がうごきやすくなります。

リテーナー

リテーナーは歯を動かす期間が終了した後、理想の歯並びの位置で歯を安定させるためのものです。歯は矯正治療で動かされた後は非常に不安定で、放っておくと元あった位置に戻ろうとする力が働きます。そのため、リテーナーを装着して、矯正で移動した歯を固定し後戻りしないようにします。リテーナーにはいくつかの種類がありますがインビザライン治療では多くの場合ビベラリテーナーと呼ばれるアライナーと同様の透明なマウスピース型のリテーナーが用いられます。

顎間ゴム

顎間ゴムは歯並びがある程度ゴールに近づいてきた状態で使用されることが多く、上の歯と下の歯のかみ合わせを改善して最終仕上げを行います。アライナーに付与されたフック状の装置、または歯につけられたボタンと言われるものに矯正専用のゴムを引っ掛けます。ゴムの掛け方にはそれぞれ名前がついていて改善したい歯並びによってゴムをかける場所が異なります。

Ⅱ級ゴム…出っ歯傾向の方に使用します。上顎の犬歯と下顎の臼歯にゴムをかけることで上顎は後方へ、下顎は前方へ引っ張られます。

Ⅲ級ゴム…受け口傾向の方に使用します。下顎の犬歯と上顎の臼歯にゴムをかけることで上顎は前方へ、下顎が後方へ引っ張られます。

クロスゴム …クロスバイトやシザーズバイトがある場合に使用します。上と下の同じ歯に咬合面を跨ぐようにしてゴムをかけることで交差している歯の動きを補助して乗り越えやすくします。

垂直ゴム…上顎と下顎の歯が噛んでいない開咬に使用します。上顎と下顎の同じ歯の頬側にゴムをかけ、上下の歯を互いに垂直に引っ張ることで上下の歯が緊密に噛み合うよう誘導します。

 

アンカースクリューインプラント

インビザラインではアンカースクリューインプラントと呼ばれるものを補助的に使用することもあります。アンカースクリューインプラントとは小さなネジのような器具で、直接顎の骨に打ち込んで使用します。このネジとアライナーにゴムを引っ掛けることで歯の動きの補助を行います。アンカースクリューは歯列とは関係のない場所に埋めることができるので動くことがなく、固定源として利用しやすいのが特徴です。打ち込む時も通常の麻酔を使用して短時間で施術が可能ですし、必要なくなったら容易に除去することが可能です。除去した後は数日から1週間ほどで傷口は閉じていきます。医院にもよりますが、この処置は追加料金が必要となるところが多いので気になる方は事前に確認することをお勧めします。

インビザラインのメリット・デメリット

他の矯正方法と同じようにインビザラインにもメリットとデメリットがあります。それぞれ代表的なものを以下でご紹介いたします。

インビザラインのメリット

ワイヤー矯正とくらべてかなり目立ちにくい

インビザラインは透明で非常に薄いプラスチックでできたアライナーを使用するため、金属の装置を歯の表面に付ける必要のあるワイヤー矯正と比べてかなり目立ちにくいです。

 

痛みや違和感が少ない

1枚のアライナーで動かす量は0.25mmほどの少ない移動量に設定されているため、歯が動く際の痛みを最小限に抑えることができます。動く量をコントロールできるため過度な力による歯根吸収も起こしにくいです。また従来の矯正のように歯の表面につけた装置で粘膜を傷つけることもほとんどありません。

 

取り外しができる

インビザラインのアライナーは自分で好きな時に取り外しができますので、お食事や歯磨きの際は取り外して過ごせます。お口の中のケアをおこないやすいので衛生的に保つことができます。

 

事前にシミュレーションを確認できる

インビザラインの治療計画はコンピュータ上でたてられます。細かい歯の動きや仕上がりのシミュレーションを様々な角度から事前に確認することができます。

 

インビザラインのデメリット

1日22時間以上アライナーを装着しなければならない

インビザラインではアライナーを装着することで歯に持続的な力を加えて動かしていきます。そのためアライナーをつけていない時間は歯が動きません。推奨されている装着時間は1日22時間で、これを守ることができないと歯が動かなかったり後戻りを起こしたりします。

 

アライナーを自己管理しなければならない

アライナーは自分で取り外し可能なため、外したアライナーを紛失しないように管理しなければなりません。新しいアライナーの交換時期も自分で管理が必要なのでご自身に合った工夫が必要です。

 

気軽に食事飲食ができない

アライナーをつけている時に口にできるものは基本的に水のみです。その他の飲食物は着色や虫歯・歯周病の原因となるため、アライナーを外してから口にして、歯磨きをしてからまたアライナーを装着するようにしなければなりません。

 

対応している矯正歯科医院が少ない

インビザラインはワイヤー矯正と比べてかなり新しい矯正方法です。治療に必要な器材も従来の矯正治療とは異なります。そのため、どの歯科医院でも対応が可能なわけではありません。引越しなどで遠方に移動する予定がある人は注意が必要です。

 

 

インビザラインを始めるか悩んでいる方は、MeLoSにご相談ください

 

この記事ではインビザラインの仕組みについてご説明してきました。インビザラインはまだ新しい治療方法ですので患者様ご自身で情報をあつめていただくのも難しい面があります。インビザラインでの治療に興味はあるけどご不安やご心配がある、という方はぜひMeLoSにご相談ください。初回のLIINE相談は無料です。専門のスタッフが患者様のそれぞれのお悩みをお聞きして丁寧にお答えいたします。

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