歯科矯正を検討している方の中には、「矯正によって顎関節症になることはあるの?」「すでに顎関節症があるけれど矯正は受けられる?」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。歯科矯正と顎関節症には一定の関係があり、治療中に顎へ負担がかかることで症状が出るケースがある一方、噛み合わせや歯並びが改善することで顎関節症の症状が軽減するケースもあります。
この記事では、歯科矯正と顎関節症の関係性や、矯正治療を受ける際の注意点についてわかりやすく解説します。
顎の関節は発声や食事を行うために欠かせない重要な部位で、肘や膝の関節とは異なり回転とスライドが組み合わさって動く、少し特殊な構造です。顎関節症とは顎の関節やその周囲の筋肉に異常が生じることで、主に以下のような症状が現れます。
・口を開けた時に顎が痛む
・口が大きく開かない(目安としては指縦3本分以下)
・顎を動かした際に「カクカク」「ジャリジャリ」と音が鳴る
原因は一つではなく、歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせの問題、ストレス、姿勢の悪さなどが複雑に関係していると考えられています。軽度であれば自然に改善することもありますが、症状が長引く場合には日常生活へ支障をきたすこともあるため、歯科医院で適切な診断を受けることが大切です。
顎関節症の代表的な症状の一つが、口を開けたり閉じたりした際の痛みや違和感です。食事や会話の際に顎の関節周辺が痛んだり、顎を動かすたびに違和感を覚えたりすることがあります。
症状が軽いうちは「あくびをした時のように大きく開けた時だけ痛い」といった程度の場合もありますが、悪化すると食事や会話に支障をきたすこともあります。特に、硬い食べ物を噛んだ時や長時間話した後に痛みが強くなるといった症状もよく聞かれます。また、顎関節だけでなく、こめかみや耳の周辺に痛みを感じることもあります。
顎関節症では、口を開閉した際に「カクカク」「コキコキ」「ジャリジャリ」といった音が鳴ることがあります。これは顎関節の中にある関節円盤(クッションのような組織)の位置がずれたり、変形などによって関節の動きがスムーズでなくなったりすることで起こると考えられています。音が鳴るだけで痛みを伴わない場合もありますが、放置していると症状が進行するケースもあります。
ただし、音が鳴るからといって必ずしも重症というわけでもありません。問題のあるケースなのかどうか、顎関節に違和感がある場合は歯科医師の診断を受けることが大切です。
顎関節症が進行すると、口を大きく開けづらくなることがあります。通常であれば、指を縦に3本程度(またはそれ以上)入れられるくらい口を開けられますが、顎関節症では開口量が制限される場合があります。口が開きづらくなると、食事の際に大きな食べ物を食べづらくなったり、歯科治療に必要な開口量が維持できず治療が難しくなったりすることもあります。
顎関節症では、顎を動かす筋肉が緊張し、こわばりを感じることがあります。特に、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方では、筋肉へ過度な緊張がかかりやすくなります。顎の筋肉が緊張すると、口を動かしにくくなるだけでなく、肩こりや首こり、頭痛などの症状につながります。
また、朝起きた時に顎の疲労感や張りを感じるケースもあります。顎関節症は関節だけの問題ではなく、その周囲の筋肉の状態も大きく関係しているため、症状が続く場合には専門的な診断を受けることが大切です。
顎関節症の原因の一つとして、不正咬合(噛み合わせの乱れ)が挙げられます。出っ歯や受け口、歯並びのガタつきなどによって上下の歯がバランスよく適切に噛み合わない状態だと、一部の歯や顎関節へ負担が集中しやすくなります。その結果、顎を動かす筋肉や関節へ継続的なストレスがかかり、痛みや違和感につながります。
しかし、顎関節症は噛み合わせだけで起こる病気ではなく、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。そのため、不正咬合があるから必ず顎関節症になるわけではありません。
日常生活の習慣も、顎関節症の発症や悪化に関係していると考えられています。たとえば、頬杖をつく癖や片側だけで噛む癖、うつ伏せ寝などは、顎へ偏った力をかける原因になります。また、長時間のスマートフォンやパソコン作業による姿勢の乱れも、首や肩の筋肉を緊張させ、歯ぎしりや食いしばりを誘発し、顎関節へ影響を与える場合があります。
歯ぎしりや食いしばりは、就寝中や日中に強い力が顎関節へ加わり、症状を悪化させます。生活習慣の見直しは、顎関節症対策の一つとして重要です。
ストレスも顎関節症へ深く関係している要因の一つです。精神的な緊張や疲労が続くと、無意識のうちに歯を食いしばったり、顎周辺の筋肉が緊張しやすくなります。特に、仕事や学業、人間関係などによるストレスが強い場合には、睡眠中の歯ぎしりが増え、その結果、顎関節や筋肉へ大きな負担がかかり、痛みや開口障害につながることがあります。
顎関節症は顎だけの問題ではなく、心身の状態とも関係するため、積極的なリラックスやストレス管理も大切です。
転倒やスポーツ中の事故、交通事故などによって顎へ強い衝撃が加わることも、顎関節症の原因になる場合があります。顎関節が直接衝撃を受けた場合はもちろん、衝撃が別の組織(例えば顎の先)を介して顎関節に到達した場合も、顎関節は損傷する可能性があります。顎関節や周囲の筋肉、靭帯が損傷すると、関節の動きが悪くなったり、痛みや異音が生じたりしやすくなります。
また、強い衝撃を受けた直後は症状がなくても、時間の経過とともに顎関節症の症状が現れるケースもあります。外傷後に口が開けづらい、顎を動かすと痛むといった症状がある場合には、早めに歯科医院や医療機関を受診し、適切な診断を受けることが重要です。
不正咬合によって一部の歯へ過度な力がかかっている場合や、顎の動きに偏りが生じている場合には、矯正治療によって噛み合わせのバランスを整えることで、顎関節や周囲の筋肉への負担が減る可能性があります。ただし、顎関節症の原因は噛み合わせだけではないため、すべての症状が矯正治療で改善するわけではありません。
一方で、矯正治療中は歯を動かす過程で噛み合わせが変化するため、一時的に顎関節へ負担がかかる可能性も考えておかねばなりません。噛み合わせや見た目を大きく変える歯列矯正では、治療の途中で上下の歯の接触状態がどんどん変わっていくため、それによって顎の動きに違和感を覚える方もいます。
また、これまでと異なる位置で噛むようになることで、顎周囲の筋肉が緊張しやすくなるケースもあります。もちろん、最終的には適切な噛み合わせが得られた状態で終了しますが、もともと顎関節症の症状がある方や顎が敏感な方では、噛み合わせが不安定である治療中に、顎の疲れや違和感を感じることがあります。
矯正治療中には、一時的に顎関節症に似た症状が現れることがあります。歯の移動や噛み合わせの変化に身体が適応している過程で起こる場合が多く、口を開けた時の違和感や顎のだるさ、関節の音、筋肉の張りなどが生じることがありますが、症状が軽度であれば時間の経過とともに落ち着くので過度な心配は必要ありません。
ただし、強い痛みが続く場合や、口が開けづらくなるなど日常生活へ支障が出る場合には注意が必要です。そのような場合は自己判断で我慢せず、矯正治療を担当している歯科医師へ早めに相談しましょう。適切な調整を行うことで、顎関節への負担を軽減できる場合があります。
顎関節症とマウスピース矯正について詳しく知りたい方はこちらもご参考ください
顎関節症の症状がある方が歯科矯正を検討する場合は、まず顎関節の状態を詳しく確認することが大切です。顎関節症には、関節円板のずれや筋肉の緊張、関節そのものの異常などさまざまなタイプがあり、症状や原因によって適切な対応が異なります。そのため、現在の顎関節の状態を把握せずに矯正治療を始めると、治療中に症状が悪化する可能性もあります。
歯科医院では、口の開き具合や顎の動き、関節音の有無などを確認し、必要に応じてレントゲンやCTなどの検査を行います。事前にしっかり検査を受けることで、矯正治療が可能かどうかや、どのような点に注意すべきかを判断しやすくなります。
顎関節症がある場合は、矯正治療を始める前に必ず歯科医師へ相談しましょう。顎関節症の症状があるからといって、必ずしも矯正治療が受けられないわけではありません。実際には、噛み合わせや歯並びの改善によって顎関節への負担が軽減し、症状の改善につながるケースもあります。
一方で、矯正治療中は歯の移動や噛み合わせの変化によって、一時的に顎の違和感や痛みが出ることもあります。そのため、顎関節症の既往や現在の症状について正確に伝えたうえで、治療計画を立ててもらうことが重要です。不安な点がある場合は遠慮せず相談し、顎関節の状態を考慮した治療方針を選択するようにしましょう。
顎関節症の症状がある方の中には、「矯正をすると悪化しない?」「そもそも矯正治療を受けられるの?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。顎関節症の状態や歯並びによって適した治療方法は異なるため、まずは専門家へ相談することが大切です。
MeLoSでは、知識と経験豊富なスタッフが患者様のお口の状態やお悩みを丁寧にお伺いした上で、ご相談に対応しております。また、お近くでインビザライン矯正を受けられる提携クリニックのご紹介も可能です。初回相談は無料ですので、お気軽にLINEよりご相談ください。