インビザラインとは透明のマウスピース(これをアライナーと呼びます)を使って歯を動かす、従来のワイヤー矯正とは全く違う矯正治療です。最近インビザラインをしている人が増えているけど、治療が失敗してしまうことはないの?どうして失敗してしまったの?どうすれば失敗を防げたの?そんな疑問にお答えすべく、インビザラインの失敗例10選とその原因・対策について解説していきます。
歯並びや習慣は人それぞれですので失敗例も様々ですが、その中でも多く聞かれる失敗例をご紹介します。
歯茎や歯を支える骨が薄い方は歯を並べていく過程で歯茎が下がり歯の根っこが露出することがあります。そうすると歯が長く見えてしまいます。また、歯と歯の間にブラックトライアングルと言われる隙間ができてしまうこともあります。一般的に日本人の歯茎と骨は欧米人に比べて薄い傾向にあります。
歯並びをきれいにすれば噛み合わせもよくなるわけではありません。見た目だけを重視した無理な治療計画に沿って歯を移動させていくと噛み合わせが悪化してしまうこともあります。またアライナーで歯全体を覆っているので一時的に噛み合わせが悪くなったと感じることもあります。
全体的な矯正治療で、抜歯をして歯を並べるスペースを作るケースがあります。そのスペースに歯を動かしていく際、動かした歯が倒れ込んでしまい、思うように動かなくなることがあります。その場合はリカバリーが必要となり治療期間が少し伸びてしまいます。
インビザラインでは長時間アライナーをつけた状態で過ごすため、食べかすなどの汚れを洗い流してくれる役割を果たす唾液が十分に行き渡らず虫歯や歯周病にかかるリスクが高まります。きちんとした口腔ケアやアライナーのメインテナンスが行われていないとこれらのリスクがさらに高まってしまうので注意が必要です。
左右で歯の数や大きさが違ったり、顔貌や顎が非対称だったり、奥歯の噛み合わせに左右差があると矯正治療終了後に中心がズレてしまうことがあります。また、矯正治療終了後に使用する保定装置(リテーナーと呼びます)を正しく使用しないと後戻りを起こして中心がズレてくることもあります。
重度のガタガタの歯並びを抜歯を行わずに無理やり並べると顎の大きさに対して歯のアーチの方が過剰に大きくなり、せっかく矯正治療を行ったのに治療前より出っ歯になって終了してしまうことがあります。また、親知らずを残したため歯を奥に送り込めず出っ歯になってしまうこともあります。
矯正治療によって動かした歯はアライナーをつけるのをやめてしまうと元の位置に戻ろうとするため、治療終了後もリテーナーを使用して新しい歯並びを定着させることが大切です。正しくリテーナーを使用していないと数ヶ月で歯が動き後戻りして、再度治療が必要になってしまうこともあります。
インビザラインのルールやアライナーの装着期間がなかなか守れず、理想的な歯並びを達成できなかったと感じる方もいらっしゃいます。また、治療開始前に担当医と十分なコミュニケーションが取れておらずゴールの設定が理想と異なるものであることもあります。
インビザラインの治療計画はアライナーが理想通り使用できている前提でたてられています。アライナーの装着時間が短かったり、きちんとはまっていなかったりした状態で先に進めてしまうとエラーが大きくなっていきます。そうなると再度治療計画を練ってアライナーを作り直さなければならないので治療期間が伸びてしまいます。また、そもそも無理な治療計画がたてられていて歯が思い通りに動かず、治療期間が伸びてしまうこともあります。
矯正治療を行うと噛み合わせの変化で使う筋肉が変わるので顔全体の印象が変わる事があります。また出っ歯を治したことによって法令線が気になるようになったり抜歯を行って歯のアーチを小さくしたことで頬がこけたように見えてしまうケースもあります。
インビザラインでの矯正治療で満足のいく治療結果を得るには適切な治療計画を立てることが大切です。当然、実績や経験の少ない歯科医師と多い歯科医師とでは、治療計画の精度に差が出てきます。また、治療途中で予期せぬトラブルが起きた場合にも経験豊富な歯科医師であれば柔軟に対応してリカバリーしてもらえます。
インビザラインにおける全ての治療計画はアライナーを正しく装着していることが前提になります。推奨されるアライナーの装着時間は一日22時間です。アライナーを装着していない時間は歯が動いていないどころか長時間外していると後戻りを起こすこともあります。また、適切につけることができておらずアライナーが浮いていたりすると、計画通り歯が動かなくなってしまいます。これらは治療期間が延びることをはじめとした様々な失敗を引き起こしてしまいますので「1日22時間、浮きのないように装着する」ことが非常に大切です。
矯正前に虫歯や歯周病のある場合は治療してから矯正治療を開始します。矯正治療を始めてからは虫歯や歯周病のリスクが高くなるので普段より念入りなケアが必要になります。食事をおえたら歯磨きをすぐにする習慣をつけ、1日の終わりにはフロスなどを使用して磨き残しのないようにしましょう。またアライナーに汚れが残ったままだと口臭の原因になったり、アライナーの内側に歯石が形成されて虫歯や歯周病のリスクとなります。アライナーを外したら水できれいにゆすぎ、乾燥させて保管しましょう。
治療を始めてから「こんなはずじゃなかった、、」とならないよう、矯正後の理想の歯並びはどのようなものなのか、その歯並びを達成するには抜歯やIPRが必要なのか、治療期間はどれくらいなのか、自分にはどんなリスクがあるのかなどを開始前によく担当医と話し合うことが大切です。治療前にシミュレーション画像を確認できる場合もあるのでそれを使ってイメージを共有しておくのもいいでしょう。
お口の中の違和感に最初に気づくことができるのは患者さん自身です。いつもと違う痛みなど違和感が出てきたら早めに担当医に相談しましょう。もしかしたら深刻なトラブルが発生しているかもしれません。早い時点でチェックしておくと、トラブルによる治療の修正も最小限で済ませることができます。
矯正治療で歯を並べた後はリテーナーを使用した後戻り対策が必要です。歯がなんとなくきれいに並んだからといって途中で通院するのをやめてしまったり、面倒くさいからといってリテーナーを使用するのをサボってしまうと歯が元あった場所に戻ってしまいせっかくきれいに並んだ歯並びを維持することができません。必ずリテーナーを使用しましょう。
インビザラインは幅広い症例に適用することができる治療方法ですが、従来のワイヤー矯正の方が得意な動きもあります。歯科医師が部分的にワイヤーを使用した方が早く確実に動かすことができると判断した場合はワイヤー矯正の併用を提案されるかもしれません。担当医とよく相談した上で治療を進めていきましょう。
ここまでインビザラインの失敗についてご説明してきました。ではもし万が一インビザラインの失敗が起こってしまった場合どうなるのでしょうか。
矯正治療の契約は結果を保証するものではなく治療を行うことについて交わされるものになります。よってインビザラインの治療が計画通り完結した場合、基本的に返金はありません。
インビザライン治療が計画通りに終了しても想像していた歯並びや見た目にならずに再治療を希望される場合があります。その時の歯や歯茎、骨の状態によりますが再度治療計画を立て直して再治療を行うことは可能です。
再治療を行うことは可能ですがその前に「そもそも本当に失敗なのか」をしっかり検討することが大切です。失敗して再治療を希望される方の多くは「見た目」について理想のものと少し違うと感じています。見た目についての評価は個人によって非常に異なりますので、客観的な意見によって大きく変化することも考えられます。友人や家族の意見を聞いたり、担当の歯科医とよく相談をして、本当に再治療をすべきなのかについて慎重に考えることが大切です。
この記事ではインビザラインの失敗の具体例とその原因と対策について説明してきました。しかしこれらは一般的によくお問い合わせの多いものに絞って解説しています。「自分の場合はどんな失敗が考えられるのか」「他にこんなことは起こらないの?」「専門のスタッフと直接やりとりをしながら不安を解消したい」等、カウンセリングをご希望の方はぜひ一度MeLoSへご相談ください。