インビザラインで八重歯は治る?期間・費用や注意点を解説
2023年6月30日

この記事を監修した人

MeLoS認定アライナー矯正教育担当講師。長崎大学歯学部卒業、東京医科歯科大学病院総合診療科にて研修後、複数の歯科医院で勤務しインビザライン矯正やインプラント、口腔外科分野を含む各種治療経験を豊富にもつ。歯科医師むけ専門書の翻訳なども行う。

インビザラインとは、少しずつ形の違う透明のマウスピースを周期的に交換していくことで理想の歯並びに近づけていく矯正方法です。目立ちにくく、違和感も少ないため近年人気を集めている歯列矯正治療の方法です。矯正のご相談で多い「八重歯」はこのインビザラインで治療することは可能なのでしょうか。可能な場合どのような方法で治療していくのでしょうか。そもそも八重歯とはどのような状態のこと?八重歯のデメリットとは?この記事ではこれらの疑問も合わせて八重歯についてご紹介していきます。

インビザラインで八重歯は治せる?

インビザラインで八重歯は治すことができます。しかし、全ての症例をインビザラインのみで治すことはできません。具体的には以下のような状態の場合、インビザラインのみで治療を行うことが難しくなります。

・他の歯の欠損が多い、または重度の歯周病や虫歯に罹患している

・骨格の問題で八重歯になっている

・歯をかなり大きく動かす必要がある

これらの場合はワイヤー矯正の方が向いていたり、ワイヤー矯正との併用が必要となったりします。そのため現在の歯並びをインビザラインのみで治せるのかを知るためには専門医による治療前の診断が必要不可欠となります。

そもそも八重歯とは?

そもそも八重歯とはそのような歯並びのことを指すのでしょうか。八重歯とは大きな括りでは「叢生」と呼ばれます。叢生とは歯が重なり合ってガタガタに並んでいる歯並びです。八重歯はその叢生の中でも特に犬歯と呼ばれる真ん中から3番目の尖った歯がガタガタの歯並びのせいで前に出ていたり、歯列から大きく外側に生えていたりするものを指します。日本では八重歯の見た目をよしとする文化もありますが、医学的に見ると八重歯を放置することで上がるリスクがいくつもあるため治療することをお勧めいたします。

八重歯を放置するリスク

八重歯を放置してはいけない理由は見た目以外にもたくさんあります。放置する事のリスクとしてあげられる代表的なものをご紹介します。

虫歯・歯周病になりやすくなる

八重歯の部分は歯が重なり合っているため歯ブラシをうまく届かせることができません。歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシも非常に使いづらいです。そのため十分な歯磨きが難しく、プラークが溜まって虫歯や歯周病になるリスクが高まります。また重なり合っていることで虫歯が発見されにくいため注意が必要です。虫歯や歯周病が発見された場合も適切な処置を行うのが難しく、再発しやすくなります。

噛み合わせが悪くなる

理想的な歯並びでは顎を左右に動かす時にまず上下の犬歯同士がぶつかって奥歯に負担を和らげるような形をとります。八重歯があるとそのような動きをとることができず奥歯に過剰な力がかかるため、咬合性外傷と言われる歯の打撲症状や、歯の破折、顎関節症を引き起こすこともあります。

口内の粘膜を傷つけてしまう

八重歯は他の歯より出っ張った場所にある上に犬歯は元々尖った形をしているため、唇や頬の内側の粘膜に当たって傷ついてしまうことがあります。また転倒などで外側から力が加わった際に八重歯のせいで唇を傷つける可能性があります。コンタクトスポーツも唇をぶつけやすく注意が必要です。

口臭が悪化する可能性がある

八重歯で歯が重なり合っているところはきれいに磨くことが難しいのでプラークが溜まりやすく口臭が発生します。またプラークが原因で炎症を起こし歯周病になってしまうと歯周病細菌による臭いも発生し、口臭が悪化してしまいます。また八重歯が引っかかることでお口が閉じにくいと口呼吸となり、お口の中が乾燥してしまいます。お口の乾燥も口臭を悪化させる原因となります。

 

インビザラインで八重歯を治療する方法

インビザラインで八重歯を治す場合、様々な方法を使用して治療を行います。ここでは方法別にご説明していきます。

遠心移動

歯の奥側のことを歯科用語で「遠心」と呼びます。ですので遠心移動とは歯を全体的に後ろに移動させていくことです。奥歯から順番に歯を後ろに送っていくことで飛び出た犬歯を並べるスペースを確保することができます。しかし遠心移動には実現可能性の高い量に限界があり、アタッチメントと呼ばれる補助装置を使用して2.5mmまでとされています。また、大臼歯の奥に親知らずが埋まっていると遠心移動が難しくなるため、歯を遠心移動させるケースでは矯正前に親知らずの抜歯が必要になることが多くなります。

歯列の拡大

歯列のアーチが狭いと歯を並べるスペースが少なくガタガタの歯並びとなり犬歯が歯列からはみ出して生える原因となります。歯列のアーチは馬蹄形が理想とされます。マウスピース(インビザラインではこれをアライナーと呼びます)をつけてゆっくり歯列のアーチを拡大していくことで理想の馬蹄形に近づけ、広がった分のスペースに犬歯を並べることができます。これも他の処置と併用されることが多いです。歯列の拡大は側方を中心に行われることが多く、大人よりも小児の方が拡大しやすいです。

抜歯

歯に対して顎が小さく、歯を全て並べるスペースが大きく足りない場合、抜歯を行って矯正治療を進めます。歯を並べるスペースが足らないと歯が重なり合ってガタガタに生え、「叢生」が起こり八重歯となります。抜歯の部位や本数は患者様によって様々で、最大上下4本の抜歯を行うこともあります。(おやしらずは除く)抜歯によってできたスペースに歯を並べることで飛び出した犬歯を歯列の理想的な位置におさめることができます。

IPR

IPRとはディスキングとも呼ばれ歯の隣り合った部分を0.1〜0.5mmほど削る処置のことです。IPRを複数箇所行うことで歯列全体で必要なスペースを作り出します。こちらも抜歯と同じで歯を並べるスペースが足りない場合に行われる処置ですが、作り出せるスペースは抜歯する場合より小さくなるので軽度の八重歯治療や他の処置と併用されたりもします。IPRはエナメル質に限局して行われるため基本的に痛みを伴うものではありません。

ワイヤー矯正との併用

犬歯の位置があまりに歯列から逸脱していると、アライナーで歯を動かすのが難しかったり時間がかかったりすることがあります。その場合は一時的にワイヤーを使用して動かすこともあります。アライナーが苦手とする動きをワイヤーで行う事で確実性を高め、矯正の治療期間を短くすることができます。ワイヤー矯正との併用は医院によってはその設備がなく、できない場合もありますので希望される場合は治療開始前にワイヤー矯正も取り扱っているか問い合わせてみましょう。

インビザラインでの八重歯治療にかかる期間・費用

少し犬歯が前に出ている程度の軽度で奥歯の噛み合わせがよければ部分矯正が可能な場合もあります。その場合は期間は約半年、費用は30万〜60万が相場です。犬歯の位置が大きくズレていてその他の歯並びも大掛かりに治す必要がある場合は全体矯正で治療を行う必要があります。全体矯正の期間は約2年、費用は80万〜100万が相場となります。またワイヤー矯正を併用する場合は数万円〜10万円の追加料金が発生することもあります。料金設定は医院によって異なりますのでお問い合わせいただくことをお勧めいたします。

インビザラインで八重歯を治療する際の注意点

ここまでインビザラインで八重歯を治療する方法についてご説明してきましたが、次に治療の際に注意する点についてもご説明いたします。

骨格が問題の場合、インビザラインでは対応できない

インビザラインはあくまでも歯を動かす治療方法です。八重歯の原因が骨格の問題による場合はインビザラインで対応することは難しくなります。その場合はインビザラインと他の矯正治療との併用を考えたり外科的な処置が必要となります。また、一般の歯科医院で対応するのが難しい場合もあり、大学病院などの高次医療機関を紹介されることもあります。

ワイヤー矯正との併用する可能性が高い

八重歯が大きく歯列の外側に外れている場合はインビザラインのアライナーでうまく覆って力をかけることができないことがあります。インビザラインのみで矯正を進めてみたがうまく動かなかった場合は一部ワイヤー矯正の併用をおすすめします。ワイヤー矯正は見た目に影響を及ぼすため敬遠される方が多いですが、適切な時期に併用することで矯正期間が短く済み、治療期間の延長によるストレスを減らすことができます。また治療前にインビザラインのみで進めるのが困難と考えられる場合はワイヤー矯正併用を前提として治療計画を立案することもあります。

 

インビザラインで八重歯が治るか不安な方は…

この記事では八重歯のリスクやインビザラインでの治療方法についてご説明してきました。八重歯が気になっていてインビザラインで治療を行いたいが本当に治せるのか不安、自分にはどんな治療法が必要なのか詳しく知った上で治療を検討したい!という方はぜひ一度MeLoSにご相談ください。専門のスタッフがお悩み事をお聞きした上で適切な治療方法をご提案いたします。

MeLoSマウスピース矯正の詳細情報はこちら

CATEGORY

line 今すぐLINEで
相談・予約する