症例

30代女性の虫歯治療

30代 女性

治療期間: 1時間半 1回

カテゴリー

担当医の処置方針

右下奥歯の虫歯治療を主訴に来院されました。はっきりとした症状はないが違和感を感じる気がするとのことでした。 下顎右側大臼歯2本は過去にコンポジットレジン修復治療を受けており、劣化を認めました。 患者様は1回の来院で修復処置を全て終えたいとの希望だったのでセレックを用いたワンデートリートメントを行うこととしました。 第二大臼歯は窩洞が小さいので型取りをせずにその場でダイレクトボンディングを行い、第一大臼歯は窩洞が大きく神経まで近接していたため一部コンポジットレジンという材料で保護した上でセレックでスキャンし即日でのセラミック修復処置を行いました。

治療後の口腔写真

Before

After

この症例に使用した装置と費用

セラミックを用いた虫歯治療、ラバーダム防湿、セレックプライムスキャン、ダイレクトボンディング
約 110,000 円(税込)

※備考
保険治療の費用は含めない

担当医師コメント

うえだ歯科クリニック

歯科医師 波戸本 亮

ワンデートリートメントを行うことで歯が不潔になる時間を極力減らし、また来院回数も1回で済み、患者様の負担を少なくすることができました。(通常の治療では、型取りをしてから修復物が完成するまで1週間かかりますので、その間に唾液による窩洞の汚染が起こります)なお唾液が多く防湿が困難であったためラバーダム防湿下で処置を行いました。

セラミック治療・虫歯治療・ダイレクトボンディングに伴う一般的なリスク・副作用

  •  ■セラミック治療

    ①健康な歯を削る必要があります。セラミック歯は、少し多めに歯を削らなければなりません。陶材という性質上、破折などを免れるため、詰め物・被せ物に厚みを持たせる必要があります。削る量が多いからと言って、歯の長期安定性が低下するわけではありません。
    ②強い力がかかると割れたり欠けたりします。歯科用陶材であるセラミックは、とても硬い材料ですが、強い力がかかると割れる、あるいは欠けることがあります。天然歯とほぼ同じ強度です。
    ③保険が適用されません。セラミック治療には、健康保険が適用されません。そのため、銀歯など保険治療と比較すると費用は高くなります。
    ④歯ぎしり食いしばりで割れることがあります。歯ぎしりや食いしばりを日常的に行っている人も少なくありません。そうしたブラキシズムと呼ばれる悪習慣は、セラミック歯に過剰な圧力を加えることで、破折や脱離を招くことがあります。
    ⑤歯の神経を取らなければならないことがあります。セラミック歯は、ある程度の厚みを確保しなければならないため、歯を形成する過程で歯髄の露出が避けられないこともあります。そうしたケースでは、セラミック歯を被せる前に歯の神経の治療を行うことがあります。
    ⑥理想の色を出せないこともあります。歯の色は、個々人によって違いが見られます。また、色の見え方や価値観などにも個人差があるため、セラミック歯を理想の色に仕上げられないこともあります。また、残った歯の色調の変化や追加で行った被せ物の治療などによって、セラミック歯が逆に目立つようになることもあり得ます。
    ⑦セラミック歯の色に合わせてホワイトニングするのは難しいです。歯のホワイトニングを検討中の方は、セラミック歯を入れる前に施術することをおすすめします。ホワイトニング後の天然歯の色にセラミック歯の色調を近づけることは、比較的容易だからです。逆に、セラミック歯の色に合わせてホワイトニングすると、色の不調和が生じやすくなります。

    ■虫歯治療

    ①削ったところから虫歯になりやすくなります。歯を削ると、削った部分には凹凸が出来、お口の中の細菌が付着しやすくなります。歯の凹凸の部分で虫歯菌が繁殖すると、その部分が虫歯になってしまい、周囲に広がっていきます。歯を削ることで、虫歯菌が繁殖しやすい環境を作ってしまうことがあるのです。また、削った部分を保険適用の銀歯で詰めたり被せたりすると、銀歯を装着した部分と歯の間に隙間が出来やすくなり、何年か経過した後にそこから二次虫歯になってしまう方が多いです。
    ②痛みや知覚過敏のもとになることがあります。歯を一部分でも削り取ると、歯の表面が内部の神経に近づきます。神経に近くなると痛みを感じやすくなり、冷たい食べ物や飲み物が歯にしみる知覚過敏を起こしやすくなります。もし歯の神経に触れて激しい痛みが出る場合は、歯の神経を抜く治療が必要になることもあります。
    ③歯髄を取らなければいけない場合にリスクがあります。虫歯が進行して深くなり、歯の神経まで虫歯になっている場合は、神経を抜かなければなりません。神経を抜いても痛みは発生しないので安心かというと、そうではありません。痛みを感じないまま、その部分がまた虫歯になってしまう危険があります。痛みを感じないので、虫歯になっていることに気づかず、かなり悪化させて最終的に抜歯になってしまうこともあります。

    ■ダイレクトボンディング

    ①症例によっては、特殊な器具・材料を用いる必要があるため、健康保険適応外となる場合がある。
    ②長期的にみると着色・変色する可能性がある。
    ③応用できる症例が限られる。
     ・欠損部分の範囲が大きい場合には、事前にレントゲン等の検査が必要です。
     ・検査結果によっては、ダイレクトボンディングが不可能な場合があります。
     ・咬み合わせの状態等で、負担が強くかかる場合には不可能な場合があります。
    ④治療時間が長くかかることがある。
    ⑤歯ぎしり・食いしばりのある方は、破損するリスクが高いためマウスピースの作製が必要となることがある。
    ⑥耐久性は技工のセラミックインレーに比べ劣る
    ⑦大きな補修には向かない
    ⑧仕上がりは歯科医の技術の高さによって大きな差がある