繰り返す口内炎にお悩みの方は、歯並びが原因となっている可能性があります。歯が粘膜に常に当たることで物理的な刺激が生じ、炎症を引き起こすケースも少なくありません。本記事では、歯並びが原因で起こる口内炎の特徴や、矯正による改善方法、その他の対処法について詳しく解説します。
一口に口内炎といってもできる原因や病態によって5種類に分けられます。以下でそれぞれの種類別に見ていきましょう。
外傷性口内炎は、物理的な刺激が原因で粘膜が傷つき細菌が繁殖することで、炎症を起こす口内炎です。頬の内側を噛んだり、矯正装置・入れ歯・被せ物などが粘膜に当たることがきっかけになります。
また、歯並びが悪くて特定の歯が舌や頬に当たる場合にも発症します。傷ついた粘膜は赤くなってしみるようになったり、放置していると白くただれるようになることがあります。
基本的には原因となる刺激が取り除かれれば治癒するので矯正装置や入れ歯が原因の場合超制すことで解消します。しかし歯並びが原因の場合、歯並びを直さない限り何度も繰り返し、慢性化することがあるため注意が必要です。
最も一般的とされる口内炎がアフタ性口内炎です。丸くて白い潰瘍が頬や舌、歯茎の粘膜にでき、染みたり、強い接触痛を起こしたりするため食事や会話時に強い痛みを伴います。原因は明確ではないものの、免疫力の低下、ストレス、栄養不足(特にビタミンB群や鉄分、亜鉛)などが関係しているとされています。
また、睡眠不足やホルモンバランスの乱れも発症要因になることがあります。通常は1〜2週間で自然に治りますが、繰り返しできるようであれば、全身的な疾患(ベーチェット病や潰瘍性大腸炎など)を疑ったり生活習慣の大きな見直しが必要です。
ウイルスによって引き起こされるタイプの口内炎で、特にヘルペスウイルスが原因の「ヘルペス性口内炎」がよく知られています。口腔内に小さな水疱や潰瘍が多発し、発熱や全身の倦怠感を伴うことがあります。免疫力の低下している人に多く見られます。
乳幼児ではコクサッキーウイルスによるヘルパンギーナや手足口病なども多く見られます。感染力が強いため、家族内での接触にも注意が必要です。治療には抗ウイルス薬が用いられ、早期の受診と医師による適切な診断・治療が重要となります。
カンジダ性口内炎は、口の中に常在しているカンジダ菌(真菌)が、免疫力の低下や口腔内環境の悪化により異常増殖することで発症します。特徴的なのは、舌や口腔粘膜に白い苔状のものが付着することです。白い部分の下は赤く炎症を起こし、ピリピリとした感覚を起こすことがあります。
抗生物質やステロイド薬の長期使用、義歯の不適合、糖尿病などがリスク因子です。免疫力の低下した乳幼児や高齢者にも多く見られます。治療は抗真菌薬の使用が中心で、口腔内の清潔を保つことが再発防止に重要です。
ニコチン性口内炎は、長期間の喫煙習慣によってニコチンが口腔粘膜を刺激し、白っぽく点状の病変ができる口内炎です。特に上あごの粘膜に生じることが多く、初期段階では痛みなどの自覚症状が乏しいのが特徴です。
ただし、放置すると粘膜の異形成(前がん病変)に進行する可能性もあるため注意が必要です。禁煙が最も有効な対策であり、変化が見られた場合は歯科医院での精査をおすすめします。定期的な口腔内チェックが予防につながります。
口内炎は歯並びの不正によっても引き起こされることがあります。中でも口内炎を「引き起こしやすい歯並びについて以下でご紹介いたします。
ハサミ状咬合とは、上下の奥歯が外側と内側ですれ違うように噛み合い、ハサミのような咬み合わせになる歯並びです。この歯並びでは、入り込んだ奥歯が反対側の粘膜を刺激する状態になることがあります。その結果、食事中や無意識のうちに口の中を傷つけやすく、慢性的な刺激が口内炎を引き起こす原因になります。
また、頬の粘膜を歯を噛み合わせるときに巻き込む可能性も高く、その傷が炎症を起こして口内炎になることもあります。特に免疫力が下がって粘膜が弱っているときには炎症が起こりやすく、治りにくくなることもあります。症状の予防には、咬み合わせを改善する歯列矯正が有効とされています。
出っ歯(上顎前突)は、上の前歯が前方に突出している歯並びです。この状態では、上下の前歯が接触せず、口が閉じにくいために口腔内が乾燥しやすくなります。唾液には粘膜を保護し、細菌の増殖を抑える働きがあるため、口が乾くことで口内炎ができやすくなります。
また、前歯が突き出していることで、会話や食事の際に歯が粘膜に擦れて刺激となり、唇の裏側を傷つけてしまうこともあります。繰り返し同じ部分に刺激が加わることで慢性的な口内炎を引き起こすリスクが高くなるため、歯並びの改善による根本的な対策が有効です。いつも前歯の当たる部分に口内炎ができる、という方は原因として歯並びを疑ってみるのが良いでしょう。
歯並びが原因で口内炎ができている、と歯科医師に指摘された場合はどのように改善するのが良いでしょうか。以下で改善するための方法をご紹介いたします。
歯並びが原因で口内炎が繰り返しできてしまう場合、根本的な改善策として歯列矯正が有効です。例えば、前歯が突出していたり、奥歯が上下ですれ違っている、大幅にがたつきがある、などのケースでは、歯列矯正によって歯の位置や咬み合わせを正しく整えることで、粘膜への物理的な刺激が減り、口内炎の発生リスクを抑えることができます。
歯列矯正の装置で新たな口内炎ができてしまうのでは、と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、最近では、マウスピース型の矯正装置もあります。マウスピース矯正の装置は薄くて非常に滑らかであるため、粘膜を傷つける心配はワイヤー矯正の装置より格段に下がります。矯正治療の痛みも少なく目立ちにくいため、見た目の気になる大人の方でも始めやすいのでおすすめです。
矯正には期間や費用がかかりますが、歯並びを整えると長期的に口内炎の原因を取り除ける可能性があるため、繰り返す口内炎にお悩みの方は一度歯科で相談してみるとよいでしょう。
すぐに矯正を始めるのが難しい場合や、部分的な刺激による口内炎であれば、歯の形を少しだけ調整するという方法もあります。これは、尖っている歯の角や粘膜に当たりやすい部分をわずかに削ることで、接触や刺激を減らす処置です。また、すでに詰め物や被せ物をしている歯が原因の場合、その形状を見直すことで症状が改善することもあります。
ただし、健康な歯を削るには慎重な判断が必要ですので、歯科医師と相談のうえで実施されます。この処置は即効性があり、早急に口内炎の原因を減らしたい場合には選択肢のひとつとなります。
口内炎の原因は歯並びの不正だけではありません。以下で解説する歯並び以外の口内炎の原因があったり、またはそれらが複数絡み合っている場合もあります。よく口内炎になる方はこれらの考えられる原因を一つずつ取り除くことで口内炎ができる頻度を減らすことができます。
口内炎の原因のひとつに、細菌の繁殖による炎症があります。口腔内が不衛生な状態だと、細菌が増殖しやすく、傷ついた粘膜から感染が起こって口内炎につながることがあります。そのため、口腔内を常に清潔に保つことが重要です。毎日の丁寧な歯みがきはもちろん、デンタルフロスや舌ブラシなどを併用して、歯間や舌の汚れもしっかりと除去しましょう。
また、うがい薬を活用して口腔内を殺菌するのも効果的です。定期的に歯科でのクリーニングを受け、歯石やプラークを取り除くことも、口内炎の予防につながります。
栄養不足、とくにビタミンB群や鉄分、亜鉛などの不足は、口内炎の発生と深く関係しています。これらの栄養素は、粘膜の健康維持や傷の修復に必要不可欠です。偏った食生活が続くと免疫力が低下し、口内炎ができやすくなる可能性があります。日常的にバランスの取れた食事を心がけることが大切です。たとえば、レバーや緑黄色野菜、魚、卵、乳製品などを取り入れることで、必要な栄養素を効率よく摂取できます。
また、食事だけで栄養を補うのが難しい場合は、医師や薬剤師に相談してサプリメントを利用するのもひとつの方法です。特に粘膜や皮膚を守る働きがあるビタミンB2、皮膚や粘膜の健康を維持するビタミンB6は積極的に摂ることで口内炎の治療や予防に役立ちます。
睡眠不足やストレス、過労などの生活習慣の乱れも、口内炎の大きな原因になります。人間の体は、ストレスを受けたり体調が崩れたりすると免疫力が落ち、普段は発症しないような小さな刺激でも炎症が起きやすくなります。特に口の中は歯や食物が当たったり、入れ歯や矯正装置が当たったり、様々なものからの刺激を受けやすい場所です。規則正しい生活を送り、質の良い睡眠を確保することは、口内炎の予防にも直結します。
また、ストレスを溜めないよう適度な運動や趣味の時間を取り入れることも効果的です。生活リズムの見直しは、口内炎に限らず、体全体の健康管理にもつながりますのでおすすめです。
繰り返す口内炎にお悩みで、「もしかして歯並びが原因かも?」と感じている方は、ぜひMeLoSにご相談ください。専門のスタッフが、お口の中の状態やお悩みを丁寧にお伺いした上で、歯列矯正による改善の可能性を含めたご提案をいたします。ご希望に応じて、インビザライン矯正に対応しているお近くの提携クリニックもご紹介可能です。初回のご相談は無料で承っておりますので、まずはお気軽にLINEからお問い合わせください。