インビザラインの治療期間はどれくらい?短くするコツも解説
2023年8月31日 インビザライン

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。

矯正治療では抜歯をして歯を並べるみたいだけどそれはなぜ?抜歯をせずに矯正をすすめる方法はあるの?矯正治療をしてみたいと考えている方の中にはそんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事ではインビザラインで抜歯が必要な歯並び・必要ではない歯並びの違いを始め、抜歯をせずに歯並びを整える方法などインビザラインと抜歯の関係について詳しくご説明していきます。

 

インビザラインで抜歯が必要な歯並び

インビザラインで全体矯正を行う際、歯を並べるスペースが足りなければ抜歯を行ってスペースを作り出すことがあります。しかし全体矯正を行うからと言って全てのケースで抜歯が必要となるわけではありません。ここでは抜歯が必要だと判断されやすい歯並びをご紹介いたします。

インビザラインの治療で、抜歯が必要になる歯並びをご紹介ください

各症状の特徴や写真などもあればご掲載いただくと、ユーザーはイメージしやすくなります。

 

上顎前突(出っ歯)

上顎前突(出っ歯)とは上の前歯が下の前歯に対して飛び出しているような状態の歯並びです。上顎前突には上顎自体が前に出ている状態(骨格性)と歯の傾きが前に飛び出している状態(歯槽性)があります。スペースが不足して前歯が前に飛び出している場合は、抜歯を行ってスペースを確保し、そのスペースを埋めるように前歯を後方に移動させることで突出感を解消することができます。骨格性の上顎前突が激しい場合は抜歯を行って歯列矯正をしても突出感が解消しきれないこともあります。

下顎前突(受け口)

下顎前突(受け口)とは上顎前突(出っ歯)とは逆に下の前歯が上の前歯に対して飛び出している状態の歯並びです。この場合も上顎前突と同じように下顎の抜歯を行い、できたスペースに飛び出している前歯を移動させてきて矯正を行います。しかし受け口も骨格性のものはインビザラインのみで治すことは難しく、その場合は外科的矯正治療のような他の矯正方法を併用する必要があります。

口ゴボ(上下顎前突)

口ゴボ(上下顎前突)は上下ともの前歯が前に飛び出ている歯並びのことで、口元が全体的にボコっと前に出ている状態です。口ゴボは上下顎とも歯の並ぶスペースが足りず前に飛び出ている歯並びのため、突出感を解消するためには上下顎ともに抜歯を行う場合があります。抜歯を行い、飛び出ている上下の前歯を後方に引いて歯を並べていきます。

叢生(歯並びがでこぼこ)

叢生とは歯が重なり合ってガタガタに並んでいる歯並びです。八重歯と呼ばれる歯並びも叢生の一種です。これらは顎のサイズに対して歯のサイズが大きいために歯が並ぶスペースが足りず、歯が重なり合ったり歯列から逸脱して生えたりします。叢生も重度であるとスペースを確保するために抜歯を行って、歯をきれいに並べる方法が取られます。多くの場合は小臼歯と呼ばれる、前から4番目もしくは5番目の歯を抜歯します。

 

インビザラインで抜歯した症例をご紹介

実際にMeLoSで抜歯を伴うインビザライン矯正を行った方の症例をご紹介いたします。

抜歯した方の症例を写真付きでご紹介ください

Before→Afterがあると親切です。ユーザーは自分に似ている症例を見つけやすくなり、治療を前向きに検討するようになります。

症例1

 

年齢・性別 20代・女性
治療期間 27ヶ月
費用 957,000円(税込)

※インビザライン治療とセラミック修復の合計金額

症状 叢生

上顎前突(出っ歯)

治療経過 叢生と突出感の両方があり、前歯を後退させるスペースが必要であるため永久歯の抜歯が必要と判断しました。

今回の症例では右上の小臼歯のみの抜歯を行い、その抜歯スペースに前歯を配列しました。抜歯スペースを閉じるための期間は約8ヶ月です。治療後はEラインもきれいに整い、横顔も大きく変化しました。

インビザライン矯正後、元々仮歯であった右下大臼歯のセラミック修復を行い保定期間へと移行しました。

リスク 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1,2週間で慣れることが多いです。歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

 

症例2

 

年齢・性別 60代・女性
治療期間 23ヶ月
費用 1,930,000円(税込)
症状 上顎前突(出っ歯)

開咬

治療経過 左の臼歯部の歯が連続して無いところにはインプラントを1本適応し、その他はインビザラインで矯正治療を行う計画を立てて進めました。

右上の小臼歯を一本抜歯し、左のもともと歯のない部分と抜歯した部分のスペースに歯を移動させることで出っ歯と叢生を解消しました。抜歯してできたスペースを効率的に閉じるために、歯の移動の固定源として、インプラントアンカーを用いることにより治療期間の短縮を狙いました。積極的に予後の悪そうな歯を抜歯することによりほとんど天然の歯で歯列をきれいに整えることができました。

リスク 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1,2週間で慣れることが多いです。歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

 

症例3

年齢・性別 40代・男性
治療期間 19ヶ月
費用 約880000円(税込)
症状 叢生

反対咬合(受け口)

治療経過 下顎の前歯が上顎の前歯より出ている反対咬合かつ下顎の前歯にガタつきがあったため、左下の小臼歯を一本抜歯を行ってインビザライン矯正を行いました。抜歯したスペースに前歯を移動させることで下顎前歯の叢生と反対咬合を解消することができました。
リスク 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1,2週間で慣れることが多いです。歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

 

症例4.

 

年齢・性別 20代・女性
治療期間 32ヶ月
費用 880,000円(税込)
症状 上顎前突(出っ歯)

叢生

治療経過 上顎の突出感、上下顎の叢生の程度が大きかったため上下両側小臼歯を4本抜歯して矯正を行いました。歯列の狭窄も認められたため、歯列の拡大も行いながら抜歯スペースに歯を移動させ突出感と叢生を解消していきました。矯正終了後は上下顎の歯の裏側に保定のためのワイヤーを貼り付けて終了としています。
リスク 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1,2週間で慣れることが多いです。歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

 

インビザラインで抜歯が必要ない歯並び

インビザラインで全体矯正を行うからといって必ずしも抜歯が必要となるわけではありません。抜歯が必要にならない歯並びについて解説していきます。

 

歯並びの乱れが軽度な場合

一般的に1本の小臼歯抜歯で作り出せるスペースは約7mmですので、左右合わせると約14mmのスペースを確保することができます。ということは6mm以下のスペース確保ですむ歯並びは抜歯する必要はないと言えます。

叢生(ガタガタの歯並び)でも乱れが軽度であれば、それほど多くのスペースを作り出す必要がないので、抜歯を行わずに矯正治療を行えます。その場合は、代わりにIPRという処置を行って歯と歯の間に小さな隙間を作ったり、併せて歯列の拡大や歯の遠心移動を行ったりして歯を並べるためのスペースを確保します。

 

すきっ歯

すきっ歯は叢生とは逆で顎のサイズに対して歯のサイズが小さかったり先天的に歯の数が少なかったりして、歯が並ぶスペースが余っている状態です。そのため抜歯によって新たにスペースを作り出す必要はありません。空いてしまっている隙間を矯正によって閉じながら並べていくことできれいな歯並びを目指します。しかし、先天的に歯のサイズが標準よりかなり小さい矮小歯と呼ばれるような歯がすきっ歯の原因となっている場合は、隙間を閉じ切ることができないもしくは閉じると審美的によくない場合があります。その場合は矯正後に歯の形を修正するための補綴をお勧めすることもあります。

 

幼少期から矯正治療を開始したケース

幼少期はまだ顎の骨も成長途中なので、顎の骨の拡大と歯列の拡大を行いやすい状態です。歯を並べるスペースが足りない場合、大人では抜歯を行ってスペースを確保することが多いですが小児矯正の場合は顎の骨ごと歯列を広げることで十分なスペースを確保することができます。この拡大は基本的に側方を中心に行われます。大人も歯列の拡大を行うことはできますが、抜歯を免れるほど広げるのは困難で他の方法と併用されることがほとんどです。

インビザラインで抜歯せずに矯正する方法

抜歯は歯を並べるスペースを確保するための方法ですが、抜歯以外にもスペースを作り出す方法はあります。インビザライン矯正を行う際に抜歯をせずにすむ方法をご紹介いたします。

 

IPR

IPRとはディスキングとも呼ばれるもので、歯と歯が隣り合っている部分を0.1~0.5ミリほど削り小さなスペースを作る処置です。このIPRを複数箇所に入れることで、歯列全体に合計数ミリのスペースができるのでその分歯を引っ込めることができます。抜歯を行わなくても対応できるような軽度な症例では、このIPRのみで足りないスペースを確保できる場合があります。また、IPRは抜歯を行ってもスペースが少し足りない場合に追加で行うこともあります。

歯列拡大

歯列のアーチが狭いと歯を並べるスペースが少なくなるので出っ歯やガタガタの歯並びの原因となります。歯列のアーチは馬蹄形が理想とされます。歯列が狭窄していて狭い場合はアライナーでゆっくり歯列のアーチを拡大していくことで理想の馬蹄形に近づけ、広がった分のスペースに歯を並べます。歯列の拡大は側方を中心に行われることが多く、大人よりも小児の方が拡大しやすいです。

臼歯の遠心移動を行う

遠心移動とは奥歯から順番に歯を後ろに移動させていくことをいい、インビザライン矯正が得意とする動きの一つです。歯を後ろに移動させることで歯を並べるスペースを確保することができるので出っ歯や叢生を解消することができます。しかし遠心移動はアタッチメントと呼ばれる補助装置を使用して2.5mmまでとされています。また、大臼歯の奥に親知らずが埋まっていると遠心移動が難しくなるため、歯を遠心移動させるケースでは矯正前に親知らずの抜歯が必要になることが多くなります。

ワイヤー矯正との併用

倒れている歯を起こすのはインビザラインよりワイヤー矯正の方が得意とされています。その他にもワイヤー矯正とインビザライン矯正はそれぞれ得意な部分が異なるため、二つを併用することで効率的に治療をすすめることが可能になります。

 

抜歯が必要か知りたい方は、MeLoSにご相談ください!

この記事ではインビザラインと抜歯の関係について詳しく解説してきました。しかし矯正治療で抜歯が必要か必要でないかを診断するのは歯科医師にしかできません。抜歯矯正の適応かどうかをご自身で判断することは非常に困難です。ご自身の歯並びを矯正するのに抜歯が必要なのか気になるという方はぜひ一度MeLoSにご相談ください。矯正治療経験豊富な専門のスタッフが歯並びのお悩みや疑問にお答えいたします。

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