インビザラインとは、少しずつ形の違う透明のマウスピースを周期的に交換していくことで理想の歯並びに近づけていく矯正方法です。目立ちにくく、違和感も少ないため近年人気を集めている治療方法です。矯正治療は痛いと聞くけどインビザラインではどうなの?どのような痛み?対処法は?この記事ではそんな疑問にお答えしていきます。
インビザラインをやってみたいと考えている方にとって「痛みがあるのか」は気になる点かと思います。実際、インビザラインでの治療には痛みはあるのでしょうか。
インビザラインは約1週間に1枚、形の違うマウスピース(これをアライナーと呼びます)を交換することで歯を動かしていきます。歯に力をかけて動かしていくのでどうしても多少の痛みは伴いますが、一度の交換で起こる歯の移動量は約0.25mmです。またコンピュータで事前にシミュレーションされた綿密な治療計画に沿って効率的に動かされていくので痛みは最小限に抑えられています。
ワイヤー矯正では歯科医師の調整具合によって痛みの程度もまちまちで時にはかなりの痛みを伴います。また、歯の表面に金属製のワイヤーやでこぼこした装置がついているのでそれらが頬や唇の粘膜を傷つけてしまうことも少なくありません。インビザラインでは動く量は一定に抑えられていて急に大きな痛みを生じにくいことに加え、歯を動かすために用いるアライナーは表面も滑らかなので粘膜を傷つけることもほとんどありません。
インビザラインは従来のワイヤー矯正より痛みの少ない矯正治療ではありますが、痛みを伴う場面はあるようです。具体的にはどのような場面で痛みが生じるのか?主な7つの場面をご紹介いたします。
インビザラインで最も痛みが出やすいのは初めてアライナーを装着したときです。アライナーをつけることで今までの生活で加わったことの無い力が歯に持続的に加わり、歯が動き始めます。歯は動く時に痛みを感じる物質を出しながら動きますし、アライナーをつけたときの締め付けや違和感を痛みと感じることもあります。また、まだ慣れていないということもあり、これらの痛みや違和感を強く感じやすくなります。
アライナーは1週間同じものを使うことでそのアライナーの形に歯を動かし、歯が動ききったところで次の形の違うアライナーに交換します。交換直後のアライナーはそのときの歯並びとの差が大きいので違和感や痛みが大きくなります。
インビザラインではエラスティックと呼ばれるゴムをアライナーにひっかけて力を加えることでアライナーのみでは難しい動きを補助することがあります。ゴムかけを行うことで歯にはより強い力が働くようになるので痛みを感じることがあります。ゴムかけは歯の動きを補助する他にも顎の位置を変化させたい時にも使用するのでその際は歯以外にも顎の関節に違和感を感じることがあります。
インビザラインのアライナー装着時間は22時間が推奨されています。この装着時間が足りないと歯が予定通り動いていかずいつまでも痛みが続きます。また、矯正中の歯は矯正のための力がかかって非常に動きやすい状態です。その状態でアライナーをつけていない期間があると歯が動かないばかりではなく後戻りしていくこともあります。後戻りをして元の歯並びに戻ってしまった状態でアライナーをつけるとアライナーが合わずに痛みや違和感を生じます。
インビザラインのアライナーは薄くて表面が滑らかに作られているため通常お口の中の粘膜を傷つけることはなく違和感も最小限に抑えられています。しかし何らかの理由でアライナーの研磨不足があったり、変形を起こしている場合、もしくは矯正治療とは別の理由でお口の中に炎症が起きている場合などはアライナーの辺縁が粘膜にあたり痛みを生じることがあります。また、インビザラインではアタッチメントと呼ばれる突起物を歯の表面につけて効率的に歯を動かすことがあります。このアタッチメントも基本的には痛みを生じさせるものではありませんが、われて尖ったりしている場合は粘膜に擦れて痛みを生じさせます。
顎が歯のサイズに対して小さく、並べるスペースが足りない場合は抜歯を行うことがあります。抜歯は麻酔をかけて行いますが抜歯後数日はどうしても鈍痛を生じます。
また、歯と歯の隣接部を削るIPRと呼ばれる処置によってスペースを作ることもあります。IPRは削っても問題ないエナメル質のみを少しずつ削るので基本的には痛みが出ることはありません。しかし歯を削ったときの刺激でまれに一時的に知覚過敏のような症状が出ることがあります。
歯を動かしているときは歯と骨の間にある歯根膜という膜が敏感になっているため食事中に食べ物を噛んだり上下の歯が当たることで痛みを感じることがあります。特に肉や硬いパン、おせんべいなど噛むのに力が必要なものは痛みを生じやすいです。
ここまでインビザラインで痛いと感じる主な場面をご紹介してきました。では痛いときはどのような対処法があるのでしょうか。少しでも痛みを軽減させるためにできる対処法を以下にご紹介します。
どうしても痛みが強い場合は鎮痛剤を服用しましょう。痛いからとアライナーを外してしまうといつまでも歯が動かずアライナーをつけるたびに痛みを生じます。痛みが強く出やすいのはインビザライン開始直後とアライナー交換直後の数日です。歯を動かす痛みは治療が進むとだんだん少なくなってくることがほとんどなので鎮痛薬を上手に使いながらインビザラインを進めていきましょう。
歯は持続的に力を加えることで動いていくので装着時間をしっかり守ることで歯が動きやすくなります。また、治療が進むにつれ動かさなければならない量も減ります。装着時間を守ることで痛みを感じる場面を減らすことができます。
アライナーの辺縁が研磨不足で当たって痛い場合は紙やすりで削って整えることが有効です。自分で少し整えても改善しない場合は歯科医師に相談しましょう。アタッチメントが尖っている場合は自分での調整はできません。早めに受診して尖っているところを丸めてもらいましょう。
肉やフランスパンのようなかみごたえのあるものやおせんべいのような硬い食べ物は、噛む時に歯根膜に強い刺激を与えてしまい痛みを生じやすくなります。治療開始直後やアライナー交換直後の痛みが強いときは柔らかく煮たものや小さく切ったものを食べるようにしましょう。
いつもより強い痛みを感じたり、痛みが長く続くようであれば担当の歯科医師に相談しましょう。お口の中とアライナーをチェックして調整することで痛みをおさえられるかもしれませんし、なにか不具合が隠れている場合もいち早く原因をつけ止めることができます。我慢したり自己判断で対処してしまうとかえって治療が長引くことにもなりかねません。
インビザラインは他の矯正治療に比べると痛みは少ない治療方法です。しかし歯を動かして歯並びを整えていくためどうしても痛みを伴う期間があります。アライナー交換直後の痛みは早い方は2~3日、長くても1週間でおさまります。1週間以上続く痛みの場合は歯科医院を受診して担当歯科医師と相談した方が良いでしょう。
インビザラインは部分矯正でも数ヶ月、全体矯正だと約2年ほどと治療期間が長いですが、その期間の間、常に痛みが伴うわけではありません。痛みを最小限に抑える工夫をしながら上手にインビザラインと付き合っていきましょう。
この記事ではインビザラインを痛いと感じる場面とその対処法についてご紹介してきました。しかし記事を読んでもインビザラインの痛みがまだ心配だという方も多いと思います。そんな方はぜひ一度MeLoSにご相談ください。専門のスタッフが個別に対応いたします。