抜歯ありのマウスピース矯正のメリット・デメリット。抜歯が必要なケースもご紹介
2026年3月27日 インビザライン

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。日本口腔インプラント学会認定JSOI専修医。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師向け専門書の翻訳なども行う。

歯並びを整えるためにマウスピース矯正を検討しているものの、「抜歯が必要と言われた」「抜歯ありでもマウスピース矯正はできるの?」と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。実は、マウスピース矯正は抜歯が必要なケースでも対応できる場合があります。

 

ただし、歯を動かすためのスペースの確保や治療期間、歯の移動方法などを踏まえ、慎重に治療計画を立てることが重要です。本記事では、抜歯ありのマウスピース矯正が必要になるケースや、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

 

マウスピース矯正は抜歯ありでできる?

マウスピース矯正は、抜歯を伴うケースでも治療を行うことが可能です。歯並びが大きく乱れている場合や、出っ歯などで歯を動かすためのスペースが不足している場合には、抜歯によってスペースを確保し、その空間を利用して歯を適切な位置へ移動させます。近年のマウスピース矯正では、動かし方を工夫し、アタッチメントと呼ばれる補助装置や顎間ゴムなどを併用することで、抜歯症例にも対応できるようになってきました。

 

ただし、すべての抜歯ケースでマウスピース矯正が適しているとは限りません。歯の移動量が大きい場合や、歯のコントロールが難しい症例では、ワイヤー矯正の方が適していることもあります。そのため、歯科医院で歯列や噛み合わせの状態を詳しく診断し、最適な治療方法を検討することが大切です。

 

マウスピース矯正で抜歯が必要なケース

歯の向きに問題がある

歯が大きくねじれていたり、内側や外側に傾いて生えていたりする場合には、歯を正しい向きに整えるためのスペースが不足していることがあります。特に歯同士が大きく重なり合っている歯列では、歯を回転させたり角度を調整したりするための余裕が歯列内にありません。そのまま歯を並べようとすると、歯列が前方へ広がり、口元が出た印象になる可能性があります。

 

このような場合には、抜歯によって歯を動かすためのスペースを確保し、その空間を利用して歯の向きや角度を整えていく治療が検討されます。マウスピース矯正でも、計画的に歯を移動させることで、抜歯を併用しながらねじれや傾きを改善することは可能です。

 

歯の位置に問題がある

歯が本来の歯列から大きく外れた位置に生えている場合にも、抜歯が必要になることがあります。例えば、前歯が歯列から前方に飛び出していたり、特定の歯が外側・内側に入り込んでいる場合には、正しい位置へ移動させるためのスペースが不足していることがあります。

 

スペースがないまま歯を動かそうとすると、歯列全体が前方へ押し出され、口元や噛み合わせのバランスが崩れてしまう可能性があります。そのため、歯列全体のバランスを整える目的で抜歯を行い、歯を移動させるスペースを確保する治療計画が立てられることがあります。

 

前歯の突出が強い

いわゆる出っ歯の状態で、前歯が大きく前方に突出している場合にも、抜歯が必要になることがあります。前歯を後方へ下げて口元の突出感を改善するためには、歯を移動させるためのスペースが必要です。そのスペースを確保する方法として、左右の小臼歯などを抜歯する治療が選択されることがあります。

 

マウスピース矯正でも、抜歯によって生まれたスペースを利用し、前歯を少しずつ後方へ移動させることが可能です。これにより、歯並びだけでなく口元のバランスも整えやすくなります。ただし、前歯の移動量が大きい場合には治療期間が長くなることもあるため、歯科医院での十分な診断と治療前のカウンセリングが重要になります。

 

抜歯を行った実際の症例についてはこちらをご覧ください

 

親知らずが歯並びに影響を及ぼしている

親知らずが生えている場合や、横向きに埋まっている場合には、周囲の歯並びに影響を与えることがあります。親知らずが手前の歯を押すように生えているケースでは、矯正治療の妨げになったり、矯正後に歯列が乱れたりすることがあります。

 

そのため、マウスピース矯正を開始する前に、親知らずの抜歯が検討されることがあります。また、矯正治療で歯を後方へ移動させる(遠心移動)必要がある場合にも、親知らずがあると後方への移動が難しくなるため親知らずの抜歯が検討されます。親知らずを抜歯することで歯列の後方に余裕が生まれ、歯をスムーズに移動させやすくなります。

 

マウスピース矯正で抜歯が不要なケース

歯を削ることで対応できる

歯並びを整えるためのスペースがわずかに足りない程度であれば、歯を削ることで抜歯をせずに対応できる場合があります。「IPR(ディスキング)」と呼ばれ、歯と歯の間をわずかに削ることで歯を並べるためのスペースを確保する治療法です。削る、という表現には抵抗感のある方も多いと思いますが、その量はごくわずかで、通常は0.1~0.5mm程度です。永久歯のエナメル質は約2mmほどあり、IPRは歯の健康に大きな影響が出ない範囲で行われます。

 

歯列の複数箇所に入れ、全体で数mmのスペースを確保することができます。軽度の歯列の乱れや、少しだけスペースが足りないケースでは、この方法によって抜歯を避けながらマウスピース矯正を進められる可能性があります。また、このIPRは最終調整の際に行ってわずかに歯を動かし、緊密な噛み合わせや審美面を整える際にも有効です。

 

IPRについて詳しく知りたい方はこちらもご覧ください

 

歯列の幅を広げられる

歯並びを整えるためのスペースが不足している場合、歯列の幅を広げることで対応できるケースもあります。マウスピース矯正では、歯を外側へ少しずつ移動させることで歯列のアーチを広げ、歯が並ぶためのスペースを確保する方法をとることがあります。歯のがたつきが大きかったり、前歯が前方に飛び出した歯並びでは顎のアーチが狭いケースも多く見られます。

 

この方法は歯の傾きや歯列の形を調整しながら進められるため、比較的軽度から中程度の歯列の乱れに適しています。ただし、成人矯正では顎の成長が終了しているため、広げられる量に限界があり、過度に歯列を広げると歯の健康を損なったり、噛み合わせや口元のバランスに影響が出る可能性もあるため、歯科医師が歯や骨格の状態を確認しながら慎重に治療計画を立てることが重要です。

 

奥歯を後方移動できる

奥歯を後方へ移動させることでスペースを確保し、抜歯をせずに矯正治療を行える場合もあります。マウスピース矯正では、歯を少しずつ後ろへ動かして歯列全体の位置を調整する「遠心移動」と呼ばれる方法が用いられることがあります。これにより、前歯を並べるためのスペースを作ることが可能になります。

 

特に、親知らずを抜歯して奥歯の後方に余裕がある場合には、この方法が適用できることがあります。ただし、奥歯の移動量には限界があり、歯並びの乱れが大きい場合には抜歯が必要になるケースもあります。

 

抜歯ありのマウスピース矯正のメリット・デメリット

メリット

抜歯を伴うマウスピース矯正のメリットは、歯を動かすためのスペースを十分に確保でき、治療の自由度が高まる点にあります。歯並びが大きく乱れている場合や、歯が重なっている場合でも、抜歯によって生まれたスペースを利用することで歯を適切な位置へ移動させやすくなります。その結果、歯列全体のバランスを整えやすくなり、無理に歯列を広げることなく自然な歯並びを目指すことができます。

 

また、出っ歯などで前歯が前方に突出しているケースでは、前歯を後方へ大きく移動できるため、口元の突出感をわかりやすく改善することができます。さらに、歯を動かすスペースに余裕があることで、かみ合わせの調整もしやすくなり、見た目だけでなく機能面の改善も期待できます。歯並びの乱れが比較的大きいケースでも、マウスピース矯正で対応できる可能性が広がることは、抜歯を伴う矯正の大きな利点といえるでしょう。

 

デメリット

抜歯ありのマウスピース矯正にはいくつかのデメリットもあります。まず、矯正治療を始める前に歯を抜く処置が必要になるため、身体的な負担や心理的な抵抗を感じる方も少なくありません。抜歯後には一時的に痛みや腫れが生じることもあり、治療開始までに一定の準備期間が必要になることがあります。

 

また、抜歯によって生まれたスペースを利用して歯を大きく移動させる必要があるため、歯の移動量が多いケースでは治療期間が長くなる可能性があります。抜歯を伴う矯正では歯科医師による綿密な歯の移動計画と患者様の装置装着への意識がより重要となります。

 

これら両方が適切でないと、抜歯したスペースに歯が倒れ込んだり、なかなかスペースが閉じきらなかったりと、思わぬトラブルが起きます。抜歯矯正を行う場合には、十分に実績のある歯科医院で治療計画の立案とカウンセリングを受け、患者様側も注意点を理解した上でスタートさせることが大切です。

 

歯列矯正と抜歯についてはこちらもご覧ください

 

マウスピース矯正で抜歯を行うタイミング

マウスピース矯正で抜歯を行うタイミングは、一般的には矯正治療を開始する前、または治療の初期段階です。歯を動かすためのスペースを確保する目的で抜歯を行い、その後にマウスピース装置を装着して歯の移動を進めていきます。

 

しかし、症例によっては、最初にマウスピースを装着して歯をある程度動かしてから抜歯を行う場合もあります。具体的なタイミングは歯並びや歯の移動量によって異なるため、歯科医院での診断をもとに治療計画が決められます。

 

抜歯ありのマウスピース矯正にかかる期間・費用

期間

抜歯ありのマウスピース矯正では、歯を大きく移動させる必要があるため、抜歯を行わない矯正と比べて治療期間が長くなる傾向があります。一般的には1年半~3年程度かかることが多く、歯並びの状態や歯の移動量によって期間は変わります。抜歯によって生まれたスペースを利用して歯を少しずつ移動させていくため、歯の重なりが大きいケースや前歯を大きく後方へ動かす必要がある場合には、さらに時間がかかることもあります。

 

また、マウスピース矯正を成功させるために何より大切なことは正確な装置装着と確実な装着時間の確保です。患者様のご協力も治療期間を大きく左右します。

 

費用

抜歯ありのマウスピース矯正の費用は、一般的に80万~120万円程度が目安とされています。インビザラインでは抜歯の有無ではなく、矯正範囲や症例の重症度によって費用が設定されていることがほとんどですので、全体矯正の場合、抜歯の有無で矯正装置の料金が変わることは少ないです。

 

しかし、抜歯矯正の場合は、矯正治療そのものの費用に加えて、抜歯の費用が別途かかることもありますのでその点は注意が必要です。抜歯は1本あたり数千円~1万円程度が目安ですが、親知らずなど難しい抜歯の場合には費用が高くなることもあります。また、精密検査料や調整料、保定装置(リテーナー)の費用などが追加で必要になる場合もあります。

 

抜歯矯正では調整の回数が多くなる傾向にあるので、調整料が都度かかる医院ではそのことも頭に入れておきましょう。治療を開始する前に歯科医院で大体の総額を確認しておくことが大切です。

 

マウスピース矯正で抜歯が必要かどうか知りたい方は、MeLoSにご相談ください

マウスピース矯正を検討している方の中には、「抜歯が必要と言われたが本当に必要なのか」「できれば抜歯をせずに治療したい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。歯並びやかみ合わせの状態によって、抜歯の必要性や適した治療方法は異なります。MeLoSでは、専門のスタッフが患者様のお口の状況やお悩みを丁寧にお伺いし、マウスピース矯正についてのご相談に対応しています。

 

また、お住まいの地域に合わせて、マウスピース矯正に対応している提携クリニックのご紹介も可能です。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にLINEよりご相談ください。

 

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